花で紡ぐパリの日常。

パリ、初めての保育園。

すっかりブログをご無沙汰してしまっている間に、季節が移り変わり、パリは晩秋をすぎ、初冬を迎え、ノエルの足音が聞こえてくるようになってきました。

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この秋、我が家では、息子を保育園に通わせはじめました。日本の保育園同様、まずは“アダプタシオン”と呼ばれる慣らし保育があり、初日は親同伴で1時間、2日目は親なしで1時間、3日目は1時間半・・・と段階を踏んでゆく仕組み。息子にとってはもちろん、親の私にとっても初めての経験で、最短5日間と言われていた慣らし保育ですが、結局我が家の場合、3週間かけて無事に終了しました。

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はじめの頃は、いつ呼び出しが来てもいいように、保育園近くのカフェで待機していました。事務作業や読書などできるかなと思っていたのですが、実際のところ、はらはらして、カフェラテ一杯もゆっくり味わう余裕がありませんでした。毎回、20分経つと状況を報告する最初の電話連絡があるのですが、この1度目の電話で「今日はどうしても無理そうです」となって、わずか20分で帰宅したことも。
息子は初めて親と離れるだけでなく、耳慣れないフランス語環境への適応も同時にしなければならず、小さな頭と身体で、新しい世界で必死なのがひしひしと伝わってきました。
慣らし保育もステップを行きつ戻りつ、保育園の先生方と試行錯誤しながら、日に日に息子は新しい環境にポジティブに向き合い始め、私もカフェ待機から自宅へ戻るようになり、自分のための朝食を用意したり、ちょっとした家事や仕事をこなせるようになってきました。

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保育園に息子を迎えに行った後、ベビーカーを押しながら、よくパリの街を散歩しました。いろいろな思いを巡らせながら、秋らしく黄金色に染まっていく街路樹を息子と一緒に見上げては、心癒されていました。

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また、しばしばセーヌ川まで足を伸ばし、川沿いの遊歩道を歩きながら左岸を眺めました。初めてパリに来た12年前(大学の卒業旅行でした)から、そして私が生まれるよりもずっと前から、変わらずそこにある風景。「たゆたえども、沈まず」というのはパリ市章にも刻まれた標語ですが、ノートルダムの火災を経てこの景色を見ていると、より一層その言葉が胸に響いてきます。
街だけではなく、ここに暮らす自分自身も、川にたゆたう船のように感じて、大きな流れに身を任せようと思える、不思議と心が落ち着く景色です。

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陽が落ちるのが早くなり、夕方も5時を回れば、もうすっかり空は紺碧色。セーヌも日中とは違った表情を見せます。
街灯のオレンジ色に心が温まり、家路を急ぐ途中にも、美しいパリの街並みについ、目を奪われます。

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保育園に通い始めておよそ2ヶ月が経った今では、息子は楽しく保育園で遊びまわっていて、この短い期間に親よりも遥かに成長を遂げた姿に日々驚かされます。また、保育園を通して私もフランス社会を深く知る機会が増えてきたりもして、新たな楽しみとなっています。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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