アマンプリ
プーケット/タイ
デビューから32年を経て、進化し続けるアマンプリ。
ホテルへBon Voyage 2020.03.07
最後に訪れた時が明確に思い出せないほど、久しぶりの「アマンプリ」でした。
青い海と、高く真っすぐに伸びた椰子の木、世界初のミッドナイトブルーのプール、タイ王朝時代の邸宅を模した贅沢なパビリオン……。アンダマン海に面したリゾート「アマンプリ」は、1988年にアマンの初めてのリゾートとしてプーケットに誕生以来、実に華やかに歴史を刻んできました。もともと創設者が「ただ、親しい友人たちを呼んで楽しく過ごしたかっただけ」と語ったことも、もはや伝説となっています。
到着時に訪れるアライバルパビリオン。オープンエアの美しいアユタヤ王朝を模した建造物。
心地よい海風が吹き抜けるオープンエアのエントランスは、磨き抜かれたチーク材が時を経て色艶を一段と増したくらいで、何も変わってはいませんでした。創業当時と同じように、エントランス前の可憐な睡蓮の花も、ちょうど蕾を膨らませ、まるで歓迎してくれているかのようでした。
リゾートの中央には、椰子に囲まれた27mのプールがあります。これは、黒く見えるだけで、本当の色はミッドナイトブルーのタイル張りです。これも当時は世界にふたつとない洗練された色使いでした。当時はホテルのプールといえば、判で押したようにどこもスカイブルーでしたから、創業者はそんな概念を壊し、大胆かつロマンティックに、深夜のようなブルーを使ってみせたのです。この色のおかげで、周囲の木々や建物は一段と美しく水面に映り込み、風のない日などはまるでガラスに描かれた絵のような情景を見せてくれます。
敷地の中央にあり、ミッドナイトブルーのタイルを敷き詰めたアマンプリのメインプール。
大きな階段を下りればビーチ、キッズの遊ぶエリア、ビーチクラブ、日本食レストランなどが点在。
「アマンプリ」に“平和なる土地”の意味があるのは、もうご存知かもしれません。タイ料理を提供するプール際のメインレストランで食事をしながら、ロケーションの素晴らしさを愛で、類まれなリゾート造りの感性に酔いしれ、長い時を経ても古びることのないリゾートに佇んでいると、“平和なる土地”と名付けられた意味が深く理解できるような気がしてきました。
ガーデンパビリオンの緑に囲まれたサラ(sala)は多目的なリビングルームとしてシエスタや食事、ティータイムも快適に。
アマンプリのヴィラにはオーシャンヴィラとガーデンヴィラがある。2ベッドルームから贅沢な9ベッドルームまで揃い、プライバシーが守られた豪華な設えは、ダイニングエリア、リビングエリア、プライベートプールなどを併設。サービススタッフは常時2名が従事。
アンティーク家具やアート満載の豪華なヴィラ。こちらはリビングルームに併設されたオープンスペース。
「アマンプリ」もほかのアマン同様、未来を見つめて進化中です。訪れた2020年1月のある日、リゾートの入り口近くに日本を代表する建築家、隈研吾氏デザインによる「リテールパビリオン」(ブティック)を見つけました。建物は古都アユタヤの伝統建築を模しており、急勾配の折り重なる屋根は「アマンプリ」のデザインに調和しています。ブティックの中には、地元で活躍するアーティストはもちろん、世界のデザイナーやアーティストとのコラボレーションによるアマンのセレクトアイテムが並び、これまでのブティックとはまったく異なるショッピングが楽しめます。
本格タイ料理「アマンプリ ザ・タイレストラン」。コンセプトは“ファームトゥフォーク(農場から食卓へ)”。
タイ料理は激辛のジャングルカレー、パッタイなどカジュアルな料理や、皆でシェアするアマンプリ特製の大皿料理までメニューが豊富。
いっぽうで最も進化したのが、増築されて大きくなったスパの存在です。充実したウェルネスセンターとして、ひとりひとりにカスタマイズされるプログラムやメニューが用意され、1泊2日、3泊、5泊、あるいはそれ以上のプログラムも用意され、集中セッションから「オリジナル イマージョン」(最低3泊)、「インテンシブ イマージョン」(最低5泊)までこまやかに対応してくれるといいます。
特に最低5日間からの「インテンシブ イマージョン」は、出発前に送られてくるアンケ―トに応えることからスタート。リゾート到着後には、スムーズにドクターによる問診や身体検査、血液パネル検査、オリゴスキャン重金属検査などが実施され、トリートメントや栄養プラン、さまざまなムーブメントセッションなどを専門家とともに行い、プライベートに身体の浄化や健康を目指す滞在となります。アマンは贅沢に終始せず、滞在することで健康と美をライフスタイルに取り込むウェルネスを提案、専門性の高い分野でも進化を続けていました。
アマンスパで受けるトリートメントのプロダクツはフルーツや漢方、ハーブから作られるオール自然派。
Pansea Beach, Cherngtalay, Thalang District Phuket 83110 Thailand
tel:0120-951-125(日本語対応フリーダイヤル/アマン共通)
客室数:パビリオン40室、ヴィラ30室(2~6ベッドルーム)
料金:パビリオン700ドル〜
施設:レストラン(タイ料理、日本料理、イタリアン、ラウンジ、プールバー)、プール、スパ、スポーツジム、ショップ、リテールパビリオン、ほか
www.aman.com/ja-jp
アクセス:プーケット国際空港から車で約30分。
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Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com