「プチホテル」の中のプチホテル
ジャック・ガルシアのネオ・ゴシックを堪能!
「Hotel Bourg Tibourg(ホテル・ブール・ティブール)」パリ/フランス
ホテルへBon Voyage 2010.10.29
私がこのプチホテルと出会ったのは、もう8年以上前のことになります。以来、何度となく泊まっているのですが、今回はなんと2年半ぶり。2001年にオープンしたホテルですから、オープン直後、1年くらい経ってから出会い、それからというもの割安感もあり時々泊まっている「行きつけの」ホテルなのです。独特なムード漂うこのホテルがどこかに似ていると思いきや、そうです、コスト兄弟のホテルとして有名になった、ジャック・ガルシアのデザインによる「ホテル・コスト」でした。「ホテル・コスト」は、パリらしい個性派で、独特なデザインに彩られています。そのホテルのオーナーの一人が、ここ「ブール・ティブール」を経営し、インテリア・デザインもジャック・ガルシアなのです。
ホテルのある場所はユダヤ人地区とも言われ、古き良きパリが最も残るマレ地区にあります。地下鉄でいえば最短距離は「オテル・ド・ヴィル」(パリ市庁舎前)、または「サン・ポール」。セーヌ川にも近く、パリで最も美しい広場と言われる歴史ある'ヴォージュ広場'も徒歩で数分の距離にあります。付近はカフェやバー、特に小さなレストランやファッションブティックも多くある人気の高い地区でもあります。ギャラリーが多いのもアート関係者が多く住む地区だからでしょうか。ピカソ美術館も徒歩5分の距離に。そうそう、あの有名なお茶専門店「マリアージュ・フレール」の本店がすぐ近く、同じ路に面して斜め前にあります。
(左)看板も何もないエントランスなので、ブルーのフラッグを見ないとホテルとはわからない(右)ホテルのエントランス上に飾ってあるロゴ入りの案内
さて、そんな'パリらしい'地区にあるこのホテルは、玄関に書かれている看板もなく、ただ一つブルーフラッグが外に飾られ、「ホテル・ブール・ティブール」と小さく書かれているだけなのです。もともとパリは大きな看板は禁止ですし、立て看板も出ていませんが、エントランスには、さすがにわかるように文字が描かれているのが普通。ここに何もないのはホテルの個性でしょう。そんなホテルの客室は30室。レストランもカフェもありませんが、朝食だけは地下のダイニング施設で可能ですし、パリでは珍しくコンチネンタル朝食の他に、アメリカン・ブレックファストのサービスもありました。
(左)ひと組み座ると一杯の坪庭のような中庭での朝食風景(右)パリのプチホテルらしいレセプション
エントランスロビーで鍵を渡され、(名前や住所やパスポートナンバーなどを書き込む台帳もなくて簡単!! いいのでしょうか?)エレベーターに乗って上階に行くのですが、螺旋階段も狭いし、エレベーターは、もし大きなトランクを持っていたら、人間一人とトランクでもう一杯です。客室もとても狭くて、大きなトランクは開くスペースがありません。ベッドの上にトランクを乗せて開くしかありません。
ロココ?バロック?妖艶なエントランスロビー
こんなに狭いホテルですが、実は、マテリアルに関しては上質なものが使われており、家具調度品、壁紙、ベッドのソファ、リネン類、テレビ、ライティング、バスタブなど、どれをとっても実に良いものが使用され、★★★ホテルとしては、狭さを除けば高級感のたっぷりとあるホテルなのです。これぞまさに、ジャック・ガルシアの世界なのですね。
客室のひとつ。ベッドに居ながらなんでもできそうなプチルーム
(左)小さな小さな客室のひとつ。すべての客室のデザインが違う(右)カラーリングやマテリアルはどこも上質
働くスタッフも、おそらく学生アルバイトが交代で働いているようなのですが、責任者がきちんとしているお陰か(責任者はコストの娘マダム・コスト)、誰もがきちんとサービスをしてくれてとても親切。いろいろなことにも助けてくれて、快適です。そうでなければ、私は「リピーター」にはなりません・・・!!(K.S)
Hotel Bourg Tibourg
(ホテル・ブール・ティブール)
19, rue du Bourg Tibourg
75001 Paris France
Tel (01)42-78-47-39 Fax (01)40-29-07-00
www.hotelbourgtibourg.com
部屋数/30室(スウィート1室含む)
施設/朝食用ダイニングルーム、サロン、小さな中庭
料金/シングル&ダブル180~260ユーロ、
スウィート360ユーロ、朝食16ユーロ

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com