
かがみのかなたはたなかのなかに
この冬の東京は寒い!
あちこちのクリスマスツリーやイルミネーションは素敵だけど寒くて長くは眺めていられない。。
久しぶりに訪れた新国立劇場にも大きなツリーがあり、チカチカと色合いが変わって綺麗でしたが、サッと見て足早に劇場へ。
今回観劇したのは「鏡」をモチーフにした『かがみのかなたはたなかのなかに』というお芝居。
[作・演出]長塚圭史
[出演]近藤良平 / 首藤康之 / 長塚圭史 / 松たか子
小劇場なのでこれまた役者さんとの距離が近く、元バレエダンサーの首藤康之さんのキレのある動き、松たか子さんの通る声、 長塚圭史さんの大女な女装がウケる!とこういう劇場ならではの臨場感を楽しみました。
舞台模型も展示中☆
休憩無しの1時間25分、この舞台セットの中で展開されたお芝居は、「子供も大人も一緒に楽しめる演劇」と聞いていたので、メルヘンチックで可愛く面白いお話だろうと思っていたのですが、個人的にはこれはかなり大人向き?!なストーリーに感じました。
(舞台画像はオフィシャルサイトより)
兵隊のタナカ(首藤康之)と鏡のむこうのカナタ(近藤良平)はお互いの孤独に同情し、出兵前の孤独や淋しさを慰め合う。(そもそもはカナタは鏡に写ったタナカ、同じ自分)
ある日タナカは、鏡の向こうの可愛いケイコに一目惚れ。つられてカナタもケイコに恋をする。
でもタナカにカナタがいるように、ケイコにも反対側には「コイケ」(長塚圭史)がいた!
ただコイケはケイコとは比べものにならない性格もルックスもブスっ子!?
鏡を越えて可愛いケイコを取り合う二人。それが段々嬉しくなるケイコ。
鏡のあっちとこっちを行ったり来たりしながら、タナカとカナタ、コイケとケイコのもつれ合う四角関係。
とりあえず邪魔なコイケを海に突き落としたものの、三角関係の展開、結末は・・・。
「鏡」というものを通しての自分のあり方をユーモアと皮肉で見つめ、気持ちの裏側を描いた面白い作品でした。
日々こうして自分が鏡で見ている自分はあくまで鏡に写った自分。本当の自分を自分の目で見ることはできない。
また、このお芝居で女性の心理描写も絶妙だなと感じたケイコとコイケの会話。
コイケは鏡にうつる自分の姿(美人のケイコ)に己惚れ、特別な取り柄もないのに、ブスなのに、自分に自信満々で勝気でポジティブ。(どこからくるの?その自信、的な女)。
一方鏡の中のケイコは可愛いのに、鏡に写る姿(コイケ)に自己嫌悪、自分に自信がなく控えめで、私なんか…といつもネガティブ。
そんな二人は表と裏。一人の女性の心の中での葛藤、心理描写は客観的に見ると笑えました。
更に自信がなかったケイコは自分を巡って男たちが争うことに最初は戸惑っていたのに、それが次第に嬉しくなって楽しくなってしまう。
男たちに貢がれるって幸せ、自分のために男たちが争うなんて最高!
さー、私を勝ち取るのはどっち??命も賭けろ!とんどん増長してしまう女の怖さもよく描かれていました。
(↑会場にはフォトコーナーも設置されていたけれど誰も撮っていなかった。。)
帰宅後、メイクオフをしながら鏡に写った顔に「あなたは誰?」と思わず問いかけ、私の場合は鏡の向こうに「コイケ」がいるわけだな…と。
コイケを直視して本音で話してみる?!と改めて自分自身を見つめたくなったお芝居でした。
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<info>
新国立劇場
東京都渋谷区本町1丁目1−1
http://www.nntt.jac.go.jp/play/
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