パリの子ども事情

フランスのヴァカンス合宿「colonie de vacance」

2カ月のヴァカンスも残すところ2週間ちょっと。
友達から便りが次々に届いています。
今年はコルシカ島で過ごす友達がなぜか多いようで、3回の妊娠中ともコルシカで過ごしたことを思い出しました。


7月は親がまだ働いているファミリーが多いので、夏休みの学校へ通う子どもたちが多いパリです。

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この夏休み学校のプログラムが充実している事は以前お話しましたが、わが子も7月、本当に楽しみました。
7月、パリ居残り組の子供達の楽しみ方 ≫

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そのプログラムの中で、エッフェル塔の見える体育館で2日間みっちり「サーカス」を教わったことが印象に残ったようです。
最後に自分でお化粧までして発表会をやったとか。

そして、長女の時には一度もなかった、夏休み学校でのミニ合宿。
しかも7月に入ってから募集がありました。
パリ市が毎年、数校の夏休み学校に募集をかけるそうで、今年はたまたま長男が通う学校が選ばれたそうです。
月曜日~金曜日までの5日間の泊まりがけの合宿です。
パリから南下したディジョン、ムターの産地の街での滞在です。

5日間なのに、なぜミニ合宿? と思うのは日本人ならでは。
普通の合宿は1週間だったり2週間だったり。
長女が5年生の時に行ったスキー合宿も確か10日間でした。

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7歳~11歳対象だったので、次女は参加できませんでしたが、この5日間の合宿はパリに残る子どもたちにスペシャルなプレゼントとなりました。

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リヨン駅から出発。


持ち物リストの中に、今はほとんど使う事がない「テレフォンカード」がありました。
親と離れるのが初めてという子もいるので、夕方に電話で話しましょう。ということだそう。
これがなかなか親にとっても嬉しく、根掘り葉掘り質問攻めしてしまう一方的な会話。
「ママン、後ろで待ってる友達がいるから切るね」とクールに言われてしまって、そこでわが子の成長を感じたり。
そう、こんな小さなことでも親子って感動できたり、喜んだりできるのです。

何を食べてるの? と聞くと「昨日はレストランで食べたんだよ!!」と、長男。
どうも合宿所の食堂がかなりお洒落だったのではないかと想像。
森の入り口に合宿所があり、お散歩したり、アスレチックジムをしたり、プールに入ったり。
そして、フランスでは最後の夜恒例の「ラ・ブーム」もあったとか。
「昨日は夜中まで踊ってたからへとへとだよ」と、いっちょまえなことを言っていました。

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駅まで迎えに行くと、みんなちょっと日焼けして逞しくなって帰ってきました。

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アニマター(遊んでくれるお兄さんたち)と、ひとりひとりお別れの挨拶をきちんとします(ビズ!)。
ドレッド・ヘアのお兄さんは、幼稚園からお世話してくれているので、とっても仲良し。
この参加料金は、親の収入によって8段階に分かれています。
参加したいと思えば、どんな家庭でも無理なく行ける範囲の料金設定になっています。


そして、「colonie de vacance(夏休みの合宿)」は、市が開催するものと、プライベートで開催されるものがあります。
おおざっぱに言うと、海辺での滞在なのか? 山での滞在なのか? の違い。
乗馬、水泳、球技などプログラムで分かれていて、更に年齢で分類されています。
5月頃に申し込みがあるのですが、いろいろな資料と親はにらめっこ。

"自分はまだ仕事があるけど、子どもたちをヴァカンスに行かせたい"
"おばあちゃんやおじいちゃんの田舎の家がないので夏休み合宿を利用する"
"子どもたちが合宿に行っている間に、夫婦で旅行をしたい"
などと、理由はそれぞれですが、どれもフランスでは一般的なヴァカンスの過ごし方なのです。

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写真はわが子たちが"フランスのじいちゃん"と尊敬するジョエルの田舎の家での風景。生活の中でいろいろなことを教わる大切な時間。


しかし、この夏は、わー知らなかった! という「colonie de vacance」を友達が体験してきました。

◆おばあちゃんと子どもと参加する"夏休み合宿"
フランスのおじいちゃんやおばあちゃんは、孫の面倒をよく見ます。
学校のお迎えをしたり、ヴァカンスで一緒に過ごすことも多い。
でも、田舎の家を持っていない、田舎に住んでいない都会派のファミリー向けに企画したところ、大反響があったようです。
内容も森の中を歌を歌いながら散歩する、という微笑ましい合宿。
自然を感じながら、おばあちゃんから孫へ伝える事がいっぱいありそう。

◆ピレネー山脈でテント生活2週間
長女の幼馴染み11歳の男の子2人が今年参加したのが、大自然の中でのテント生活。
荷作りのお手伝いをしたのですが、洗濯できないので日数分の着替えを大きなリュックにつめました。
持ち物の中に「ナイフ」があり、ちょっと心配するママン。
でも、合宿内容を見ると、たしかに必要な道具でした。
寝泊まりはもちろんテント、食事は飯ごう炊爨、湖で洗顔、動物の鳴き声で起き、薪拾いも自分たちで。
素晴らしい体験になっているはず。

夏休み合宿を通して、子どもたちには自然を知り、畑での作業を体験し、生活の知恵を身につけてほしい。
生粋のパリジャンは冒険好きで自然が大好き。
都会に住んでいるからといってインターネットやゲームで体験するのではなく、手で触って、目で見て、香りを嗅いで、リアルに感じられることを積極的に子どもたちに体験させる。
長い夏休みを、そんなふうにダイナミックに過ごせることは、彼らにとっても宝になるに違いないと思う。

松永麻衣子

パリ在住ジャーナリスト

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