パリ8区 で「FUKAMI 深みへ − 日本の美意識を求めて」展
フランス、パリ8区のロスチャイルド館で8月21日まで開催中の「FUKAMI 深みへ - 日本の美意識を求めて」展に行ってきました。キュレーターは、長谷川祐子氏(東京都現代美術館参事・東京藝術大学教授)。本展覧会は、日仏友好160周年を記念し日本の文化を紹介する祭典「ジャポニスム2018(Japonisme2018)」の公式企画です。
"伝統と現代、混沌と形式、永遠と一瞬、2つで1つとなることー「日本の美意識」がひらく共存、共創への可能性"をテーマに、伝統的な作品と現代の作品を織り交ぜた展示を通して、日本の美意識を見せています。
「生命の源を表現する - アニミズムの解体と伝承」と題された展示室では、縄文土器とファッションデザイナー、森永邦彦氏が2003年に設立したアパレルブランド、アンリアレイジ(ANREALAGE)と彫刻家、名和晃平氏がコラボレーションして製作された洋服が展示されています。
名和晃平氏は縄文時代の陶器からインスパイアされました。
「消滅の美学 - ミニマリズム」と題された展示室では、韓国生まれで日本を拠点に世界的に活動している美術家、リ・ウーファン(Lee Ufan/李禹煥)氏の作品「Relatum Dwelling(2)」に圧倒されます。日本の現代美術の大きな動向でもある「もの派」を理論的に主導したことで知られています。
黒い粘板岩がすき間なくひかれています。
鑑賞者は歩き回ることができ、岩と岩が触れ合う音を感じることができます。
二階に上がると、
Shinichi Sawada氏の陶器を間近で見ることができます。作者は、1981年に滋賀県で生まれ、4歳で自閉症と診断されます。仕事場で陶器と出会い、特徴的な棘で覆われた作品を制作しています。2013年にイタリアのヴェネチア・ビエンナーレでも作品が紹介されていました。
その他の展示室では、円空や葛飾北斎、ゴーギャンやピカソの作品も交えながら、日本の美意識について探っています。
地下階では、名和晃平氏の「Foam」が展覧会の最後を締めくくります。泡が、温度や湿度などにより絶え間なく形を変えていきます。
作品自体が独立した生き物のようです。
様々なテーマや媒介の多様性を通して、訪れた人々に日本の美学の新しい視点と理解をもたらします。
ロスチャイルド家のパリ別邸が残るロスチャイルド公園では、周辺のオフィスで働く人が昼食を食べに来ていました。
●期間 2018年7月14日〜8月21日
●開館時間 11時〜20時
8月6日は閉館、最終入場は19時まで
●会場
ロスチャイルド館(Hôtel Salomon de Rothschild)
11 rue Berryer 75008 Paris
●料金 5ユーロ
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