HOTEL GREAT MORNING(ホテル グレートモーニング) ~博多・福岡~ 画期的! 風もなく音もしない、エアコンのないホテルで「快適な」滞在。

文/せきねきょうこ

湿度の少ない快適な気温のはずのヨーロッパの夏でさえ、今年はどの国も熱波に襲われ40度を超す日々が続いています。地球規模で気候変動が起こり、山岳地帯では、数億年前にできたと言われる氷河でさえ溶け出すいま、私たちはどのように季節と対峙すればいいのでしょう。そんな厳しさの中、「エアコンのないホテル」に出会いました。

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夜景も清楚なホテル外観。Photo: HOTEL GREAT MORNING

そのホテルは福岡市博多区の一画に建つ「ホテル グレートモーニング」。ホテル名の通り、快適な室温と環境対策が快眠に繋がり、素晴らしい朝を迎えられるのです。開業は2018年11月、部屋数24室の小規模ホテルでした。細やかな気遣いが行き届くクリーンな宿は、随所に人にも環境にも優しい取り組みがなされています。

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すっきりとした館内、清潔感漂うロビーにはF-CONが設置され、言われないと気付かないインテリアの格子戸のようにも見える。Photo: HOTEL GREAT MORNING

さて、エアコンが必須となった現在の高温多湿の日本において、また、ゲストを迎えるホテルとして、エアコンを必要としないのはなぜでしょう。ホテルのホームページにはこう書かれています。「泊まれば泊まるほど、地球も人も喜ぶホテル」。館内には、酷暑も、極寒も、すんなり乗り切ることができるという、風も音も無い理想的な冷暖房システム「F-CON」(エフコン・輻射式冷暖房・FUTAEDA株式会社)が使われていたのです。

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スイートルーム(60㎡)のリビングと寝室。ここでもF-CONはすっきりとしたルームインテリアのように見える。左壁際がキッチンで長期滞在にも一役買う。ソファー、机、ゴミ箱、靴ベラ、スツール、ハンガーはTEORI社製。竹の歯ブラシやコームブラシはSUS ORGANIC社製。歯磨きのペーストは食べても大丈夫な製品で研磨剤不使用など、細部までこだわりが。Photo: HOTEL GREAT MORNING

F-CONは無風のために肌や髪の乾燥も心配ありませんし、体を冷やし過ぎる不快感もありません。無音の装置であることから、たとえば「エアコンの音がうるさくて眠れない……!」ということもないのです。F-CONは自然界の温度変化の原理と同じように「遠赤外線の『輻射・放射』を最大限に活用することで、室内の快適温度を実現する」という冷暖房設備です。客室内はまるで森林浴のような爽快さを感じる快適温度に保たれています。

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実はこの装置を開発したのが、ホテルのオーナー企業。F-CONのFはオーナー名である二枝氏の「F」だったのです。さらにF-CON は、無風なことからアレルギーの原因となるホコリやダニ、花粉などを巻き上げることもありません。実はF-CONはすでに全国で使われており、現在1720物件(2022年6月末現在)にも普及しているといいます。病院や公的な施設、オフィス、学校などの他、戸建ての一般住宅、マンションにもといい、自宅に設置できているなんて羨ましい限りです。

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ロゴ入りのタオルやバスローブは竹を原材料にしたバンブーレーヨン。軽くてコットンよりも水の吸収がいいシルキーな風合い。Photo: HOTEL GREAT MORNING

ところでホテルは環境対策にも熱心な取り組みが施され、F-CON以外にもたとえばハンガーや歯ブラシ、ベッドにも強度の確かな竹が導入されています。強度もあり、人にも優しい竹製品にこだわるオーナーは、これら製品を岡山真備町にある「TEORI」(テオリ・国産竹使用)から仕入れています。テオリはSDGSにも熱心に取り組む企業。ホテル内も自然素材の建築資材が多く使われており、アメニティーのタオル類などもオーガニック製品を揃えています。だから洗濯もオーガニック製品に対応できるクリーニングを指定しているのです。

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和朝食は古民家レストラン「天井桟敷」(https://www.tenjousajiki.com/)から。玄米炊き上げ後、3日~4日間発酵させ玄米おにぎり定食で朝の元気を。Photo: HOTEL GREAT MORNING

ホテル内にレストランはありませんが、周辺には美味しい店舗が揃っているために外での夕食か、テイクアウトで持ち込むか、不便は感じません。朝食はホテルで用意される和朝食と洋朝食が選択できます。筆者は和食を選び、72時間発酵させたという発酵玄米のお握りと、玄海ワカメの味噌汁というヘルシーな朝食に元気をいただきました。この日、充分に快適な睡眠と心地いい目覚めの朝を迎え、「ホテル グレートモーニング」の意味に納得の体験をしたのです。

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いままで使われていなかった屋上にハーブ類を収穫する屋上菜園を開始。写真は大きく育ったレモングラスとミントの葉。ウェルカムティーに利用。Photo: Kyoko Sekine

HOTEL GREAT MORNING
福岡県福岡市博多区店屋町6-3
https://hotelgreatmorning.com/

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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