古くから栄えた門司港に聳える
新しさと伝統を備えたホテル
「門司港ホテル」門司/福岡県
ホテルへBon Voyage 2011.06.24
門司港が日本最大の規模を誇る港だと言うことを、ご存じでしたか?
神戸港や横浜港のほうが、関東に住む私たちには馴染みがありますが、門司港は、政令で特定重要港湾に指定されている重要な港だとも知りませんでした。
ホテルとマリナ・エリア
その港に面して、風景に溶け込んで建つデザインホテルがあります。印象的な色遣いと建物の構造から他とは違う感性が漂いますが、それもそのはず、このホテルは、イタリア建築界の巨匠、アルド・ロッシ氏が関わったと言います。ホテルのオープンは1998年3月22日でした。創業当時、そのデザインは各雑誌に採り上げられ、'箱船'のような建物外観が話題に上りました。
ホテル外観
そして彼の建築設計案を基軸にインテリアデザインを担当したのが実力派の内田繁氏でした。ロッシ氏は、母国イタリアで、その後、交通事故で他界。66才だったといいます。残念なことは、ロッシ氏はこのホテル完成前に亡くなり、これが彼の遺作となってしまったことでした。存在感の在るホテル「門司港ホテル」です。港に面したロケーションは門司全体の中心的存在でもあり、町の中心は別にあるのですが、この港周辺地区が保存地区となり'門司港レトロ'として開発されました。
(左)徒歩1分のところにある美しいJR[門司港駅」(右)門司港レトロ地区の代表的建物で重要文化財「三井クラブ」、現在はレストラン
ホテルの周辺には、大正時代の面影を残す保存建築物が多くあり、中でも、JR門司港駅の駅舎は1914年に建てられた国指定の重要文化財、しかも九州で最古の木造駅舎と言います。ホテルと向かい合うようにある旧三井倶楽部も1921年築で、国の重要文化財になっています。他にも、この周辺には本当に大正時代のモダニズムやレトロな建物が「門司港ホテル」を囲むように数多く点在しています。
(左)メインの階段を上り詰めた処にあるレストラン「門」、神社の入り口を模してある。(右)レストラン内
(左)代表的なディナーコース、カレーや、アントレに添えたコンビーフは「船乗りの食事」を意識したもの。(右)新鮮な素材が一杯のブッフェから、「和朝食」
多くの逸話に彩られたホテルですが、館内も大変快適です。ファサードの目立つエントランスを入ると、3層が吹き抜けの空間に圧倒されます。洋と和が融合されたデザインがここそこに見られ、正面にあるレストラン入り口は、神社の門を模した形になっています。そのレストランでの食事は、九州の素材を中心に作られる創作料理で、新鮮な魚介類や地産地消の野菜類がテーブルを飾っています。レセプションのフロアは白黒市松模様の石の床で、スタイリッシュな'ジェノバの床'と呼んでいます。
エントランスエリアからロビーを見る
(左)スイートの丸窓から街を見る。(右)ツインベッド仕様
客室は4タイプあり、和室3室も含め、全134室揃っています。ブルー、ブラウン、グリーン、ナチュラルなど、部屋ごとに違う色も特徴的ですし、スィートルームでは円い窓が印象的、ダブルやツインの部屋では、木枠の窓や日除け用のフレンチ窓が雰囲気を出しています。エキゾチックなホテル、レトロな街角、なんだか外国に来たような気分がするほど、新しい日本の魅力再発見でした。(K.S)
門司港ホテル
北九州市門司区港町9-11
Tel 093-321-1111
www.mojiko-hotel.com
部屋数:134室
料金:シングル10972円~、ダブル22522円~、
ツイン19055円~、スイート36960円~、
*パッケージも多く料金は要問い合わせ
設備:レストラン、ラウンジ&バー、バンケットルーム、
ショップ、他
交通: 福岡空港→地下鉄博多駅→JR山陽新幹線小倉駅
→JR鹿児島本線門司港駅下車徒歩1分、他

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com