
イエールのカイユボットの家☆
パリ・リヨン駅からMelun行きのRER D線に乗って約30分、Yerres(イエール)駅で下車。
人も車も少なく、静かな佇まいの町を地図も持たずに歩いていると、
MEIKO…。
ちょっと目立っていたこのお店は、どうやらアジア料理レストランらしい。
やきとりはわかるけれど、「れたうらん」とは何だろう。。
どこかのアジアの国の食べ物なのか?
そんな見慣れなぬ町の様子にキョロキョロしながらも、街中のこうした標識だけを頼りに目指したのは、Propriété Caillebotte(プロプリエテ・カイユボット)。
画家、Gustave Caillebotte(ギュスターヴ・カイユボット)が暮らした邸宅です。
駅を出てから道なりに、分かれ道の標識に従ってゆっくり歩くこと15分ちょっとでココだ!と。
まずは現在イエール市の公園となっている「カイユボットの庭(公園)」へ。
目の前に広がった広大な敷地にびっくり!
その広さは11ヘクタール。
これほどの敷地とそこに邸宅を構えていた画家カイユボットでお金持ち?!
そういえば以前展覧会で生い立ちをざっくり知った時に、ブルジョワ階級出身で生涯裕福だったことを思い出しました。
(関連ブログ→https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-118.html)
お庭の散歩前にまずは邸宅へ。
この邸宅は長らく続いた修復工事が終わり、今年の夏から一般公開となりました。
そこは19世紀のブルジョワジーの暮らしが良くわかる邸宅美術館のよう。
キッチン、リビング、ビリヤードルーム、ミュージックルーム、書斎、庭を一望する寝室へと続く部屋が素敵なこと!
その部屋の様子は実際にカイユボットが描いているので、このシーンみたいことある!と、ちょっとデジャ・ヴュのような感じも。
カイユボットは父親が繊維業で成功し、裕福な事業家の息子としてパリで生まれました。
ナポレオン3世による第二次帝政時代に上流階級層の高級住宅地として新造されたマルゼルブ大通りの邸宅で不自由なく育ったそう。
26歳のときに父親が亡くなり、彼はその遺産で作品制作に専念。
仲間の印象派画家の作品を買い上げたり、印象派美術展開催の費用を提供。美術品の蒐集家としても知られる存在に。
そして彼が12歳の頃に父親が夏の別荘として購入したのがこのイエールの家なのだそう。
置かれた家具や並んだ食器、シャンデリアを見るのが楽しく、もっとアンティークや装飾に詳しくなりという思いが湧いてきました。
館内ではこの邸宅の修復過程の様子をドキュメンタリー風に解説を交えてのビデオ上映がされていたので、それを見てから改めて細部を見ると「なるほど!」と。
大理石の暖炉、壁やドアの装飾、カーテンのドレープの寄せ方、タッセルとの組み合わせなど、残された資料を元に現代の素材や手法を駆使して修復されている様子がとても興味深く面白いのです。
カイユボットは、船のデザインもしていたそう。
ずっと前、私は勝手に良い芸術とは大抵生きることに苦しみ悩む人の中から生み出されるものと思っていたけれど、色々な画家の人生や作品を知るほどに、そうとは言い切れず、豊かな暮らしていてもいい作品は生まれる時は生まれる。
才能と生まれや暮らしぶりは別物か…とカイユボットなどの作品を見ると感じます。
キッチンスペースがお土産ものを売るブティックになっているのも面白かった。
カイユボットのとても豊かな暮らしぶりが垣間見えるこの邸宅を訪れた後に、彼の作品を改めて鑑賞すると、ブルジョワ的と称されるのもわかる一方、彼の生活に密着した作品たちの魅力が増した気がします。
À demain(^^)/
☆おまけのパリをBelle et Bonne Blogで更新☆
今日は、「もう珍しくないけど…」
⇒ http://belleetbonne.blog.fc2.com/blog-entry-1682.html
<info>
Propriété Caillebotte(プロプリエテ・カイユボット)
8, rue de Concy 91330 Yerres
www.yerres.fr
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