生きることの歓びや厳しさが
アフリカの大地と野生動物を通して見えてきます!
「Stanley's Camp(スタンレーズ・キャンプ)」
オカバンゴ・デルタ/ボツワナ共和国

 ボツワナ共和国はアフリカ大陸の南部に位置し、最南端の国である南アフリカ共和国の北に接する野生の王国です。アフリカの国々の中でも、ボツワナに生息する野生動物の種類や数は群を抜いています。特に減少しつつある象は世界一の生息数と言われ、現在14万頭ほど。貴重な自然の中で、ボツワナでは野生動物保護区が国土の17%を占め、それらを見るサファリが盛んで一大観光国でもあるのです。広大なカラハリ砂漠があるのもこの国。さらに、ダイアモンド生産国でもあり、その取引額も世界一。1966年には最貧国の一つだった国が、現在は政局、経済、観光面も安定し国債の格付けは世界的にも驚くほど上位にいます。因みに米国の格付け会社は、ボツワナを日本よりも上位にランクしています。

 さてそのボツワナまでは、まず、東京からなら香港経由で南アフリカ航空に乗り換え、経済首都であるヨハネスブルグまで飛びます。そこからはエアーボツワナに乗り換えボツワナの首都ハボロネ経由か、または直行便で、サファリ観光の基地となるマウンまで飛びます。南アフリカのヨハネスブルグからボツワナのマウン国際空港までは、直行便ならば1時間半の距離。さらにマウンからは数人乗りの小さなセスナに乗り換えて45分。サバンナの中に、短い滑走路が見えてきます。建物も何もない草むらの中の滑走路に降り立つと、宿泊するキャンプから迎えのジープが来ています。そして揺られること30分。やっと、やっと・・・目的地「スタンレーズ・キャンプ」に着くというわけです。

sekine120224_a.jpgレセプションとレストラン、ショップのメイン棟。

sekine120224_b.jpg(左)到着時に受けるスタッフの歓迎の歌と踊り。(右)お土産物を売るコーナー。殆ど手作り品でワイルドそのもの。

sekine120224_j.jpg(左)キリンたちもテントの直ぐそばまできます。(右)キャンプに作られた小さな小さなプール。動物がきたら警告がある。

 この旅には荷物制限があり、何日滞在しようと、大きさも重さもかなり厳しい注文が付きます。つまり、預ける物は小さな荷物1個のみ、手荷物も1個というセスナ用の規定で日本を旅立つことに。少々不安にもなりますが、いざ現地に着いてしまえば感動だらけの日々が待っていて、見るもの聞くもの、すべてに興奮しっ放しの毎日でした。

(左)客室用テントの外観。(右)客室となるテントの内部。とても居心地が良い。

sekine120224_d.jpgテントの外に作られたテラス。サファリの朝、早朝5時にモーニングコーヒーとクッキーが運ばれる。

sekine120224_e.jpg(左)レストランでは自然を感じながらの食事。動物もやってくる。(右)朝食は世界中のホテルと余り変わらない。

 あちこちに点在するキャンプの中で、ここを選んだ理由はただひとつ。海外旅行中に外国旅行雑誌で、「エレファント・ガーディアン」という野生の象と話ができる特別な米国人野生動物学者がいるとの大きな特集記事を見つけ、どうしても会いたくて行くこととなったのです。通称ダグと呼ばれるその学者は、スタンレーズ・キャンプに滞在するゲストを連れて森やサバンナにでかけ、「エレファント・ウォーキング」というアクティビテエィを提供しています。参加費用はすべて野生動物保護活動や象基金に回されるといい、もちろん、私もそれに参加しました。

sekine120224_f.jpg(左)サファリに向かう早朝。(右)サファリ中の休憩、お茶タイム。

まずは数々の注意事項をレクチャーされ、参加者たちは、象が生息している森近くまでジープで乗り付け、いよいよ彼の誘導で森に入ります。少しすると、ダグが私たちの足を制止しました。近くで、バキバキ、バリバリと木々が倒され踏まれる音がしてきました。「象が居ます。象は臆病で悪さをしないからだいじょうぶ。でも、いざ目の前に現れても大声を出さないで」と。

 しばらくすると数頭の野生の象がゆっくりと現れました。彼の話がわかるという象は3頭いるといいますが、その日は、群れの中に2頭がいました。彼には象の顔も識別できるのです。信じられない光景でしたが、ダグが何やら話しかけると、その中の2頭が私たちに近づいてきてくれました。ダグは2頭に寄り添い、何やら話し始めました。「皆さんを歓迎してくれないか」と。そのアフリカ象は、大きな耳をバサバサと動かし、甲高い声を張り上げました。「皆さんを歓迎していますよ」と、ダグは象をなでました。

sekine120224_h.jpg象と一緒に歩く動物学者。

私も記念に、象と一緒に写真を撮りました。象の鼻が私の頭を触り、首にその鼻を巻き付けようとしている凄い写真が撮れたのです。

sekine120224_i.jpg(左)私も触りました。(右)こんな光景もよく見かけます。

 それから象と並んで歩くこと30分。木陰で参加者全員がランチとなりました。そこには予めキャンプのスタッフがテーブルを並べて用意してくれていました。ランチを食べながら、野生の象が直ぐ側にいる興奮は今も忘れられません。ダグは野生の象の生態をこうして多くの人に伝え、野生と人間の共存を願っています。アフリカ各地の森で過ごすこと20年以上、ボツワナではそのうちの18年を過ごし、人生のすべてを野生動物保護活動に捧げていました。(K.S)

sekine120224_g.jpgキャンプでは「野生の象と歩く」というプランを提供。その途中での昼食タイム。

Stanley's Camp
(スタンレーズ・キャンプ)

www.sanctuaryretreats.com/lodges/botswana/stanleys-camp.cfm
客室:テント全8棟(ダブルベッド2、ツインベッド6)、
施設:レストラン、バー、ライブラリィ、ショップコーナー、他、
アクティビティ:サファリ、エレファントウォーク、モコロ・サファリ
(オカバンゴ・デルタを木造ボート"モコロ"で周る)、他、
料金:全食事、飲み物付き、ランドリー、エレファント・ウォーキングを
除く全アクティビティ、緊急医療救助等含む。1泊テント料金(2名)
1/1~1/5:US$.595、1/6~3/末:US$.565,
4/1~6/14、11/1~2013年1/14:US$630,
6/15~10/末:US$.960,
日本の連絡先:直接現地へ

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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