Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

充実のフェルメール展☆

パリの1枚。

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老舗デパート・ギャルリー・ラファイエット (Galeries Lafayette)の天井吹き抜けのステンドグラス。

そろそろ恒例のクリマスツリーが登場する頃ですが、今年はどんなツリーかな〜。

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只今、上野の森美術館で開催中の「フェルメール展」に行ってきました。

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フェルメール展は2012年に渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催された「フェルメールからのラブレター展」を鑑賞したのがつい先日のことのようですが、こうしてまた日本で再会できるとは嬉しい!

(関連ブログ・画像無し→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/51865315.html

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本展は来場者全員に音声ガイドを無料で提供。(その音声は石原さとみさん!)

音声ガイド機と一緒に手渡されるのが、それぞれの作品解説を記した小冊子。

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確かに作品の説明を読む際に、そこで足止めされ混雑してしまう館内なので、こうして手元に配られると容易に読むことができて便利。

(ただ館内はやや暗めなので老眼だとちょっと読みづらいかも?!)

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(予約して出かけました。行列はなく、館内も比較的空いていました。)

さて、国内外で不動の人気を誇るオランダ絵画黄金時代の巨匠ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermee)(1632-1675)。

寡作でも知られ現存作はわずか35点とも言われています。

本展はそのうち9点が展示される日本美術展史上最大のフェルメール展です。

日本初公開を含むフェルメールの作品のほか、ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらの傑作を含む約50点を通して、17世紀オランダ絵画の広がりと独創性を紹介するという内容。

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本展鑑賞前に読んだ『フェルメール 最後の真実』(秦真一・成田睦子著)が面白い!(特に前半)

小難しい美術論文ではなく、それぞれのフェルメール作品のウンチクやフェルメール展を日本で開催するまでの裏事情がフランクに語られ、こういった美術館の世界や企画展実現への裏話を少し覗くことができました。

さて本展で展示された作品は東京では8作品(1月から期間限定で更にプラス1作品)。

(詳しくは、同フィガロ・ジャポンのサイトの特集記事もご覧ください。→ https://madamefigaro.jp/culture/feature/180921-vermeer.html

①マルタとマリアの家のキリスト(Christ in the House of Martha and Mary)

最初期の作品で、絵のサイズも最大級、聖書をテーマにした唯一の作品。

当初はフェルメール作品と思われていなかったのですが、洗浄したところマリアが腰かけている板に「I V Meer 」の署名が現れてフェルメール作品と判明。

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②牛乳を注ぐ女(The Milkmaid)

ミルク・メイドとして知られる傑作。

衣装の黄色、赤、青が印象的。青いスカートは、ウルトラマリンを使用☆

どっしりめの体型と力強そうな腕は、やはりメイド。

そんな労働に集中する女性の美しさが評価されている作品。

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③ワイングラス(The Wine Glass)

テーブルや椅子に置かれた楽譜やリュートは男女の「愛」を暗示しているのだそう。

女性のワインはほぼ空で、そこに男性がワインを更に注ごうとしているこのシーンは誘惑?!

肉眼では見えづらかったのですが、ステンドグラスの中に馬の手綱を引く女性が描かれていて、それは「節制」を象徴していると。

誘惑と節制、どちらが勝るのか?!興味深く鑑賞した一枚です。

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④リュートを調弦する女(Woman with a Lute)

あまり状態が良くないのでぼんやりした色調で女性の表情がはっきり見えないものの、リュートを調弦しながら窓の外に向ける視線の先には何が映っているのか?

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⑤真珠の首飾りの女(Woman with a Pearl Necklace)

有名な真珠の「耳飾り」ではなく「首飾り」の作品。

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まさに首飾りを身につけようとするその瞬間。

こういう何気ない日常の一瞬を素敵に捉え続けたフェルメールは、現代だったらフォロワー何万人(!)の人気インスタグラマーになれたかも?!

⑥手紙を書く女(A Lady Writing)

彼女が書いているのはおそらくラブレター。

改めて見ると手紙を書くという姿勢はエレガントだなと見惚れました。

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⑦赤い帽子の娘(Girl with the Red Hat)

ハレーションを起こして女性の顔はちょっとブレ気味で、サイズ的には一際小さい作品。

この絵には下に男性が帽子を被った絵が描かれていた痕跡が赤外線によって判明しているそう。

謎が多いフェルメールなので、そんな下絵やそれぞれの作品に込められた寓意的意味は想像力をかきたてられるものばかり。

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⑧手紙を書く婦人と召使い(Woman Writing a Letter, with Her Maid)

1974年と1986年と2度も盗難にあってる作品。

懸命にラブレターをしたためている女性と、その側で視線を窓に向けて達観したような、呆れたような、余裕顔の召使いの表情が面白い。

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⑨取り持ち女(The Procuress)

追加出展されることになった作品で、東京展では2019年1月9日から2月3日まで。

取り持ち女とは、娼婦と男の間を取り持つ女性で、この作品では左から2番目の黒頭巾の女性。

好色や売春を戒める教訓的に取り上げられたテーマだそう。

なんだか悪そうな顔してる取り持ち女…。

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フェルメールのバックグラウンドの多くは謎に包まれ、43歳で亡くなるまでの生涯を記した文書はほとんど残っておらず、彼をめぐる家族・親族関係や経済的状況が判明したのは20世紀後半になってから。

どうやら画業一本で生計を立てていたわけではなく、定職を持たず、いくつかの仕事を渡り歩きながらの制作で裕福ではなかった模様。

そんな画家自身の謎は作品にも表現されているように感じます。

寡作な上に、それらが世界中の美術館や個人収集家の所蔵として散らばっているのだから、こうして一箇所に集めるのは大変なこと!

フェルメールの絵は一つの部屋にまとまって展示されていて、それはなかなか稀有で壮観な眺め。

しっかりフェルメールを感じられる充実の展覧会でした。

☆引き続き “Belle et Bonne Blog”も絶賛更新中☆
 
 
<info>
上野の森美術館
東京都台東区上野公園1−2
 
*フェルメール展・東京展は2019年2月3日まで
*フェルメール展・大阪展は2019年2月16日〜2019年5月12日まで
 

 

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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