ヴェニスの一等地にアマン誕生
華麗なパラッツォに眠る、とっておきの旅
アマン・カナルグランデ・ヴェニス
~ヴェニス/イタリア~

 2013年6月1日、水の都イタリアのヴェニスに、25番目のアマンリゾーツとなる「アマン・カナルグランデ・ヴェニス」がオープンしました。場所はヴェニスの一等地、カナルグランデ(大運河)に面した中心地です。
 訪れた時、10年ぶりのヴェニスは明るい夏の太陽が輝き、ヴァカンスシーズンに入ったばかりで、ちょうどオープン直後1週間の頃でした。ヴェニスでは、時を同じくして始まったヴィエンナーレのお陰で、世界中からやってきた人々で大賑わいでした。ヴェニスでは、最古の歴史的なサンポロ地区に位置し、カナルに面した5階建て宮殿'パラッツォ・パパドポリ'がアマンリゾーツとなりました。

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(左)ヴェニスの大運河カナルグランデ。(右)アマンとなった「パラッツォ・パパドポリ」の夕景。Photo: Amanresorts

 この宮殿は、16世紀に、ベルガモのコッチーナ商人が、当時の巨匠であった建築家ジャン・ジャコモ・デ・グリージに依頼して造られたと伝わっています。18世紀になってコッチーナ家は消滅し、次に主となったのはティエポロ家でした。19世紀に入り、幾人かの手を経て、1864年、アルドブランディーニ・パパドポリ伯爵の所有となったのです。パパドポリは、何を推してもこの宮殿をヴェニス随一の重要建築物とするよう改修を試み、現在も残る2つの庭園とala(翼館)を手に入れ、完成に至ったといいます。そして、1922年から現在に至るまで、アリヴァベーネ伯爵家の所有となっているのです。

 そんな豪華な宮殿ですから、アマンはどのようにリゾートホテルとするのか楽しみでしたが、伝統の豪華な部屋は特別なスィートとして、また一般のスィートは古いアートを残しながらスタイリッシュな客室へと改装されました。こうして廊下で繋がる2棟の館には、4つのカテゴリー、全24室の部屋が誕生したのです。それぞれの部屋が違う間取りや内装であり、どこも、原型を残した壁画や騙し絵や、モザイク彩、タイルなど、当時を偲ばせる華麗なアートが残されており、どの部屋も個性的で、情緒溢れる滞在が出来るでしょう。

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(左)華麗な「アルコヴァ・ティエポロ・スィート」のベッドルーム。(右)「カナル・グランデ・スィート」のリビングルーム。

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(左)シグナチャー・アコモデーションのひとつ「サンソヴィーノ・スタンツァ」。この部屋は昔「The Hall of the Four Doors」と呼ばれ、16世紀に最も著名だったJacopo d'Antonio Sansovinoによって造られた。(右)シグナチャー・アコモデーションのひとつ「パラッツォ・スタンツァ」のバスルーム。

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落ち着いた雰囲気のライブラリィ。ゆっくりと時間を過ごすゲストが多い。

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(左)エントランスに繋がるメインの階段。写真に写っているすべてのものが昔のままに美しく磨かれた。(右)3つあるうちのひとつ「赤のダイニング」と呼ばれる食事の部屋。

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メインのダイニングルーム「Pinao Nobile Dining Room」。

 特に感動的なのは、ヴェニスの夕暮れ時です。カナルに面したメインのダイニングで窓を開け放ち、夕陽の沈むカナルを観ていると、観光客を乗せたゴンドラが、ゴンドリエの歌に包まれてカナルを走行していく様子が見られます。ゴンドリエの歌はカナルの水面に響き渡り、やがてアマンの窓から中へと入ってきます。アマンのカクテルタイムは、こうしてバルコニーからゴンドラを眺めながら、刻々と色を変える夕暮れ時を愉しむことになるのです。やっぱり、ヴェニスは果てしなくロマンチック・・・。

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大運河カナルグランデの夕景。この時間、ゴンドラから聞こえるゴンドリエの歌に郷愁を感じる。

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屋上に造られた小さなスペース「Altana Roof Terrace]も夕景が美しい。

 「アマン・カナルグランデ・ヴェニス」の裏庭に面して門があり、旧市街に続く路地に面しています。小さなカフェ、ジュエリーブティック、仮面専門店、レストランなど、狭い石畳にぎっしりと店が並ぶ様は、散策だけでとても楽しい時を過ごすことに。アマンからは、観光で有名なリアルト橋やサンマルコ寺院までも歩いて行ける距離にあり、宮殿に滞在して、旧市街を散歩して・・・となると、なんだか映画の中のシーンのようでした。(K.S)



Aman Canal Grande Venice
Palazzo Papadopoli
Calle Tiepolo 1364, Sestiere San PoloVenezia 30125, Italy
Tel:+39-41-2707333 Fax:+39-41-2707555
www.amanresorts.com
部屋数:24(ベッドルーム、チェンバー、スタンツァ、シグナチャー・スィート)
料金:(室料)ベッドルーム:1000ユーロ、チェンバー:1500ユーロ、スタンツァ:2000~2500ユーロ、スィート:3500ユーロ
設備:ダイニング(メイン、レッド、イエロー)、日本食、バー、ボールルーム、ビジネスルーム、ライブラリィ、庭園、ショップ、スパ、ガラスミュージアム、その他


Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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