
辻井伸行 ショパン・スペシャル
鑑賞後、いつも心にキラキラとした星屑のような余韻と感動が残る。
なのでいつからか私の中では、勝手にキラキラピアニストと呼んでいるた辻井伸行さん。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-1523.html )
5月16日にサントリーホールで行われた《辻井伸行 ショパン・スペシャル》独奏曲×協奏曲へ行ってきました。
秋山和慶(指揮)・日本センチュリー交響楽団
この日の演奏曲目は、
・2つのノクターン (Op.9-1,2)
・12のエチュード Op.10(別れの曲、黒鍵、革命、他全12曲)
・ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
いただいたプログラムの作品解説によると、
ノクターン(夜想曲)は、19世紀初めにアイルランドのピアニスト兼作曲家のジョン・フィールドが創始した楽曲で、叙情的な旋律美を中心に夢想的な性格を特徴とする。
ショパン(Frédéric François Chopin)は、そうしたフィールドのノクターンの特徴を受け継ぎつつも、そこに更に深い内容を盛り込んで、ノクターンをより高い芸術性を持ったものにした。
タイトルを見ただけですぐに曲がわかるものが少ない私には、こういった作品解説やその背景を鑑賞前にサッと確認できるプログラムは助かります。
この日、2つめのソロ演奏だった「12のエチュード Op.10(別れの曲、黒鍵、革命、他全12曲)」が楽しくて飽きなくて、それはまるでレストランでいただく極上美味な少量多皿コース料理を食べたかのような気持ちになりました。
なんとも食いしん坊な喩え…。
輝かしさ、華やかさ、力強さ、優しさ、美しさ、温かさ、軽やかさ、怖さ、悲しさ、憤りなどが次から次に感じられ、12曲があっという間でした。
「革命」の愛称で知られる有名な第12曲ハ短調(アレグロ・コン・フオーコ)は、母国ポーランドがロシア軍に侵攻されたことへの激しい怒りを表していると言われるだけに、それはまさに今現在の世界にも重なり、激しく感じるものがありました。
休憩を挟んで後半は、日本センチュリー交響楽団と共演によるピアノ協奏曲。
雑学的にちょっと驚いたのが、ショパンはピアノ協奏曲を2曲しか作っていないこと。
またこの曲は、1830年10月にワルシャワで初演されたのですが、それはショパンが西欧に出発する前の壮行会的な演奏会だったものの、その後に祖国は不穏な社会情勢と混乱に覆われ、ショパンは終生帰国できずに生涯を閉じてしまったこと。
結果だけを見たら、その演奏会は祖国への告別式…。
ショパン自身、まさか自分が祖国に2度と戻れないなんて夢にも思わなかったでしょう。
歴史、文化のあるポーランドですが、世界史で知られるように幾度もの戦争を経験してきた国で、西はドイツ、東はロシア、南はオーストリアに挟まれ、領土を奪われ、分割され、ポーランドという国自体が地図上から消えてしまった時期も…。
自分の国が無くなるなんて、ちょっと想像しただけでもひどく悲しく、悔しい気持ちになります。
第二次世界大戦では、ドイツに侵略され、アウシュビッツ強制収容所ではユダヤ人虐殺、ロシアからも攻め込まれ、美しい街並みが破壊されるなどの辛い歴史があるからこそ、戦争の悲惨さ知り、より強く平和を大切に思う国なのだろうな…と、ポーランドの歴史を思うと同時に世界平和を願わずにいられない気持ちになった素晴らしい演奏でした。
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パリの1枚。
撮影定番スポットも今頃は新緑が美しい季節☆
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