
サルトルの「出口なし」☆
パリの1枚☆
その甘い香りを嗅いだなら素通りできない果物屋さん。
パリで夏から初秋にかけて楽しみなフルーツ言えば、Mirabelle(ミラベル)や Reine-Claude (レーヌ・クロード)のプラム系。
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今月2度目の新国立劇場。
小劇場でのシス・カンパニーによるの舞台公演「出口なし」を観劇してきました。
出演は、大竹しのぶさん、段田安則さん、多部未華子さん。
夫「原作はサルトルだから。」
K「・・・!」
あのフランス人哲学者、実存主義のジャン=ポール・サルトル!?
私が嫌いな3大学問といえば、哲学、物理学、数学。
たぶん理解できない…無理だ…と思ってちょっと及び腰だったのですが、パンフレットには「そんな心配は無用」と書かれている。。
実際どうだろう…と予習もなく半信半疑での観劇スタート。
そのストーリーは(ネタバレしません。オフィシャルサイトより以下引用。)
「とある一室に、それぞれ初対面のガルサン(段田安則)、イネス(大竹しのぶ)、エステル(多部未華子)の男女3人が案内されてきた。
この部屋には窓もなく、鏡もない。
これまで接点もなかった3人だったが、次第に互いの素性や過去を語り出す。
ガルサンはジャーナリスト、イネスは郵便局員、そして、エステルには年が離れた裕福な夫がいたという。
それぞれがここに来るまでの話はするものの、特に理解し合う気もない3人は、互いを挑発し合い、傷つけ合うような言葉をぶつけ合う。
そして、この出口のない密室でお互いを苦しめ合うことでしか、自分の存在を確認する術もない。
なぜ3人は一室に集められたのか・・・。
ここで、彼らは何らかの救いを見出せるのだろうか?」
(シス・カンパニー オフィシャルツイッターより↑)
舞台のポイントは、この一室がどこなのか?ということ。
それは3人の会話から物語の早い段階でわかります。
その場所をここで述べるとそのままネタバレなので書けず、感想等も書けませんが、一つ言えるのはパンフレットにあったように私が観ても「サルトル=難しい」ものではなかったかな、と。
色々考えながら会話を追っているうちに1時間20分の舞台があっという間に終わりました。
段田安則さんと大竹しのぶさんと言う芸達者の先輩俳優の間でテンポ・滑舌いいセリフ回しで好演していた多部未華子さんが可愛く印象的でした。
そしてサルトルは難しげな哲学者である同時に劇作家、小説家としての顔があったことを知ったのは新たな発見。
ところでサルトルと言えば、パリ好きならすぐに浮かぶのがここ。
パリ6区、サン・ジェルマンにある“Les Deux Magots”(レ・ドゥ・マゴ)。
サルトルとボーヴォワールが通ったことでも知られる歴史的老舗カフェ。
Deux Magots(ドゥ・マゴ)という店名は、中国の高官で、現在でも店内に飾られている2体の人形に由来。(マゴ=中国製陶製人形)
この人形は、1885年にこの店がカフェになる以前の高級絹織物店だった時代から唯一残るものだそう。
数年前に読んだ新聞記事にはお客さんの8割近くがツーリストと。
オープンテラス席はいつも賑わってます。
今でもコーヒーの香りとともに文学の香りが漂ってきそうな店内奥。
サルトルの言うところの実存主義、人間存在の在り方って何?
根源的な不安に立ち向かい真に自由に生きるには?
「不安への向き合い方」「社会との向き合い方」「生きる意味の問い直し」などサルトルの思想には現代社会を生きる上でもヒントになりそうなことが色々だと。
文学の秋、このカフェででゆっくりそんな語らいをしてみることを妄想?!
すぐにお腹が空きそうだ…。
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