手とハサミと。デザインの楽しさ。
POSTALCO「SCISSORS」展
デザイン・ジャーナル 2011.12.27
今は都内のPOSTALCOショップ(京橋)で、「SCISSORS」展が開催されています。来年1月21日まで、和光大学講師の関根秀樹さんが集めた古今東西の貴重なハサミの紹介と、Adler、DOVO、Henckelsなどのハサミの販売です。(*2月18日まで会期延長が決定)


POSTALCOショップ。ドアに切り絵モティーフが登場するなど、「ハサミ気分」が一瞬にして高まります。オリジナルカレンダー(写真1枚目)もハサミの形。 Photo: Courtesy of POSTALCO
切り絵で彩られた窓。「切る」楽しさが伝わってきて、私もさっそくハサミを手にしたくなりました(笑)。Photo: Noriko Kawakami (次も)
展覧会にあわせてつくられたポスター。右は童話作家アンデルセンの切り絵。同じ柄のカードも販売されています。
それにしてもこうしたハサミ、いつ、どこで生まれたものなのでしょう? 会場にあったマイクと友理さんの文章に、ハサミのはじまりに触れた一文が含まれていました。
「関根さんに訊いてみると、ハサミの起源は『はっきりしない』とのこと。もともとは、手や物とナイフを鋏のように交差させていたのが始まりだったのかもしれません」
水を飲むための器を始め、人の手は必要な道具を多数生み出してきました。ハサミもまた必要とされる環境のなかでしぜんと生まれ出た道具なのでしょうか。そう考えると、2枚の刃と持手から成るこの日用品の醍醐味を、一層強く感じます。
それにしても関根さんコレクションのハサミの多様さといったら! 蒐集品の古いものは約300年前にも遡るのだそうで、展示の品々も、各々いい具合に年季が入っています。重厚で、存在感もたっぷり。

オリジナルの展示ケース内に関根コレクションのハサミがずらりと並んでいます。Photos: Courtesy of POSTALCO(次も)
他にも、ロウソク芯切り鋏、練炭鋏、豆炭鋏、火鋏、ボタンホール鋏、理髪鋏、砂糖割り鋏、糸切り鋏、盆栽芽摘み鋏、さつき鋏......。
これは迫力。左は1960年代につくられた韓国のヨッカウイ。右は主に輸出用に日本でつくられていた羊の毛を刈るためのハサミ。昭和時代の品です。関根秀樹氏所蔵。
ケースのなかの展示から。下に3つ並ぶボリュームたっぷりのものが羊毛刈り用で、中央は内モンゴル製。刃と柄に段差をつけた「浮き足」が特色。左は英国シェフィールド製、右は主に輸出用につくられていた日本製。ハサミ全て関根秀樹氏所蔵。Photo: Courtesy of POSTALCO
DOVO 100周年を記念したハサミは、金色の持ち手に年号が刻印されていて、なんとも優雅。フランス、SAMの折りたたみハサミはプロダクトデザインとしても興味深く、じっと眺めていたいほどです。もちろん日本のハサミも負けてはいません。そのひとつ、團十郎の握ハサミの潔い姿と機能のすばらしさ......!
国内外のハサミが販売されています。年末年始のギフトシーズン、贈り物に買われていく方も多いようです。Photo: Courtesy of POSTALCO
生活に身近なものの姿は見るほどに興味深く、ディテールも魅力たっぷり。Photo: Noriko Kawakami
ところで、マイクと友理さんの二人は1月、都内での個展を控えています。銀座、クリエイションギャラリーG8での「POSTALCO Wheel Printer by Mike Abelson」展。
紙や木といった身近な素材を使ってあっと驚く「マシン」を開発してしまうマイクですが、今回新たに開発されたのは、「Wheel Printer(ウィールプリンター)」。「クルマや自転車の車輪にインクをつけたらどんな軌跡を描くか?」との問いを形にしてしまったもので、展覧会ではウィールプリンターを用いた新作ステーショナリーも紹介される予定だそう。
「POSTALCO Wheel Printer by Mike Abelson」展に関する画像から。こちらは印刷するウィール(車輪)のテスト。Photo: Courtesy of POSTALCO
ウィールプリンターのためのマイクのドローイング。© Mike Abelson
ウィールプリンターで印刷した紙です。Photo: Courtesy of POSTALCO
親しい方から届いた手紙の封をハサミで開けるように、新たな年がもうすぐやってきます。どうぞ、よい年をお迎えください。
「SCISSORS」展
POSTALCO SHOP
2月18日まで
http://postalco.net/
「POSTALCO Wheel Printer by Mike Abelson」展
1月17日~2月16日
クリエイションギャラリーG8
http://rcc.recruit.co.jp/
Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami




