こんな屋台があったなら!パリの建築・文化財博物館で無料展示。
Paris 2013.11.20
大村真理子の今週のPARIS
ハンバーガー、ホットドッグ、フィッシュ&チップス......。ストリート・フードが人気のパリ。フード・トラックの数も増えている。最近はプラリネ売りも自転車で街を周遊しているとか。そんなパリで、タイムリーな展覧会が12月2日まで無料で開催されている。

会場入り口に並べられた海外のさまざまな調理器具。旅先で市場をのぞいているような気になる。
トロカデロ広場に面したシャイヨー劇場と同じ建物に入り口のある建築・文化財博物館。地下フロアーの廊下をかなり長いこと歩くと、「Ma cantine en ville , voyage au cœur de la cuisine de rue(行きつけ屋台食堂、ストリート・フードの旅)」展の会場に行き着く。人口が増え続ける都会でどのような食事が考えられるか、そしてその食事時間をいかに社交の場とするか、というテーマで、デザイン、建築、エンジニアといった部門の学生を対象に昨年開催されたコンクール。300作品以上集まった中から、その受賞者5チームのアイデアによるリアルサイズの木製の屋台模型が、この会場に展示されている。いかに食材が運搬され、調理され、食されるのか......眺めながら、つい想像してしまう。

展示作品より。パリの有名なデザイン校ブールの女生徒3名による「Ramène ton bol」。ビストロ定番のチェック模様のクロスが効いている。会場では模型も同時に展示。

(左)蒸籠を並べた蒸し物屋台「La machine à la vapeur」。(右)鉄板を設置したグリル屋台「Au coin du grill」

(左)「Deux à deux」の内部。(右)入選30名のミニ模型も展示。
屋台といっても一種のミニ建築。5作品とも機能性に優れているだけでなく、デザイン的に美しい。二輪車、三輪車がこうした蒸し物やグリルの屋台をひいてパリの街に登場したら、すぐに人気になるだろうというおしゃれなタイプだ。
会場の壁に並べられたスクリーンには、アジア、アフリカ、アメリカ......世界各地のストリート・フードの写真が映写される。そのバリエーションの豊かさを見るだけでも、この展覧会は十分に面白いといえるほど。経済的に恵まれた国でもそうでない国でも、ストリート・フードになごやかな雰囲気が漂うのは共通している。都市の発展とともに姿を消した屋台のカムバック。そのうちラーメン屋台もパリに出現するのだろうか、などとふと......。

壁のスクリーンに次々と登場する世界のストリート・フード。

世界各地のストリートフードの写真、このプロジェクトの受賞者たちの作品、製作風景などをおさめた展覧会のカタログ。博物館の書店にて購入できる。25ユーロ。
Cité de l'architecture & du patrimoine
Galerie des expositions temporaires
1, place du Trocadéro
Paris 16e
会期:開催中~2013年12月2日
時間:11:00~19:00(木曜 ~21:00)
休)火曜
入場無料