Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

暑い日にアジアの地獄と幽霊展☆

友達のフランス人夫妻の長男Mくんは只今「妖怪ウォッチ」に夢中。

そんなMくんが

M「ケ・ブランリで妖怪ウォッチは見れるの?」

K「パルドン??」(もう一回言って?なんのこと?)

夫「今ブランリでやってるアジアのお化けのエクスポジションのことだよ」

K「あ、あれね」

夫「たぶんあれは、ちょっと大人向きだから妖怪ウォッチはいないと思うよ。でもちょうど僕たちも行こうと思ってたから妖怪ウォッチがいたら教えるよ」

M「メルシー!」

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というわけでエッフェル塔から程近いロケーションの"Musée du Quai Branly"(ケ・ブランリ美術館)で開催中の“Enfers et fantômes d'Asie”(アジアの地獄と幽霊展)へ。

(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/esthetiques-de-lamour.html

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朝ランで外に出た瞬間から雲ひとつ無い青空が広がり、今日も暑くなるぞ〜と覚悟した日、涼しい美術館でしかもゾゾっとしそうな幽霊展は涼を感じるにはピッタリかも…と。

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本展のテーマはは日本、中国、タイを中心としたアジアの仏教絵画、ホラー映画、妖怪などを集めた展覧会で、仏教の地獄思想に深い影響を受けながらアジアで発達した独特の思想の世界を幅広く鑑賞するというもの。

率直な感想としては幽霊と妖怪は別物だし、ホラーもまた別なのでそれらを一緒に並べてしまうのは個人的にはちょっと無理があるというか誤解も生じるのでは…?と感じましたが、西洋とはまた違った地獄、幽霊、お化けは改めてユニークなものだと感じました。

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地獄・冥界の王として死者の生前の罪を裁く神「閻魔大王」。

この手の仏教美術を見ると同時に思い浮かぶのが西洋美術の「最後の審判」。

自分がキリスト教信者ではないせいか「最後の審判」をテーマに描いた絵画等を観ても怖さよりは絵として芸術として鑑賞できるのですが、仏教美術は昔から心に迫ってきます。

やはりアジア人だから?!

そしてそれは幼少期の思い出のせい…。

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初めて死後の世界に天国と地獄があると教えられたのは保育園に通っていた頃。

当時私の通う保育園はお寺に隣接し、住職さんが園長先生でした。なので日頃から説法を説き聞かされていました。

お盆前の夏の暑いある日に語られた死後の世界。初めて見せられた仏教美術の地獄図はもう強烈に怖くて、とにかく衝撃大。

迎えに来た母のママチャリに飛び乗って早く家に帰りたい!とほとんど半泣きだったことを今でもよく覚えています。

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(↑この日小さな子供の姿はなかったけれど、興味深かげに鑑賞していたのは比較的若い人たち)

帰宅後まっすぐに向かったのは信心深い祖母の部屋。

K「嘘をついたら地獄に落ちるって…。地獄の種類は色々で針山で突き刺されたり…それって本当に本当?」

祖母「そうだよ。嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれて地獄に落ちるんだよ。だからけーちゃんも嘘はついちゃダメだよ」

人生終わった…。それは幼心に死刑宣告されたようでとてもショックでした。

すでにもういっぱい嘘をついてる。

昨日だって弟に大事なオモチャを貸してと言われて壊されるのが嫌だったので「今はない」と嘘をついたばかり。

と、そんな嘘の数々が思い出され、地獄行きが確定だと思うにつれ今まで感じたことがない胸を締め付けられるようななんとも言えない嫌な怖い気持ちを味わいました。

あの時、もう絶対嘘はつかないと誓ったのに大人になる過程でやはり「嘘も方便」と嘘をつき続けてきたなと…。

それは正直過ぎては人を傷つけることもあること知ったからだという言い訳もあるけれど、今回久しぶりに閻魔様の絵や彫刻を目の当たりにして「お前の嘘は見てるぞ」と言われたようで(すごい目ヂカラだし)、苦い反省と6歳の思い出が蘇りました。

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閻魔大王に睨まれた後は日本の幽霊コーナー。

たくさんの幽霊の掛け軸が展示されてあったですが、以前あるお寺にあった幽霊の掛け軸は撮影禁止で撮ると不幸が起こると聞いていたので、それ以来やはり幽霊だったり、絵画でもなんでも対峙した時にちょっと感じるものがあるものは撮らないことにしている。(こんなにブログ用画像を撮ってるのにねぇ…)

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浮世絵や歌舞伎にも怪談は扱われるテーマ。

ストーリーとしては怖おもしろい。

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展示コーナーの一角から何やら白い煙が…。

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3Dでお岩さん登場!

リアル〜。

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ゲゲゲの鬼太郎のフィギア。

「ゲタケリ鬼太郎」はオモチャで鬼太郎の足に下駄を装着して妖怪界めぐりなる台紙に向かって下駄を飛ばし、その行方でポイントを稼ぐゲームらしい。

小学生ぐらいの子供には楽しいゲーム?!

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ゲームをやらない私には全くわからないのですが、モンスター?が登場する「パックマン」も日本のオバケや幽霊に通じる文化?!

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久しぶりに見た中国の死体妖怪「キョンシー」。

同じアジアでもやはり自国を離れると恐怖心は薄らぎ、なんだかちょっと滑稽にも見えてきます。

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タイの Pii Ta Khon(ピー・ター・コーン)フェスティバルのコスチューム。

「ピーターコーンフェスティバル」とは、「ピー=お化け、霊」「ター=目」「コーン=仮面劇」で、精霊祭りというような意味だそう。

仏陀の前世であるウェートサンドン太子が追放されていた国へ帰国する際、森の精霊たちが民衆と一緒に祝福して踊ったという仏教説話がもとになっているそうです。

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というわけで夏日のパリで涼しんだ“Enfers et fantômes d'Asie”(アジアの地獄と幽霊展)でした。

そしてMくんに妖怪ウォッチの妖怪たちはいなかったよ、と報告しないとです。

☆Belle et Bonne Blogも絶賛更新中☆
 
 
<info>
Musée du Quai Branly Jacques Chirac(ケ・ブランリ ジャック・シラク美術館)
37 Quai Branly, 75007 Paris
01 56 61 70 00
*“Enfers et fantômes d'Asie”(アジアの地獄と幽霊展)は2018年7月15日迄
 
 

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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