青騎士の冒険展☆
“Musée d'Orsay”(オルセー美術館)の年間パスポートを使って、こちらも並ばずに1年間何度でも入館できるということで気楽に出かけているのがパリ1区の“Musée de l'Orangerie”(オランジュリー美術館)。
“Franz Marc / August Macke. L'aventure du Cavalier bleu”(フランツ・マルク/アウグスト・マッケ 青騎士の冒険)という企画展を鑑賞してきました。(6月17日に会期終了)
フランツ・マルク(1880〜1916)とアウグスト・マッケ(1887〜1914)は同じ時代に生まれ刺激し合ったドイツ人画家で、名前も似てる二人(マルクとマッケ)はドイツの表現主義、特に「青騎士」を牽引と。
恥ずかしながらフランツ・マルク、アウグスト・マッケという二人の画家も、「青騎士」という美術用語も知らなかったので新たな経験となりました。
「青騎士」(der Blaue Reiter)とは1911年にミュンヘン新芸術家協会の展示で、カンディンスキーの作品「最後の審判」が出展拒否されたことに反発して創設された芸術サークルであり、またカンディンスキーとマルクが編集し、1912年に出版した芸術年鑑の名称でもあると。
主なメンバーは、ワシリー・カンディンスキー、フランツ・マルク、アウグスト・マッケ、アレクセイ・フォン・ヤウレンスキー、マリアンネ・フォン・ヴェレフキン、ガブリエレ・ミュンター、リオネル・ファイニンガー、アルベルト・ブロッホら。
セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホそしてフォーヴィズムとフランス絵画に傾倒したマルクとマッケの二人は、カンディンスキーに出会い、大きく方向転換したのだそう。
フランツ・マルクは、動物をモチーフにした作品を多く残しています。
雪の上の犬のワンちゃん☆
マルクにとって青は男性の精神性を表し、黄色は女性に対する好感、赤は暴力を表すものだったそう。
そんな青、黄、赤で表現されていたこの作品は「夢」というタイトル。
こちらはマッケが描いた「お庭」。
香ってきそうな花。
絵の具はちょっと厚塗り。
規制線などがほとんどないパリの美術館では絵にグーっと近づいて細部まで鑑賞できるのが嬉しいけれど、絵の描けない私には技術的なこともわからないので、近寄って観た後は離れてこの絵がどんなところに掛かっていたら素敵かな〜?どこにあったんだろう?と想像することが楽しい。
この並びがいい!と思った一角。
左からワシリー・カンディンスキー、アウグスト・マッケ、アンリ・ルソー。
このブログでも何度か書いてますが、アンリ・ルソーは大好きで非常に興味深い画家。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-559.html )
なんでこんな風に描いたんだろう?と疑問が沸く作品も多く、それは観る側の想像力を刺激する。
この作品「公園を散歩する人々」も右から左に並ぶ家は遠近法なのか?!と、これぞ遠近法的な絵を思って眺めると何かちょっと変?ちょっと不思議な独特の世界=アンリ・ルソーワールド。
こういう展覧会でぐるっと見渡した時に、すぐに目に留まって惹かれる作品というものがあるけれど、今回はそのほとんどが私の場合はカンディンスキー作品でした。
カンディンスキー に出会って作風が、人生が変わったというフランツ・マルク、アウグスト・マッケの気持ちがほんの少しですがわかる気がしました。
最後に、本展でショックだったのが、フランツ・マルク、アウグスト・マッケは二人とも第一次世界大戦に出征し戦死していること。
マルクは36歳、マッケは27歳の若さで。
若く人生がまだまだこれからという時に戦争によって夢も人生も奪われたと思うととても気の毒で、でもこうして残された作品がたくさんの人に愛されながら残ることもまた芸術の素晴らしいところだと思いました。
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