インスパイアされる旅とパリの日々

パリから日帰りアート三昧の旅 -Un été au Havre-

初めまして!Enchantée !
人生の中で一番パリに長く住んでいる、かなり和顔(自転車に乗っているフランス人のおじさんがクルリと振り返って戻ってきて、君は浮世絵にそっくりだ!と言われた経験など)だけど、パリジェンヌな石坂紀子です。

よくフィガロジャポンでも一緒に仕事をしているフォトグラファー篠あゆみさんから、回遊魚のように動き続けていないと死んでしまうのでは?と言われるくらい、お出かけや楽しいこと、そして何よりも旅が大好きな私なので、それをブログとして時々書いていけたらと思っています。

では、朝5時に目覚ましをセットして早起きした日帰りルアーブルの旅、の巻。

パリのサンラザール駅から約2時間。あっという間にノルマンディー地方のル・アーブルに到着。

ちなみにル・アーブルは第二次世界大戦の空爆でフランスの中で一番ダメージを受けた都市でもあり(なんと9790トンの爆弾が落とされたそう、どれだけ凄まじい様子だったのか想像に難くない)、そして有名な港町でもある。

150ヘクタールに及び焼け野原だった場所は建築家オーギュスト・ペレによって約10年かけて都市計画が立てられる。若い頃には、このモダンな建築群を醜悪だと感じる気持が強く、数時間だけ来たことがあるル・アーブルを素敵だと思う気持はみじんもなく・・・

でも友人でもあるフランス人フォトグラファーにペレの建築に風とスペースを感じる気持ちの良い街だといわれて、大人になってから見に行ってみたい気持ちが強くなっていた。そんな時にル・アーブル500年記念にちなんだカルチャープログラムUn été au Havre (ル・アーブルの夏)のオープニングのお誘いを頂いたのはタイミングが良すぎて、ちょっとビックリしてしまうくらい。

パリからの列車の旅は景色がのどかで、空が広い。日本のように山に囲まれてない平坦さをつくづく感じてしまう。世界の車窓から・・・

170613_2.jpg

プログラムを熟読してみると、なかなか良さそう?ちょっとした遠足気分にもなり、早朝出発だというのにすっかり元気回復してル・アーブルの一日が始まりました。

170613_1.jpg

実は駅がすでにアートの旅へのスタートなのでした!
駅の上に何かある?
Julien Berthierの作品は海まで見渡せるスケールの大きな作品。
ハンサムなデザイナーみずから説明してもらうという豪華なプログラム。

170613_3.jpg

町中いたるところに、この看板が立っています。

170613_4.jpg

そしてビーチではLang & Baumannの作品。
青い空に白が映えて、素晴らしい!本当は建物の上に設置する予定だったそうですが、急遽設置場所を変更することになってサイズから全て見直したとのこと。
でもこのビーチに余りにピッタリなので、ここ以外の場所は考えられない。
海をバックにして作品を見たり、街を背景にして建物越しに見たり・・・

170613_8.jpg

作品を全部見せてしまうと訪れる楽しみが減ってしまうかも、と思いつつ

こちらのKarel Martensはル・アーブルの人々が所有しているビーチハウスの一部をペンキで塗ったカラフルな作品。一つのテキストからアルゴリズムで導かれた10色が450軒以上のビーチハウスに塗られている。海が解禁されてビーチハウスが設置されてイベントの開催まで時間との戦いだったそうなので、街の学生やボランティアが参加して出来上がったというのもとってもいい話。

170613_5.jpg

最後に日本人アーティストの塩田千春さんの作品 をご紹介。
オーギュスト・ペレ建築の代表作ともいえるサン・ジョゼフ教会。天井が高く塔を合せると全長108m!真ん中にそびえる塔に6500ものステンドグラスが使用されており、光が差し込むとなんともいえないマジカルな空間になる。教会にマジカルなんて不謹慎なのですが、宗教に興味がない方も、必見の建築です。
そこに展示された塩田さんの作品。
赤い糸が複雑に絡み合って、また違う魅力を感じさせる大作です。
一見すると小さな作品に感じてしまうのですが、実は8mもの高さだそう。
一緒に旅していたフランス人ジャーナリストも、これが一番好きな作品だと絶賛していました。

170613_6.jpg

せっかくフランスまで来たら現代アートを巡る旅、いかがでしょうか。
普通の観光とはまた違った魅力を発見出来ると思います。
私は現代アートが好きなのですが、スケールの大きい作品を見たり体験することにより、非日常的な感覚を味わえるので、やめられません。

あまりに充実した旅だったので、次回はル・アーブル建築編をお届けします。

UN ETE AU HAVRE
期間:2017年10月8日まで
www.uneteauhavre2017.fr/en

ARCHIVE

MONTHLY

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories