「赤と黒」のドラマチックなデザインホテル
「The Scarlet(ザ・スカーレット)」
シンガポール
ホテルへBon Voyage 2008.10.10
シンガポールといえば、チャイナタウンやインディアン街、マレー、アラビアンなど、モザイク文化と称される国際的な都市。そのチャイナタウンの一角に、2004年12月5日にオープンしたスモール・ラグジュアリー・ホテルがあります。その名も「ザ・スカーレット」。5ツ星クラスとしては珍しい小規模型のホテルです。
コロニアル建築部分の印象的なファサード。
3階建の白いコロニアル建築のビルと、小さなショップが連なる木造の長屋風伝統建造物が一緒になった変わった建物が目を惹きますが、日本でもこの名があまり知られていないのは、'知る人ぞ知る'というスタンスで運営されているからでしょうか。
内装はシグニチャーカラーの'赤'とそれに対峙する黒がふんだんに使われ、妖艶な世界が展開されています。アールデコのようでもあり、デカダンス香るパリ・モンマルトル界隈のキッチュなホテルのようでもあり...。とにかくチャイナタウンでも一際目立つ建物は、かつての'ショップハウス'を髣髴とさせるように現在も1階にはずらりと路面店が並び、客室はその2階部分に作られているのです。
伝統建築部分に作られたメインエントランス
ザ・スカーレットのラウンジ
宿泊しているゲストは欧米人ビジネスマンや観光客と目的は様々ですが、全客室80室には2つと同じタイプが無いのも面白いですよね。ホテル棟全体が文化財として保存建築物に指定されているために、写真を撮りに訪れる人も多いと聞いています。「ラグジュアリーな印象を与えるヒューマンな名前をホテル名に選んだ」(PR責任者)という「ザ・スカーレット」。1階にあるバーラウンジはチャイナタウンのトレンディスポットともなり、夕刻時から夜にかけて街の若者で賑わっています。
ルーフトップ・テラスのレストランからチャイナタウンを眺める。シンガポール情緒たっぷりの景色。
シンガポールという街が、様々な人種と文化伝統の融合から成り立っていることを考えると、このホテルが、あまり細かいことに囚われず、ラグジュラリーな滞在を楽しんで欲しいと願う意味がわかるような気がします。ルーフトップ・テラス&レストランで、チャイナタウンを眺めながら、インターナショナルな食事をするのも、南アジアの中心都市シンガポールならではかも知れません。(KS)
33 Erskine Road, Singapore 06933
Phone+65-6511-3333 Fax+65-6511-3303
室料/スタンダード200S$、デラックス220S$
アクセス/シンガポール空港から約30分
www.thescarlethotel.com

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com