花で紡ぐパリの日常。

すずらんを贈り合う、5月1日。

フランスでは、5月1日はすずらんの日と言われています。
この日には、大切な人にすずらんの花を贈り合う慣習があります。すずらんの花は “porte-bonheur” (幸福を運ぶ)とされていて、ベルの形をした可憐な白い花が連なって咲く姿や甘く芳しい香りは、受け取ったなら誰もが幸せで満たされる花です。

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面白いのは、フランスでは、この日だけは花屋としての営業許可がなくても、誰でもすずらんを売って良いということ。例年5月1日になると、どこからともなくたくさんのすずらん売りがパリの街に現れて、街角で小さなスタンドを立て、すずらんを売っています。今年はコロナ禍で、一般に街角で売ることはできませんが、やはりこの時期には大量にすずらんが出荷され、多くの人々のもとへと届けられます。

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すずらんの花を贈る相手は、恋人や家族、友人、お世話になっている人など、身近にいる大切な人であれば誰でも構いません。
すずらんの日には、メトロで目の前に座った人、道ですれ違う人、皆がすずらんの花を小脇に抱えていて、彼らは贈られた側なのか贈る側なのか、頬を幸福にうっすらと染めているように見えました。大切な人の幸せを願う人はまた、幸せなのだと知りました。自分ではない誰かの幸せを願う花を交換し合う手はなんて喜ばしくて美しいものだろうと思うと、胸がぎゅっとしました。

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私にとっても、すずらんは特別な思いのある花。
中学以来の親友の結婚式に、すずらんを150本束ねたブーケ・ド・マリエを作ったこともあります。
数年前のすずらんの日には研修先のフローリストですずらんをもらって帰ったことがあり、嬉しくて嬉しくて、当時借りていた小さな部屋でずっと眺めていたことを思い出します。

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今年のすずらんの日は、私は東京で過ごしましたが、たくさんの方のもとへ、すずらんをつかったブーケをお届けしました。
外出が制限されている中なので、母の日が近いこともあり、離れたご家族に花を贈り、ご自宅で過ごすGW期間中に飾って楽しんでほしいという方が多かったです。

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すずらんの日に限らず、なかなか会えないからこそシンプルに想いを伝えること、想像力と優しさを分け合うこと、自分以外の大切な人の幸せを願い、花を贈る(行動する)ということは、今の私たちの社会に差し込む一条の光のように、ほのかな希望になり得るのかもしれないと思います。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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