花で紡ぐパリの日常。

ストラスブールのマルシェ・ド・ノエルへ。

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先日、家族でストラスブールへ小旅行をしてきました。
ストラスブールは、パリ東駅からTGVで北へ向かうこと約2時間、ドイツに近いアルザス地方の都市。駅から歩いて間も無く、小さな川を渡ればもう、アルザス地方特有の古い建築様式の家々が並ぶ街が目に飛び込んできます。

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ストラスブールには、“キャピタル・ド・ノエル”、つまり、“ノエル(クリスマス)の首都”という別名があります。その理由が、毎年冬になると開かれる、街をあげての大きなマルシェ・ド・ノエル。ストラスブールは小さな街ですが、その中にいくつかのマルシェが点在し、それぞれのマルシェに、ノエルにまつわる様々なもの、例えばサパン(クリスマスツリー)に飾るオーナメントやオブジェ、そしてアルザス名物の屋台などがずらりと立ち並びます。

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オーナメントを販売しているスタンドはどこも鮮やかな色合いが眩しく、何を選べば良いか迷ってしまいましたが、一軒一軒のスタンドをじっくり吟味して、自宅のサパンに飾るオーナメントたちをいくつか購入しました。

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アルザスの名物料理のひとつ、シュークルートの屋台。シュークルートのメインは、たっぷりの発酵キャベツ。そこに、ソーセージやベーコンなど数種類の肉やじゃがいもが添えられているのが一般的です。屋台からは、もうもうと上がる湯気に乗って、発酵キャベツの酸っぱい匂いと肉の匂いが運ばれてきて、ついついそちらの方へ吸い寄せられてしまいます。

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また、よく見ると、ヴァンショー(ホットワイン)やショコラショー(ホットチョコレート)などの屋台では、どこも同じカップで飲み物を提供していました。飲み物代に、カップ代1ユーロがプラスされた料金を支払い、飲み終わった後にスタンドに戻せば1ユーロは返金されるという仕組みです。そうでなければプラカップのゴミが大量に散乱するであろうと思うと、よく考えられているなと感心しました。

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中央のクレベール広場には、マルシェ・ド・ノエルのシンボルとなる巨大なサパンが。思い切り後方へ下がらないとカメラで全貌が写し切れない高さで、全長30メートル近くあるのだそう。足元にある移動遊園地のメリーゴーランドが小さく感じてしまうほどです。
ノエルのものを見ると、もしくはノエルと聞くだけで、無条件に胸が高鳴ってくるのは誰しも同じなのでしょうか。私たちはもちろん、歩いている人たちは皆嬉しそうに、わくわくした子供のような目でマルシェを楽しんでいました。

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ただ、パリに輪をかけて、とにかく寒いストラスブール。まずは腹ごしらえをして身体を温め元気をつけようということで、老舗のビストロで、タルト・フランベとシュークルートを。
何を隠そう、私は何よりもこれを楽しみにしていました。パリの近所のマルシェでもシュークルートの屋台はあり、豚肉のスタンドにも惣菜として売っているのですが、今までパリで食べたものはどうも酸味が強すぎて、最後まで食べ切れないことが多かったのです。本場のシュークルートは優しい味で、無限に食べ続けられそうな軽さでした。

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うんと薄いピザのようなタルト・フランベも、生クリームと玉ねぎとベーコンというごくシンプルなクラシックなものが美味しくて、こちらもペロリと食べられました。寒さのあまり体調も意識も低下気味だったのですが、美味しいものを食べていると元気が出てきて、今思い出しても恋しくてお腹が空いてきます。

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ストラスブール大聖堂を訪れると、チェロを弾くアーティストの姿が。曲の合間にかじかむ手を擦り合わせながらも、街並みによく似合う、優しく温かみのある旋律を奏でていました。
ちなみに息子はというと、朝のTGVに乗るために早起きしたせいもあってか、早々にベビーカーの中でぐっすり眠っていました。

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夜になると、街はライトアップされて、より美しく変貌を遂げていました。どの小道にも白樺がしつらえてあり、それぞれのお店が競うようにして華やかにデコレーションされたウィンドウを見物しながら夢見心地で歩いているうちに、ひらひらと雪も舞い落ちてきて、マルシェ・ド・ノエルを白く彩っていました。

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ちなみに、ストラスブールには有名なパティスリーも多いらしく、パティシエの夫は今までにもう4回ほど訪れているのだそう。今回もいくつかまわったのですが、中でもネゲルという1927年創業の老舗パティスリーでは、夫は傍目にもわかるほど目を輝かせて色々と買い込んでいました。パン好きの息子も、ノエルの時期になると出てくる人型のパン、マナラを買ってもらって大喜びでした。

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パリに戻ってきてからは、ストラスブールのパティスリー巡りの戦利品、ケーク・シトロン(レモンケーキ)やシュトーレン(アルザスの伝統的なクリスマス菓子)を少しずついただきながら、「寒い」と「楽しい」を交互に口にしながら歩いたマルシェ・ド・ノエルの思い出話に花を咲かせています。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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