
辻井伸行☆音楽と絵画コンサート《印象派》
芸術の秋♬
久しぶりにクラシック音楽のコンサートへ行ってきました。
場所は、サントリーホール。
コロナ以降初めてのコンサートですが、そもそもサントリーホールへ来るのが20年ぶり?!
懐かしさと変わらぬ部分とにキョロキョロしながら向かいました。
公演は、随分前から楽しみにしていた辻井伸行さんの『音楽と絵画コンサート《印象派》』。
辻井さんと言えば、私の中では2020年1月にパリのThéâtre des Champs-Elysées(シャンゼリ劇場)のリサイタルが鮮明に蘇ります。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/-in-paris.html )
またこうして聴く機会に恵まれたことを嬉しく、心を整えながら辻井さんの登場を待ちました。
今回のコンサートは、辻井さんが得意とされるドビュッシー、サティ、ラヴェルなどの名曲演奏に合わせて、ルノワール、モネなどの印象派を代表する画家の著名作品をはじめ、印象派の音楽や画家たちに大きな影響を与えたといわれている葛飾北斎や歌川広重の浮世絵、また、クリムト、ミュシャ、ロートレックなど19世紀末から20世紀初頭に活躍した画家たちの名作をステージ上の大スクリーンに高画質で投影しながら辻井さんの演奏を聴くというもの。
辻井さんファンで印象派好きにはたまらない、これはまさに夢のコラボレーション☆
第1部はドビュッシー(Claude Debussy)の「2つのアラベスク」で始まりました。
『アラベスク第1番』の演奏と共にスクリーンには、ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)の「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が♬
単に絵画を静止画として見せるのではなく、まるで動画のようにメロディに乗って細部がゆっくりとズームアップされることで、よく知る作品であってもそのディテールに新しい発見もあり、1枚ずつ絵画の筆跡を辿るよう見れて面白い。
何よりそこに辻井さんのキラキラとした音色が重なるのだからすごい!
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」の後は「ぶらんこ」「テラスにて」「ピアノの前の少女たち」が続きました。
続く『アラベスク2番』には、ドガ(Edgar Degas)の「オペラ座の稽古場」などパリ・オペラ座やバレリーナを描いた作品が写し出されました。
これもまるでバレリーナ達が実際に音楽に乗って踊ってるような視覚効果。
そして、ベルガマスク組曲(前奏曲、メヌエット、月の光、パスピエ)の演奏。
パスピエには、ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)の「夜のカフェテラス」「タンギー爺さん」「アルルの跳ね橋」と続き、その絵の中の星空とピアノの音色が重なって美しい…!
辻井さんの演奏(今回の演目)と印象派の音楽がとても合うことを感じましたが、ガラッと雰囲気が変わって、大きなインパクトを感じたのが、第1部最後の「映像第1集」(水の反映、ラモーを讃えて、運動)に葛飾北斎と歌川広重の浮世絵がバーン!とスクリーンに出た瞬間。
「第1曲 水の反映」に北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」がドーン!
横浜本牧沖から富士を眺めた、この有名作品はとにかく波がダイナミック。
押し寄せる大波は獣のよう。
迫力にあふれ、ピアノ音色の隙間に波音が聞こえてきそうでした。
という訳で第1部はドビュッシーと名画を堪能しました。
20分間の休憩の後、サティ(Érik Alfred Leslie Satie)の『3つのジムノペディ』でスタート。
いきなりキュンときたのは、「ジムノペディ第1番」に乗せてスクリーンには、クリムト(Gustav Klimt)の「接吻」。
続く「乙女」にもうっとりさせられながら演奏は2番、3番へと続きました。
第1部のプログラムの最後に浮世絵作品を合わせ、第2部スタートは浮世絵の影響を大きく受けたクリムトに繋げるとは!
第2部後半はラヴェル(Joseph Maurice Ravel)。
ラヴェルの曲に合わせられた絵画は全てモネ(Claude Monet)でした。
演目は、「亡き王女のためのパヴァリーヌ」「水の戯れ」「ソナチネ」。
絵画は「散歩、日傘をさす女性」や「睡蓮」などのモネ代表作。
こんなにあっという間に感じられたクラシックコンサートは初めて?!というくらいに、佳い時間は短く感じられました。
アンコールは、ドビュッシーの「夢」と「喜びの島」。
夢にはこれまた大好きなルドン(Odilon Redon)の作品、そして「喜びの島」は北斎の浮世絵。
最後の「喜びの島」は超絶技巧と言うのでしょうか(?)コンサート会場がウワッ!!と熱気につ包まれてフィニッシュ。
浮世絵の迫力とも重なり、いい島、日本に生まれた良かった!な気持ちになり、そんな風に気持ちを持っていかれたことにも演奏と絵画のWパワー感じました。
辻井さんの演奏は、すべての絵画作品にイキイキとした息吹を吹き込むような音色でした。
私の心の中にもたくさんのキラキラを吹き込んでもらい、帰り道は綺麗なお月様のおまけつき。
秋だな、月だな、ドビュッシーだな〜と余韻に浸りながら帰宅しました。
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パリの1枚。
シャンゼリゼ劇場☆
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