シャネルがメセナ! パリ・オペラ座にジュニア・バレエが生まれる。

パリ・オペラ座のシーズン24/25の発表時にすでに創立について触れられたJunior Ballet de l'Opéra National de Paris(パリ・オペラ座ジュニア・バレエ)。その詳細がやっと発表された。スタートは2024年の9月で、18名(男性9名、女性9名)で最初の年は構成される。来シーズンに6名を加えて、定員の24名に満たすそうだ(もっともこの18名の中から2025年の外部入団試験を受けてカンパニー入団者が出た場合は、24名の定員確保のため来シーズンに加えられるのは6名以上となる)。各人が2年のプロ契約をオペラ座と結び、パリ・オペラ座バレエ団のクラシックおよびコンテンポラリーのレパートリー作品が踊れるようになれる養成を2年間受けるのだが、その間に実際にステージに立つ機会も設けられている。2025年5月以降にはフランス国内ツアーがあり、またバレエ団の公演についていえば来シーズン、2025年3月8日から4月23日までと6月27日から7月14日までの2パートに分けて合計30回の公演が行われるルドルフ・ヌレエフ の『眠れる森の美女』にコール・ド・バレエの一員としてステージで踊るのだ。

今シーズン、『リーズの結婚』の公演時期と『ドン・キホーテ』のリハーサル時期が重なり、配役表を見るとコール・ド・バレエのダンサーの中に臨時契約者の名前が多く数えられた。前シーズンでいえば、公演『ジョージ・バランシン』の『バレエ・インペリアル』でも同様で、この時のコール・ド・バレエの踊りには''寄せ集め''感がいささか否めなかった。今後カンパニーの団員数が足りない公演においてフレンチスタイルに慣れ親しんだジュニア・バレエの団員たちが踊ることによって、ステージ上の統一がより得られるとなれば観客にも喜ばしい。

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来シーズン、オペラ・バスティーユで踊られる『眠れる森の美女』でジュニア・バレエの活躍が見られることになる。photo: Ann Ray/ OnP

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入団者は8月から12月にかけて集中レッスンを受ける。ポワントやパ・ド・ドゥといったクラシックバレエだけでなく、コンテンポラリー作品のための仕事も含まれている。来年1月から4月は、『眠れる森の美女』のリハーサルと公演。また3月半ばからは、5月から始まるツアーのための稽古にも入る。ツアーとは別に、6月12、13、14日にはヴェルサイユのロイヤル・オペラ劇場で踊ることもすでに決まっているというから、入団希望者の心はさぞそそられることだろう。さて具体的にどういった作品を稽古するのかというと、以下が予定されている。ツアーで踊られる可能性のある作品らしい。またコンテンポラリー作品については、実際に振付家たちと仕事をする機会が設けられ、さらに2年目には若い振付家とのクリエイションも行われる予定だ。

  • ルドルフ・ヌレエフ 『ライモンダ』からグラン・パ・クラシック
  • ピエール・ラコット『ラ・ヴィヴァンディエール』のパ・ド・シス
  • オーギュスト・ブルノンヴィル『ナポリ』よりパ・ド・シス
  • ウラジーミル・ブルメイステル『白鳥の湖』からパ・ド・カトル
  • セルジュ・リファール『ヴァリアション』
  • ジョゼ・マルティネス『ミ・ファヴォリータ』
  • ジャック・ガルニエ『オーニス』

パリ・オペラ座のアレクサンダー・ネーフ総裁はこの創立について、こう語った。「パリ・オペラ座は常に活動し続けていたいという意思であり、そして数世紀に渡るメゾンのヘリテージを守りつつ、創造と養成と伝承の革新的形態を提案する意欲を意味しています」。ジョゼ・マルティネス芸術監督の下、ジュニア・バレエ団のために芸術面、教育面、事務面でのチームが形成されるそうだ。引退したダンサーたちにとっての仕事場となるのだろうか? ジュニア・バレエの目的は若い才能の育成、ダンサーのプロフィールのダイバーシティでありオペラ座バレエ学校卒業生の養成の継続、メゾンの遺産の伝承と現代のクリエイションの奨励、メゾンの威光の伝播とされている。この実現は多くのメセナ、財団、寄贈者たちのおかげによるものだが、その筆頭となるのがシャネル。ジュニア・バレエ創設メセナである。

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3月に行われた来シーズンのプログラム発表にて。ジョゼ・マルティネス芸術監督(左)とアレクサンダー・ネーフ総裁。photo: E.Bauer/ OnP

第1期の18名は、7月2~3日に行われるパリ・オペラ座の外部入団試験において選ばれる。この日程の前にオペラ座バレエ学校の第1ディヴィジョンを対象にした内部試験が行われ、ここでカンパニーに入団できなかった生徒たち、そして過去の卒業生、ほかのバレエ学校の生徒やほかのバレエ団のダンサーたちが参加して行われるのが外部入団試験である。内部試験で入団者数が不足すると、この外部入団試験によって入団者が追加されるのだ。たとえば今シーズンは男女それぞれ5名が入団しているが、その内訳は女性2名と男性4名は外部試験の結果である。今回の外部試験ではカンパニーだけでなくジュニア・バレエ団の入団者も選ばれる、ということになる。その申し込みの資格の年齢は17歳から23歳までで、申し込み締め切りは6月9日。その結果を早く見てみたいと期待させる、パリ・オペラ座の新しい試みでは?

editing: Mariko Omura

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