標高1500mの爽やかな高原山岳地帯に佇む
コロニアルスタイルの美しいホテルキャメロン ハイランズ リゾート~キャメロン・ハイランド/マレーシア~
ホテルへBon Voyage 2015.10.09
熱帯マレーシアという印象のマレー半島には様々な顔があり、中央部に広がるパハン州には、キャメロン・ハイランドを中心にマレーシアを代表する高原リゾートが点在しています。平均気温20℃、爽やかな環境にはお茶畑のプランテーションやイチゴ畑が広がり、リゾート地らしい賑わいが見られます。このたび、長い間ずっと望んでいた「キャメロン ハイランズ リゾート」への滞在機会を得ることができました。想像通り、また写真の通り、リゾートはしっとりと木造りのコロニアル調で、多くの歴史を秘めた高級感が魅力的でした。

ホテルの全景、木造のコロニアルスタイルが印象的。
ホテルのストーリーは1885年に始まります。英国の国土調査官ウィリアム・キャメロンが初めてこの地を訪れたことからホテル名となりました。現在のホテルはリニューアルオープンし2006年に創業しています。

ホテルの前にはゴルフ場が広がり、日本人ゲストの多くがその公営ゴルフクラブでゴルフを楽しむということです。館内はすべてが木造りであることから、重厚感と温もりのある印象です。窓やドアのフレンチ様式、プランテーション様式の雨戸、フローリング、ベッドまで天蓋付きのコロニアル調です。




ここでゲストが興味を抱くのは、1967年に起きたジム・トンプソン失踪事件でしょう。米国人であるジム・トンプソンはタイで成功し、シルク王として世界に知られていました。キャメロン・ハイランドは、彼のお気に入りの休暇先であったと言われ、セカンドハウスがありました。さらに、「キャメロン ハイランズ リゾート」にも安息によく訪れていたというのです。そしてある日のこと、ジム・トンプソン氏はこの地、キャメロン・ハイランドから突如として姿を消し、大掛かりな捜索もむなしく消息不明のままとなったのです。すべてが 謎となり、失踪や誘拐、暗殺、ジャングルでの遭難など、当然ながら憶測が飛び交ったものの、2015年の現在もなお真相はわからずのままにあるのです。
日本では、作家・松本清張がこの事件を題材に小説「熱い絹」を書きました。現在、このリゾートでは、ジム・トンプソン・ミステリー・ツアーとして、ジム・トンプソンが休暇に暮らした「月光荘」までジャングルを歩くアクティビティがありますが、今はその家主が変わり、ひっそりと森に佇むその家までは近づけず、遠目に見るだけになっています。

もうひとつ最高のアクティビティといえるのが、リゾートから車で30分ほど山に入り、穏やかな山肌に広がるお茶畑の中で楽しむピクニックです。360度のなだらかに広がる高原の頂には、前もってスタッフがピクニック用のシートを敷き詰め、暑い日差し除けの傘を用意し、食事や飲み物も準備されています。茶畑の広がる丘陵地で、贅沢で爽快なピクニックが楽しめます。植民地時代の優雅なマダムたちも、茶畑でこうしてアフタヌーンティーを楽しんでいたのかもしれません。(K.S)



Cameron Highlands Resort
39000 Tanah Rata, Cameron Highlands
Pahang Darul Makmur, Malaysia
TEL: 605-491-1100 FAX: 605-491-1800
www.cameronhighlandsresort.com
部屋数:56室
料金:(参考価格、季節により異なる)USD.300~
施設:ザ・ダイニング・ルーム、ジム・トンプソン・ティー・ルーム、レストラン「ゴンベイ」、ハイランズ・バー、ジム・トンプソン・ブティック、スパ・ヴィレッジ、ボールルーム、他
アクセス:クアラルンプールからは長距離バスかタクシー
国際空港から220km、約3時間30分
取材協力:マレーシア政府観光局/マレーシア航空
Photos: Cameron Highlands Resort

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com