繊細な大理石、力強い光のオブジェ......。
心に響いた展示をさらに2つ

「ああすばらしい」「よく考えたなあ」と感心せずにはいられないプロダクトデザイン、インスタレーションに、今年のミラノ・デザインウィークでも出会うことができました。お伝えしたいことはいろいろとあるのですが、まずは今回も、「madame FIGARO.jp」読者の皆さんにとくにお伝えしたいと思った展示をご紹介しましょう。

1kawakami421.jpgブレラ地区には「DESIGN DISTRICT(デザイン地区)」のフラッグが。
Photos: Noriko Kawakami

2kawakami421.jpgこんな店先も楽しみながら歩きます。デザインウィークのガイドブック、googleマップを出力、貼りあわせてメモを添えた自作マップ(超アナログ)の双方を携え目的地へ。

前回のVeniniと同様にすっかり魅了されてしまったのは、CASABELLA laboratorio(カーサベラ・ラボラトリオ)で披露されていた大理石の品々です。デザインは、Patoricia Urquiola(パトリシア・ウルキオラ)。屋外にも大理石のベンチやパーティションが配されて、ゆったり鑑賞できる展示空間となっていました。

それにしても美しい。イタリア産の大理石を素材とした繊細で華麗なパーティション。女性デザイナーらしい詩的な造形と色の組み合わせ(まるでレースで描かれた模様のようにも感じます)にも感激です。しんと静かな会場で、ディテールのスケッチをしながら数時間ここに滞在していたい、と思ったほど......。

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6kawakami421.jpgディテールにも見入ってしまいます。

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10kawakami421.jpg窓辺に陽がさす時間になると、光が透過してさらに美しいはず。その光景を想像しながら、会場にあったテーブル、ベンチ、パーティションを堪能しました。

もうひとつ市内の展示をとりあげます。場所は10 Corso Como 内のギャラリー、Galleria Carla Sozzani(ガレリア・カルラ・ソッツァーニ)です。展覧会名は「The Arte e Funzionalita」。英語ではBetween Art and Functionality(アートと機能性の間で)となります。とても興味深いですね......。

複数の作家で構成されている同展のなかに、10 Corso Comoとはつながりの深いアーティスト、Kris Ruhs(クリス・ラース)の作品がありました。ああなんて力強い。この日、市内をたっぷり歩きまわった後にこのギャラリーを訪れていたのですが、一瞬にして疲れがふき飛んでしまいました。

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12kawakami421.jpgフィエラ(国際展示場)で披露されている照明器具とは趣が異なりますが、こちらも大好きな世界。やはりもっとゆっくり鑑賞したかったのですが......。

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15kawakami421.jpg展示作家は他にRiccardo Schweizer、Soren Georg Jensen、Henning Koppel、Verner Panton、Magnus Stephensen、Alfredo Häberli、Todd Bracher。

いつもあわただしい日々になってしまうデザインウィーク。でも、コンセプトから最終形までどうまとめていくのか、考えぬかれたプロダクトの取材を通して、いま大切な視点やリアライズするプロセスとは何かと、私自身もあれこれ考え続ける楽しい時間になることは、毎回変わりありません(頭のなかは朝から深夜までフル稼働となりますが......)。

新しい発想や不可能だと思われていたことが、どうやって可能とされたのかな? と、この時期この街に集まった人たちと話をする内容は、デザインの世界の話だけでなく、広く世の中を考えるヒントにもなります。そしてなにより、思いもかけない嬉しい出会いが、街のあちこちにあるということ......やはり貴重な一週間です。


Noriko Kawakami
ジャーナリスト

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。

http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami

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