Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

エドヴァルド・ムンク展☆オルセー美術館

さて、こちらも会期終了前にもう一度!

と隙間時間に訪れたのが、昨年秋よりMusée d’Orsay(オルセー美術館)で開催中の(2023年1月22日まで)『Munch , un  poème de vie, d’amour et de mort』(ムンク、生命・愛・死のポエム展)

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ムンク(Edvard Munch)と言えば、誰もが知る有名作品「叫び」で知られる19世紀末から20世紀はじめに活躍したノルウェー出身の画家。

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これまで特別展などでムンク作品は度々目にしているものの、こうして彼の60年間のキャリアにおける作品が集めれられての大々的なムンク展として鑑賞するのは初めてだったので、今までに知らないムンクを知る機会となりました。

<Self-Portait with Cigarette>

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その展示は、時代順ではなくテーマ別。

そのため同じテーマで繰り返し描かれた作品を並べて鑑賞することができ、違いや変化など自分なりの発見がありました。

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こういった展覧会ではバイオグラフィーを追いながら、その時アーティストの人生に何が起こっていたのか?と、その背景を確認しながらの鑑賞も面白いですが、本展のようにテーマごとだと作品そのものによりフォーカスできる?!そんな気がしました。

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それにしてもムンクに関してほとんど知識がなかったので、初めて知ることばかり。。

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1863年ノルウェー生まれ。

父親は医師で、狂信的とも言えるほどのキリスト教信者で、かなり気難しい性格だったために子供達に大変厳しい人でした。

家系的に病弱で、5歳の時に母親を結核で、14歳の時に姉も結核で亡くし、幼少期からムンクの身近には死がありました。

そうなると自分の人生観・死生観に大きく影響してしまったことは想像できます。

<The Sick Child>

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<Puberty>

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死生観からか多くの作品から不安が伝わってきました。

<Despair >

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ムンクは、モテ男だった説がありますが、恋愛上手ではなかったという説も。

結果的には生涯独身。

そんな彼が自身の恋愛経験を元に制作したというThe Kissシリーズを見ると、女性の方が男性に首ったけな感じ、ドラマチックな様子でやはりムンクはモテたのかも!?

<The KIss> 

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ドラマチックといえば、こちらも有名作品<Vampire>

元々はムンク自身は作品名を「愛と苦悩」としたそうですが、ムンクの友人で詩人のStanislaw Przybyszewskiが「吸血鬼」と名付けたと言われています。

ガブッ!もうあなたを離さないから…に見える「吸血鬼」のタイトルの方がしっくりくるようで個人的には好きです。

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これもムンクだったの?!と改めて知る作品も色々。

全体の色調が明るく、穏やかでタイトルのままに髪をなびかせ楽しげ踊る女の子たち。

でもよくよく見ると右端に黒衣装の女性が二人いて、ちょっと不吉な予感も?!

<Dance on the Beach>

IMG_5225 copy.jpg<Evening on Karl Johan Street>

ギョロっとした目で無表情の人達が一斉に向かってくるのが、ちょっと怖く、何かに追い立てられるようでもあり、都会の通勤シーンにもありがちな光景かも。。

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そんな中に一人反対方向に歩く人物が。

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<Starry Night>

星月夜といえばゴッホ。

ムンクがこの作品を描く少し前にゴッホが星月夜を制作しており、ムンクはおそらくそれをパリで鑑賞していると。

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よく見ると作品中央に2人の影。

左が女性、右の大きい影が男性で、その男性はムンク自身。

この作品の中に自分が憧れ抱いた「幸福な恋愛、渇望」を描いたと言われています。

自分の家系が短命で、自身も健康に自信がない人生では、積極的に家庭を築くのは怖かったのかな…だから結婚もしなかったのかもしれませんが、この絵の中に幸せを求め、表現したと思うと胸に迫るものがありました。

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また個人的には本展で興味深かったのが、たくさんの自画像。

作品ごとに全然別人な様子、その時の自分のメンタルを反映させつつ客観的に自分を見つめていたのかな。

<Self-Portrait after the Spanish Flu>

スペイン風邪後の自画像ですが、思わずコロナ後のムンクとして鑑賞。

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<Self-Portrait In Hell>

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そして展示室の最後には明るく眩しい太陽を描いた作品があり、なんとも最後に救われるような気持ちになりました。

常に死を意識していたからこそ輝く命、生きていることの尊さを感じたのでは。

<The Sun>

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日頃、健康で当たり前、生きてることも当たり前に感じがちですが、この年まで生きてこれたことも含め改めて健やかに暮らせていることに感謝しないと…と思いながら美術館を後に。

 
<info>
『Munch , un  poème de vie, d’amour et de mort』展 2023年1月22日まで
Musée d’Orsay
1 Rue de la Légion d'Honneur, 75007 Paris
https://www.musee-orsay.fr/fr

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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