
中世のガラス展☆
長らく一部修復工事中のパリ5区にあるMusée de Cluny - Musée national du Moyen Âge(クリュニー 国立中世美術館)。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/51737906.html *画像無し)
工事中の目隠し、囲いフェンスがちょっとユニーク。
ビニールシートなど殺風景になりがちな工事シーンも中世美術館の雰囲気にぴったりの木の囲い。
それにしても2020年まで工事が続くとは長いな…。
久しぶりに訪れ、只今開催中の“Le Verre, un Moyen Âge inventif”(創意を凝らした中世のガラス展)を鑑賞してきました。
このブログでは何度か書いていますが、常設展のステンドグラスがとても綺麗☆
教会で見るステングラスは位置が高過ぎて細部を鑑賞するのが難しいのですが、ここでは目の前の至近距離でその構成、デザイン、色を細部まで鑑賞できます。
聖書に出てくる話や教えを題材にして、当時文字が読めなかった人々のために絵によってわかりやすく伝える目的で製作されたと言われる教会のステンドグラスは、一枚ずつ見ていくと本当に美しい絵本のよう。
聖書に詳しくないので私にはわからないシーンも多いけれど、その辺を学んで絵解きをしたらもっと楽しめるステンドグラス鑑賞。
芸術的に美しい天井。
この美術館はいつも比較的空いていて鑑賞しやすいのも嬉しい。
昔は「中世=暗黒の時代」的なイメージが強くて、それほど興味が湧かなかったのですが、フランス史において中世はとにかく長いのだから切り離せない文化。
続いて特別展へ。
本展はタイトルのままに中世時代に作られたガラス工芸品を紹介する展覧会。
今日まで伝えられる中世のステンドグラスや脚付きグラス、光学レンズ、七宝を施した工芸品などを通して当時の人々がさまざまな形でガラスに親しんでいたことを紹介。
国内外の美術館から約150点のガラス作品が集めての展示。
中世におけるガラスの用途や役割、また工芸品としての特色を多角的に示す作品たち。
聖母子画にちょこっと描かれた花とガラスの花器。
それはこんなゴブレットがモデルらしい。
ガラスは壊れやすいので、長い年月を超えて壊れずに残っていることはほとんどないけれど、中世の時代からこんなに繊細な技術があったことには改めて感心です。
ガラス工芸の発達とともにゴシック様式が開花した12世紀以降、ステンドグラスは教会建築に欠かせないものに。
ステンドグラスの作り方もわかりやすく実際のパーツを使って解説。
図案を制作し、ガラスの配色を決める。ステンドグラスの型紙を作る。その型紙をガラスの上に乗せて、ガラスピースを一枚ずつカット。
顔や手足の部分は色ガラスではなく、透明ガラスに特殊顔料で絵付けして窯で焼きつけ。
一枚ずつピースを図面の上に置き、組み合わせていきます。
鉛線を一本ずつ適切な長さに切り、鉛線の各接点を半田で溶着して一枚のステンドグラスが完成。
ガラス展鑑賞の後は再び常設展に戻り、この美術館に来たなら最後にお参り的に必ず訪れるはシンボル的作品“La Dame a la Licorne"(貴婦人と一角獣 我が唯一の望)のあるこの部屋へ☆
五感を表現していると言われる6連作のタピスリー作品。
花の冠を作っているので、花→香りで「嗅覚」、
楽器を奏でる「聴覚」、
鏡にユニコーンの姿を写す「視覚」、
貴婦人が侍女の食べ物が載ったお皿に手を伸ばした「味覚」、
ユニコーンの角を掴む「触覚」。
そして"A Mon Seul Desir"(私の唯一の望み)とテントに書かれた謎の一枚。
貴婦人は宝石箱に宝石を戻すのか?これから身につけるのか?
これまでの私はこれからネックレスを手に取る、身につけようとする姿に見え、そこから貴婦人の意思、選択を感じたりしてましたが、この日は宝石をどんどん外して箱に戻しているように見えました。
多分それはこの夏、東京の自宅の断捨離をした私が手放すことの気持ち良さというか、本当に大事なものだけを残すことについてあれこれ考えさせられることが続き、その経験からきた見え方かなと。
そんな風に見る度に感じ方が変わる「貴婦人と一角獣」のタピスリーはやはり大好きな作品です。
Bon Week-end(^^)/
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<info>
Musée de Cluny - Musée national du Moyen Âge
6 Place Paul Painlevé, 75005 Paris
01 53 73 78 00
http://www.musee-moyenage.fr
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