住宅地に本格的なエコホテル、
さすがエコ先進国ドイツは違います。
「Ecotel Hamburg (エコテル・ハンブルク)」ハンブルク/ドイツ
ホテルへBon Voyage 2009.09.18
ハンブルクは古くから港湾都市として栄え、ハンザ同盟でも知られた古都ですが、正式な名前を「自由ハンザ都市ハンブルク」(Freie und Hansestadt Hamburg,)というのを知りませんでした。この街が近年、170万人都市として街のあちこちで一大リニューアル'美化運動'が行われ、現在はモダンでファッショナブルな街にとして知られるようになりました。特に、中心を流れる川沿いにはお洒落なレストランやカフェがテラスを作り、夏の間は、誰もが外に出て快適な時間を楽しんでいます。また、ドイツといえば'環境都市'が多く、フライブルクと並んでここハンブルクでもエコロジーの取り組みが盛んです。
そんな街の中心からわずかな距離、徒歩で20分ほどの閑静な住宅地にあるのが、エコホテルとして名の知れた「エコテル・ハンブルグ」です。96年に創業したこのホテルは、住宅地に溶け込みまるで一般住宅のようですが、外壁に掲げられた看板がかろうじてホテルと判別できる印なのです。オーナーのディックス夫妻は自分たちの家をホテルとして改造し、その完璧さが認められ、ドイツ国内の'エコホテル優秀賞'を受賞しています。街の中心から徒歩で約20分、国際空港からは車で約20分という場所にありますが、特別ラグジュアリィなタイプでも、特別に便利な場所のホテルでもありません。私がここを訪れた理由は、'それなのにリピーターも多く人気を保つ'理由が知りたかったのです。
ツタの絡まるホテルの前景、閑静な住宅街にあるが町の中心地からも近い
(左)ホテルの裏側から見得る屋根にはずらりとソーラーパネルが搭載(右)ホテルの対面に置かれた公共のゴミ置き場。分別が厳しい
泊まってみて分かったことは、「エコテル・ハンブルク」が高いクオリティのエコホテルであったことでしょうか。「低エネルギー消費型一般住宅」として建てられた私邸でしたが、商業利用が認可され、数々の技術や工夫がなされたこの住宅がホテルに変身したというわけです。床やドア、手摺り、天井などに利用されている木材は厚みのある自然木が用いられ、表面にはナチュラルオイルが塗られています。消音の為に敷かれたカーペットは、それ自体のゴミが浮かないよう、表面に特別なカッティング法が施されているといいます。また、ベッドマットには'ナチュラル・ラテックス(自然ゴム)'が使用され、安全性と快適性に優れているといいます。使われているリネン類は、シーツもタオルもすべてオーガニックコットン製。だからクリーニングも石油系の洗剤は使わず、ホテル内で自然素材の石鹸で洗います。寒い地域なので必至とされる防寒対策は、外壁と内壁の間にミネラルウールを用い、暖房と同時に環境に優しい配慮がなされ...など挙げたらきりがありません。
(左)ラウンジのように使えるスペース(右)客室のひとつ。明るく快適
スッキリと快適な客室のひとつ
(左)客室にあるベランダは緑に囲まれて森にいるよう(右)シャワー付きのバスルーム。広くて使い勝手がいいが余計なアメニティなどはない
また、食事のほとんどすべてを「BIO食品」で揃え、農薬やケミカル保存料などとは無縁の自然食材が提供されています。パンやジュースも同様。もちろん、バターやジャム、ハチミツなどを小分けする紙やプラスティック容器も使われていません。
(左)100%自然食(BIO)からなる朝食(右)ドイツの朝食は豊富なハムやチーズが楽しみ
いかがですか?ドイツにはこうした徹底した環境型ホテルが多くありますが、リピーターも多く、出張のビジネスマンにも、観光客にも、徐々にファンが増えているといいます。一般の人々のエコロジー意識がかなり高いこともあるのでしょう。(K.S)
Ecotel Hamburg(エコテル・ハンブルク)
Holsteiner Chaussee 347 22457, Hamburg Germany
☏+49-40-559-7300
Fax/+ 040-559730-99
www.oekotel.de
客室/全26室
室料/シングル・60~90ユーロ、ダブル・80~109ユーロ、
スウィート・115ユーロ(含・ブッフェ朝食、税)
*連絡は直接ホテルへ。

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com