花で紡ぐパリの日常。

Numeroventi ―歴史とモダニティ、アートの融合する理想の生活空間―

今年は、「美しい場所に身を置く」ことをコンセプトに旅をしています。
なかでも、数年来ずっと夢見ていた場所を訪れることができました。

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イタリア・フィレンツェのアーティストレジデンス兼ホテル、Numeroventi(ヌメロヴェンティ)。

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高い天井にフレスコ画が描かれた古代の建築に、現代アーティストの作品、FRAMAやSanta&Coleなどのデザイン家具やヴィンテージも含め、世界中から丁寧にキュレーションされた空間は、まさに私の理想のインテリア。

先日、パリの装花先のギャラリーで展覧会が行われていたことをきっかけに交友があるNY在住のアーティストEsther Changが、以前このレジデンスに滞在していたと知ったことで、いつか行ってみたいという想いに拍車がかかり、2泊3日のショートステイで訪れることにしました。

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とにかく暑かった、夏のフィレンツェに上陸。歴史的な街並みは強い日光に照らされて、サングラスなしでは目を開けていられないほど眩しく、光が溢れていました。

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街を彩る淡いピンク、グリーン、クリーム色といった色使いは、パリでは見かけないので新鮮。

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これもパリではあまり見かけない、宗教画が街のいたるところに。フィレンツェは、ヨーロッパ都市の中でも特に宗教や歴史を重んじる、保守的な印象を受けました。

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ヌメロヴェンティにしても、フィレンツェの長い歴史と芸術、土地に深く根ざした上で、モダニティや新しいアートとの融合によってそれをさらに高めようという気概を感じます。

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毎朝、ロフトの真っ白いベッドで目が覚めて、最初に目に入るのが、天井一面のフレスコ画でした。時空を旅しているような、覚めてもまだ夢の続きのような、柔らかな朝の始まり。

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室内の素敵な調度品のディテール一つ一つにときめくだけでなく、パリの小さなアパルトマンでも、仕事用のデスクを置くスペースはなくてもこんなふうにシェルフをデスクとして使えばいいかもといったインテリアのアイディアもたくさん見つけられました。
そして、居住空間にアートがあるということの豊かさを実感できたのも、幸せな体験でした。

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できるだけヌメロヴェンティの中で過ごしたかったので、観光はあまりしなかったのですが、ひとたび気温40度の外に出れば、まるで水を飲むように、1日3回はジェラートを食べていた3日間・・・。

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大学の卒業旅行ぶりのフィレンツェ。当時初めて訪れ、感激したマーブル紙の老舗店、IL PAPIROの扉を再びノックしました。
洋服やインテリアの好みは年齢とともに少しずつ変わってきたけれど、十年以上経っても自分の心がときめくものというのがこの世にいくつかあって、マーブル紙は、その中の一つ。

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当時一目惚れして購入した、マーブル紙を革に加工して作られた財布を長年愛用していたものの、内側がボロボロになってさすがに使えなくなってしまっていたので新調できたらいいなと思ったのですが、今は作っていないそう。
代わりに、日記をつけるためのノートを数冊、買いました。紙は少し厚く、ざらりとしていて自分好み。スーツケースのネームタグは、日本にいる両親へのお土産に。

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自分自身がどんなものを、なぜ好きなのかにあらためて向き合えて、たくさんのインスピレーションをもらいました。街全体が宝物のようなフィレンツェに、また帰ってくることができますように。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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