星のやグーグァン~グーグァン・台中/台湾~ 台中の老舗温泉地にキラリ!「星のや」流ラグジュアリーリゾート。

2019年6月30日、「星のやグーグァン」は、台中の山間部に秘境の温泉リゾートとして開業しました。しかし、同年末頃に確認された新型コロナ感染症が、わずか数か月後には世界的なパンデミックとなり、観光業のみならず地球上で多くのビジネスが中断を余儀なくされたのです。そんな中、世界中の人々がこの苦難をそれぞれの形で克服し、星のやグーグァンも地元の人々が憧れを抱くほどの、台湾随一のラグジュアリーリゾートとして浸透していきました。台湾では家族3世代で旅をする伝統的な形がいまも残り、この温泉リゾート星のやグーグァンでも家族連れの楽しげな姿がありました。

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標高800m、山の中腹で緑に包まれる「星のグーグァン」。鳥の鳴き声や渓流音、静けさの中で過ごす非日常の自然豊かな「楼閣」。

「星のやグーグァン」は山々に囲まれた緑濃い雪山山脈の中腹に佇んでいます。そして宿からは、山麓を滔々と流れる渓谷「大甲渓(だいこうけい)」の美しい蛇行が輝いて見えます。ここは発展を遂げる台北や台中の街中とは別世界。山深いこのグーグァン地域には、原住民タイヤル族が伝統を守りながら暮らす様子もうかがえ、海外からの観光客には異国情緒たっぷりな地域なのです。こうしてダイナミックな自然の原風景が残るグーグァンは、豊かな温泉を湧出することでも知られ、名湯を目指す現地の温泉愛好家が絶えまなく訪れています。

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泉質は美人の湯と言われる弱アルカリ性炭酸水素塩泉。各客室の温泉風呂の他、大浴場があり露天風呂も設置。

台北から車なら約3時間、台湾新幹線を使うと新幹線の台北駅からは1時間ほどで台中駅へ。台中新幹線駅から星のやグーグァンまでは車でさらに1時間半。確かに秘境感満載の奥地であり、これはむしろ旅人にとっては冒険心が芽生えてくるほどです。途中に過行く集落や小さな町は、どこか懐かしい日本の昭和時代の風景を想い出させてくれました。

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到着した星のやグーグァンは、入り口から美しく手入れの行き届いた竹垣のアプローチを過ぎ、エントランスに足を踏み入れると高い天井の巨大な壁いっぱいに華やかな絵画が飾られ、高級感あふれるロビー空間へと誘われます。台湾初となった最高級クラスのリゾートでの滞在は、眼下を流れる渓谷をイメージしたというこの巨大アートの絵画から始まります。宿のコンセプトは、他の「星のや」同様、圧倒的な非日常感を演出する「その瞬間の特等席へ。」と掲げられました。

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客室「水明」(75㎡)のリビングエリア。大きな窓には周囲の山々が映り込んで自然との一体感が。

星のやグーグァンの特徴は、豊かな温泉と周囲の大自然、同時に「楼閣」と言われる重層の建物の堂々たる姿、そして木々の合間を湧水が縫うように流れるウォーターガーデン「水庭」にもあります。この水庭を中心に、滞在の醍醐味となるアクティビティが提供されています。

ホテル周囲には森や山、キラキラと光る大甲渓が迫り、それだけでも非日常の世界なのですが、大甲渓を流れる豊かな水が、標高3,800mを超える雪山(せつざん)から流れ込むピュアウォーターと知れば貴重な自然の情景に感動しきりです。

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静かに佇む時間や、温泉後の一休みにも、山の季節感や香りを感じる快適な風が通るパブリックスペース「風の間」

リゾートのある土地は標高800m、周囲の山々は2000m級といい、敷地の裏手からは全長1,300メートルの遊歩道が通ると聞かされました。今回の滞在では雨模様だったことからトレッキングや散策はできませんでしたが、清浄な空気、豊かな温泉、今も残る伝統文化などに触れるだけでなく、この遊歩道を闊歩できたら......。圧倒的な非日常感あふれる滞在となることでしょう。

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台湾式朝食、出汁は帆立と鶏でじっくりととられ豊かな風味のお粥がメイン。トッピングは台湾式の他に日本人料理長の考え出すオリジナルの日本の食材も。

星野リゾートでは、それぞれの「星のや」で提供される独創的な料理が大きな楽しみでもあります。ここグーグァンでは日本料理の美意識を基本とし、山深い谷關(グーグァン)の地域性を活かし、台湾食材で作る日本の新しい会席料理が提供されています。私の訪れたのはつい最近の春3月。芽吹きの頃に相応しい食材が並び、独自のプレゼンテーションと料理の美味しさ、「美味佳肴」は夕食には限りません。朝食は3種類の選択肢があり、台湾朝食、アメリカンスタイルの洋朝食、和朝食から選びます。初めての朝は当然「台湾朝食」を選び、感動的な美味しさに2日目の朝も「台湾朝食」となりました。帆立と鶏の出汁がお粥のランクを上質にし、添えられたトッピングにも工夫を感じさせる朝食は、ヘルシーで消化にもよい最高ランク。1日がとても幸せな気分でした。

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静かに佇む時間や、温泉後の一休みにも、山の季節感や香りを感じる快適な風が通るパブリックスペース「風の間」。

部屋から山を見ていたら、「この地域は雲ができるんですよ」とスタッフ。山間を見ていると、確かにふっと突然雲が現れる不思議な光景に見とれました。そのスタッフは日本から赴任中の日本人女性です。地元スタッフも物静かで優しい印象であり、旅先で肩の力を抜いて滞在ができるのは心身に負担がなく快適です。抜きんでて素晴らしい日本語を話す男性スタッフ、遠慮がちに日本語を話す女性スタッフや英語の達人男性など、いずれももてなしの言葉の大切さを感じながら、彼らの優しさに癒される滞在となりました。アクテビティも多く用意され、星のやグーグァンで過ごすにはゆったりと長い滞在がお勧めです。

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台湾原住民族「タイヤル族」の伝統工芸である機織りの技術や、図案の意味などを学びながら講師と共に卓上型の機織り機(写真)を使ってオリジナルの作品作り。

星のやグーグァン
HOSHINOYA Guguan
424 台湾 Taichung City, Heping District, 東關路一段溫泉巷16號
050-3134-8091
*台中新幹線駅から「星のやグーグァン間」送迎サービス(有料)。
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyaguguan/

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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