パレ・ド・トーキョーで「Enfance/こども時代」展が開幕
2018年6月から、最先端の現代アートを発信しているフランス、パリのパレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)で、ジャポニスム2018の公式企画展「Enfance / こども時代」が開幕した。日本人作家を含めた20人近くの国際的なアーティストによる、「こども時代」をテーマにした日仏共同企画の現代アート展だ。
セーヌ川沿いの通りの旧名にちなんで名付けられた「パレ・ド・トーキョー」で、3000平米の展示スペースを使って展観される大型作品の数々は、こども時代の空想、神話、そして成長の問題などを観客に問いかける。
Amabouz Taturo(旧名 西野達)による巨大なインスタレーション「A Doll's House」は、会場の入り口に設置された。通りがかったパリジャンたちは足を止め、写真を撮っていた。新しい「インスタ映え」スポットの誕生だ。
画像下、壁に展示された高さおよそ3mあるCaroline Achaintreの色彩豊かな作品、あいまいな個性を持つ幻想的な存在を体現していた。 タフティング技法で作られたこれらのキャラクターは、ヨーロッパのカーニバルとドイツの表現主義の破壊的な精神に、漫画やホラー映画などによって生命を与えられる。
Kiki Smithの「Standing Nude」の彫刻は、絶え間ない変化のための伝達手段として身体に与えられた重要性を示す。 静かな場所に固定された繊細な体のこの子供は、感情を示さず、鑑賞者と向き合う。
Megan Rooneyの絵画はカラフルで魅力的に描かれており、優しさと不安が混ざった子ども時代の思い出を感じさせる。
Jean-Marie Appriouの彫刻は、緑豊かな植生から生まれ、荒い海から出てくる子どものような像を通して、異なる波の間で捉えられた、生き生きとした存在感を私たちに直面させる。
宮崎啓太の車と折り紙を連想させる要素から作られた神秘的な彫刻。アーティストは、伝統の永続化、技術産業の未来、グローバル化された市場経済について、作品を通して疑問を投げかけている。
鈴木友昌は日本の木彫りの伝統を生かした小さなサイズの彫刻世界を展開させた。
Petrit Halilajの作品「Abetare」は、彼の個人的な経験と、コソボの最近の政治的および文化的緊張に関連した集団記憶とを組み合わせたもの。
Anna Hulacova「Good morning morning」は、疎外環境に変身する家族を保護する繭のイメージを歪めせた。
価値の伝達と共有の場所、台所は家庭の中心的な場所を占めている。
横山祐一は「Beasts and Ourselves, of Glasses」で、キメラの神話的な姿に触発された。 アトリエ・ロワール=シャルトル(les Atelier Loire)のガラスから表現された、ライオンの頭部の数々のバリエーションを提案している。
夢と想像力に溢れた日々もあれば、トラウマに残るような体験もある、こども時代。
表現の自由や可能性を通して、生きることの喜びや葛藤を教えてくれるような展示に、ぜひ足を運んで欲しい。
「Enfance/こども時代」展
・期間 : 6月22日〜9月9日
・会場 : パレ・ド・トーキョー 13 Avenue du Président Wils 75016 Paris
・日本人参加作家 :
Amabouz Taturo(旧名 西野達)、栗林隆、鈴木友昌、宮崎啓太、毛利悠子、森千裕、横山祐一
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