
Sacré Rossini☆
最近は益々この劇場に足を運ぶ機会が増えました。
パリ8区の“Théâtre des Champs-Élysée”(シャンゼリゼ劇場)。
いつも劇場前は待ち合わせで賑わいますが、この劇場に集まる観客は比較的年齢層が高めなせいか?人混みなのに落ちついた雰囲気。
今回のプログラムは“Sacré Rossini”(サクレ、ロッシーニ!)。
「セビリアの理髪師」「ウィリアム・テル」「アルジェリアのイタリア女」などのオペラで有名なイタリアの作曲家・ロッシーニ(Gioachino Antonio Rossini)の人気曲を集めたコンサート。
悲劇が多いオペラの中でロッシーニ作品は愉快でハッピーエンドも多く、私も好きな作曲家の一人。
なのでロッシーニのオペラ作品は結構聴いてる方だし、その中の有名曲なら知ってるものも多いはず。
と予習なしで出かけたところ、最初の「セビリアの理髪師」の曲しか知らなくてちょっと焦りましたが、
今回はクラシック音楽専門放送局ラジオ・クラシックの協賛でコンサートの様子をライブ放送。
いつも聴いてるラジオ・クラシックのパーソナリティーのオリヴィエさん(右端)が登場したことでかなり親近感が湧きました。
(ラジオでその渋い声を聞いてる時はもっと若い人かと思っていたけれど?!)
「皆さん、今宵はイタリアオペラの巨匠、ロッシーニですよ、ロッシーニ! ロッシーニのオペラは素晴らしいですよね!明るくて、幸せ、生きる喜びを感じるじゃあ〜りませんかっ。」
「今年はロッシーニ没後150年と言うアニバーサリーイヤーです。そんなわけでこの素晴らしいプログラムが実現したわけです。」
「では想像してください。皆さんは今、イタリアの美しい山の中にいる。今宵はその山から列車に乗って素晴らしい眺めを観ながら降りてくるようなイメージです。」
「ロッシーニですから難しいことは抜きにして楽しみましょー♬」
と、オリヴィエさんが曲の合間に軽妙気さくなトークを挟みながら退屈させない約2時間。
男女6人のオペラ歌手が代わる代わる歌う中、ピンクのロングドレスがお似合いだったメゾ・ソプラノ歌手Karine Deshayesさんが特に印象的でした。
イタリアの山の風景と言ったら、すぐに連想するのはドローミティ(ドロミテ)。
司会者の言われるままにイタリアの山々と広がる緑を想像しながら聴き入りました。
(以下3枚の画像は、Top Italianサイトより)
そしてこの日、私の右隣りにはお一人で来ていたカーネル・サンダース似のムッシュが座りました。
オペラ、クラシックにはとても詳しい方のようで演奏中に右手で指揮をしながら、「はい、ここでシンバル!」なシーンではすかさず指を差す。
そんな彼が途中から何も知らないであろうな小娘(彼から見たら!)ケーコに曲の合間に一言ずつ声をかけてくれました。
「次の曲はとても難しくて、歌手の技量が試されるよ」
「今のはまーまーだな」
「次の曲はあまり面白くないから流していい」
「声に奥行きがないね」
「今のは素晴らしかった!ブラボーだ」
と、そんなムッシュ・サンダース(勝手に命名)の一言コメントを聞きながらの鑑賞は面白く、
「うんうん、確かにダメだと言う理由がわかる気がする。高音になるとキンキン張り上げる感じで声に丸みがなくなって美しさがなかったかも?」
などど感じたりしました。
良いと言われる理由、ダメと言われる理由を理解するのは勉強になりました。
ムッシュ・サンダースにも助けられメルシー・ボークー、ロッシーニの名曲を堪能した夜でした。
ところでロッシーニと言えば、私にとってはオペラ以前にレストランで目にすることが多かった名前!?
早くから作曲家として大成功した傍らで美食家としても知られるロッシーニ。
レストランのメニューの中で「ロッシーニ風」と書かれたものを目にします。
どういうものがロッシーニ風なのか全てを理解していませんが、私の中ではフォアグラやトリュフといった高級食材が惜しげもなく使われるのがロッシーニ風?な解釈で、中でも一番有名と思われるのが「牛フィレ肉のロッシーニ風」と言うステーキ。
(Wikipediaより↑)
これは牛フィレ肉のソテーの上に、彼の大好物のフォアグラソテーを載せ、更にフォンドボーベースのペリグーソースに、黒トリュフを加えた料理。
人生とは食べて、愛して、歌って、消化するもの! by ロッシーニ。
最後の「消化する」が深いですな。
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