J.M.ウエストンが女性用コレクションを発表し、クラピッシュ監督がショートムービーを制作した。
Paris 2013.11.06
大村真理子の今週のPARIS
メンズライクな靴。現代女性のワードローブには欠かせない。ボーイフレンドや兄弟のを借りることもいいけれど、"私だけ"のウエストンがこの秋から可能になった。
ジェイ・エム・ウエストン(J.M Weston)というのが正しい名前で、1891年に創業された紳士靴のブランドだ。上質な革を使い、巧みな職人仕事が仕上げる丈夫で履き心地の良い靴は、クラフツマンシップという言葉に弱い男性たちの憧れの的である。過去に女性用も少し存在したが、この秋冬、初の本格的女性用コレションが発表された。全7型で、9月末から店頭にすでに並んでいる。メンズ同様、ミッシェル・ペリーがクリエーティヴ・ディレクター。デザインはメンズシューズをベースに、そこにわずかばかりのフェミニンタッチを効かせている。むき出しのセンシュアリティより、こうした控えめさが逆に女性をよりフェミニンで官能的に見せるという仕掛けだ。季節ごとのトレンドとは関係なしに、時代を超越したクラシック・シューズという点も、メンズシューズと同じ。最近、サントノーレ通り243番地に新しいブティックがオープンした。コレットやジュエラー広場のヴァンドーム広場の近くなので、試しにいってみよう。

(左)520ユーロ、(中)470ユーロ、(右)490ユーロ。 photos Bertrand Bozon

(左)700ユーロ。photo Bertrand Bozon (中)490ユーロ(ゴム底)。(右)570ユーロ。モデルは女優のイジルド・ル・ベスコ。photos Niclas Hidiro Glou

特別オーダーも受け付けている。クラシックでシンプルなフォルムに例えばこんな色や素材で遊んだ一足を誂えては?オーダーから完成までは約2か月。photos Berdrand Bozon
このコレクションの発表に際して、ウエストンはショートフィルムの制作をセドリック・クラピッシュに白紙依頼した。過去にアンドレがメンズコレクションのために制作した映像は15分近くあるが、クラピッシュ監督のは5分。短い! と思うなかれ。短編のミステリー映画を見た充実感が十分に得られるのは、さすが名監督の仕事である。ストーリーは見てのお楽しみ。ウエストンのサイトで、フィルムのタイトル「LA CHOSE SÛRE」をクリック!

フィルム「LA CHOSE SÛRE」のメーキング・オフより。左上は撮影中のクラピッシュ監督。©Anthony Dorfmann