ジェルマンやユーゴ、パリコレとパリ・オペラ座のエトワールたち。

パリで開催されるファッションウィークでは、毎シーズン、パリ・オペラ座のダンサーの姿を招待客として、あるいはモデルとしてショーの会場で見ることができる。たとえばヨウジヤマモトの2024-2025年秋冬メンズコレクションのショーでは、映画監督のヴィム・ヴェンダースとリンクコーディネートで仲良くオニール八菜がランウェイをゆっくりと歩いた姿が印象的だった。またドロテ・ジルベールは若手スター・デザイナーのWeinsanto(ヴァインサント)のショーで、ファーストルックを着て登場したことがある。

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「ヨージ・ヤマモト」2024-2025年秋冬メンズ・コレクションより、ヴィム・ベンダースとオニール八菜。photography: Spotlight

今年7月のオートクチュールウィーク中、フランク・ソルビエのショーで踊ったのは、プルミエール・ダンスーズのシルヴィア・サンマルタンだ。メゾン・マルジェラ「アーティザナル」のショーには、エトワールのギヨーム・ディオップが招待客として着席していた。

さて、 2026年春夏のウィメンズコレクションを発表するパリ・ファッションウィークが9月28日から10月7日まで開催された。9月29日に行われたALAINPAUL(アランポール)のショーには、エトワールであるジェルマン・ルーヴェがモデルとして登場。今回のショーのテーマは「オーディション」である。服を着る行為というのは、毎日が個人的なオーディションということで、デザイナーのアラン・ポールはそれをダンスの世界に重ね合わせたのだ。ランウェイの周囲に並べられた机にはオーディションの審査員を演じる招待客がいて......その中にはプルミエ・ダンスールのアンドレア・サーリの姿も! なお9月27日にオペラ・ガルニエで開催されたシーズン開幕ガラで、ジェルマンはALAINPAULのタキシード・ハカマ風のパンツとロングジャケットでエトワール集合写真に収まっている。自身のインスタグラムでも6カットも公開しているように、ALAINPAULのクリエイションにインスパイアされるものがあるようだ。

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ジェルマン・ルーヴェ。筋肉が細く長いのだろう。モデル体型のダンサーとして彼の右に出る者はいない。©ALAINPAUL

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左:ダンスシューズにインスパイアされた靴をモデルもジェルマンも履いている。 右:アラン・ポール。©ALAINPAUL

ジェルマンは10月3日のVaillant(ヴァイヤン)のショーにも出演した。モデルとしてではなく、ここではアリス・カトネ(スジェ)とパ・ド・ドゥを披露したのだ。デザイナーのアリス・ヴァイヤンはパリ・オペラ座バレエ学校でダンスを学び、オペラ座のクチュール・アトリエでも仕事経験があるというように、とてもダンスと蜜な関係を持つデザイナーなのだ。ショーの会場に彼女が選んだのは、自身も子ども時代にステージに立った経験があるというオペラ・バスティーユの地下に広がる円形階段ホールだ。彼女のノスタルジーが込められたショーの最後にふたりが踊ったのはEric Christisonによる振り付けで、これはショーの背景ではなくコレクションとの対話だと彼女は語っている。

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Vaillantのショーの終盤にパ・ド・ドゥを踊るジェルマン・ルーヴェとアリス・カトネ。©Vaillant

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左:Vaillentのショーより。 右:アリス・ヴァイヤン。©Vaillant

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現在パリ・オペラ座の男性エトワールの双璧をなすのは、このジェルマン・ルーヴェ、そしてユーゴ・マルシャンだろう。彼はこれまで招待客としてのパリコレ参加が多かったが、アニエスベーの創業50周年を祝うショーではランウェイ上に! といってもコレクションを着て歩いたのではないが。ダンスのタイツとショーソンでバロック音楽に合わせて、グラン・ソーなど彼らしい大型のダンスでランウェイを制覇。ダンスウエアの上に着ていたTシャツは、Hugo Marchand pour la danseという彼が創立したアソシエーションと芸術をサポートするアニエスベーによるコラボレーションで、毎年夏期にフランス国内のシャトーを背景にユーゴがオーガナイズするガラ「Les étoiles au chateau」の際に販売されている(45ユーロ)。ショーの最後にはアニエスをユーゴがエスコートし、仲良く話しながらランウェイを歩き二人でフィナーレを飾った。

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左:エトワールのユーゴ・マルシャン。 右:アニエスの腕をとりランウェイを歩くユーゴ。photography: Spotlight

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さてパリコレではなくロンドン・コレクションのクリエイターへと話が移るが......。パリコレ期間中、オペラ・バスティーユでは10月6日にトリプルビル『Racine』が幕を開けた。そのひとつで英国ロイヤル・バレエ団によって2018年に初演され、今回パリ・オペラ座のレパートリー入りをしたクリストファー・ウィールドン振付の『Corybantic Games』はダンスもさることながら、ファッション性の高い衣装が実に魅力的だ。デザインしたのはERDEM(アーデム)のアーデム・モラリオグルで、この作品のために彼は初めて男性のためのデザインを行うことになった。配役されているエトワールはヴァランティーヌ・コラサント、ブルーエン・バティストーニ、ロクサーヌ・ストヤノフ。公演は11月10日まで続くので、機会があればぜひ!

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トリプルビルRacineのポスターに選ばれた写真は、アーデム・モラリオグルがデザインした衣装で踊られる『Corbantic Games』の1シーンだ。©OnP

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『Corybantic Games』より。左はサミュエル・ブレイ、右はエトワールのロクサーク・ストヤノフ。photography: Maria Helena Buckley/ OnP

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『Corybantic Games』より。中央はカン・ホユン。photography: Maria Helena Buckley/ OnP

editing: Mariko Omura

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