歴史的な隠れ家ホテルで過ごすスイスの初夏、大自然と絶品ワインのマイ・リゾート感覚Hotel St.Petersinsel
~biel湖・St Petersinsel島/スイス~
ホテルへBon Voyage 2014.07.01
スイスのベルン州、ジュラ山脈地域の三大湖の一つにビール湖(Bielersee/Lac de Bienne)があります。標高430mに位置する風光明媚なこの湖は、隣のニューシャテル湖、モラ湖とは運河で結ばれておりクルーズに人気が集まっています。そのビール湖には、かつてローマ時代には島であったものが、水位が2m以上も下がってしまったことにより、現在は陸続きの半島の一部となっている"ザンクトペーター島"があります。島には、ローマ時代の遺跡もたくさん発見されています。
500年も前からワインが造られていたという伝説の島では、現在も尚、白ワインの生産が盛んです。そのザンクトペーター島Erlach村には、隠れ家リゾートと言うに相応しい古い農家風の大邸宅が佇んでいます。周囲をワイン用の葡萄畑と麦畑に囲まれたこの館は、かつては修道院でした。現在は「Hotel St.Petersinsel」(クロスターホテル・ザンクト・ペータージンゼル)として、150年前から姿を変えずに歴史を刻み、現在は隠れ家的存在のリゾートホテルとなっているのです。

「Klosterhotel St.Petersinsel」の全景。反対側の斜面はすべて白ワイン用の葡萄畑。

門をくぐると中庭のテラス・レストランへと続く。
スイスの哲学者ジャン・ジャック・ルソーがここに6週間も滞在したとされ、ホテルに近いプライベートな船着き場近くの森には彼の銅像も造られています。ただしルソーはこの地を訪れてから、なんと18年も経ってから初めてこの館のことを書き残したといわれています。一方で、フランスのナポレオン・ボナパルトと1904年に結婚をしたジョセフィーヌもまた、1910年、スイスへの旅の際にはこの島を訪れたことが記されています。

2階に造られたリビングルーム&ラウンジのスペース。
そして「1000年にわたるヨーロッパの歴史や建築物を残したホテルで、今も尚、手つかずの大自然と洗練された料理でもてなす」として、2010年には「スイス・ヒストリックホテル・オブ・ザ・イヤー、2010」に選ばれました。実際に滞在し泊まってみると、古さと新しさの融合、昔と今の混じり合ったホテルは、どこにいてもタイムスリップしそうな不思議な空気に包まれました。

館内で最も高いカテゴリーの広い客室。リニューアルされた室ニアは古さと新しさの融合で快適な設備搭載。

これが「ジャン・ジャック・ルソー」ルーム。当時のままの姿で残してある。
ホテル創業は1810年、部屋は全13室あります。それぞれに時代背景の異なる趣の部屋は、歴史をリスペクトしながらスタイリッシュなデザインを融合させた居心地の良い客室となっていました。室内にもどこにもテレビはありません。PCのワイファイなども整っていましたが、現実をすっかり忘れさせるほど自然が豊かでリラックスできる環境でした。館内にはルソーが泊まった「ルソー・ルーム」も当時のままに残され、今は、食事に来た人など滞在者以外も申し出れば誰もが見学可能。ホテルは、2008年~2009年に大がかりなリノベーションが行われ今の姿になりました。支配人曰く「ここは木や石や鉄などで造られ、プラスチック製品はありません。食材もワインも、建築素材にもスイスメイドにこだわっています」と、歴史を受け継ぐ大切さを感じました。

この日の夕食のメインコースはBiel湖産のフレッシュな白身魚。ベッドはホウレンソウのリゾット、絶品の味。

朝食用のダイニングルーム、晴れた日は中庭のテラスでもOK。

すべて「メイド・イン・スイス」の朝食。

森の中に立てられた「ジャン・ジャック・ルソー」の銅像

ルソーの銅像の近く、湖の美しい夕焼けを眺める場所。

このNAVETTで島と鉄道の小さな駅「Twann駅」を往復。好天だと最高に爽快なクルーズ!
Klosterhotel St.Petersinsel
St.Petersinsel, CH-3235, Erlach, Switzerland
Tel:+41 (0)32 338 11 14 Fax:+41 (0)32 338 25 82
http://www.st-petersinsel.ch/
部屋数:13室(内ジュニアスィートルーム2室)
料金:CHF 230-335(ダブルルーム/朝食付) CHF 360-465(ダブルルーム/朝夕食付)
7月1日~8月末迄は部屋ごとにCHF.20プラス
施設:レストラン&テラス、朝食用ダイニングルーム、ルソー・ルーム、サロンスペース、庭園、ライブラリ、他
アクセス:(ニューシャテル)TwannからNavette(船)で40分
日本の連絡先:直接現地へ問い合わせ。welcome@st-petersinsel.ch

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com