靴修理人のサイドゴアブーツに恋して。

知ってた? サイドゴアブーツって、ヴィクトリア女王に献上されたのが始まりなんだって。今日は、雨上がりのロンドンで「ヒールが折れる事件」が結んでくれた、新しい一生ものブーツとの出合いのお話。女王への献上話はまたいつか。

海外製の靴修理マシンが並び、革や靴修理の機械油の匂いが漂う中目黒の靴修理屋店「ザ・ガレージ」@thegarage_shoerepair
数年前、ロンドンコレクション取材中に折ってしまったアンクルブーツのヒール交換をこちらでしてもらったことがある。それはそれは11cmはある華奢なピンヒールで、15年ほど前から愛用していたクリスチャン・ディオールのもの。大震災の時には外苑前にあるヘアサロン、「Twiggy/ツィギー」から中目黒まで徒歩で帰宅しなくちゃいけなかった時も、このピンヒールブーツを履いていて、途中休憩を挟んだりもしたけど、足が痛くなることはなかった絶対手放せない私のマストハブ。ロンドンのチャイナタウンの石畳で折れてしまった時は、さすがにこのまま英国でオサラバか!とも思ったのだけど、結局ドタンバで手放せず、チェックアウト直前スーツケースにねじ込んでしまったのよね。という経緯を経てヒール探しからお世話になった。こちらでは靴修理以外にも食器の修理もお願いしちゃってるんだな。

昨年、地方の工房を訪ねて出合った作家もの陶器やガラス製品を扱うリトルタオ@littletao_littletaoが店内の一角にオープンし、こちらで金継ぎを施してもらっている。雑な性格でしょっちゅう皿を割ってしまう私は、あの日もハイヒールの更新と、不注意でサクッと欠けちゃったアスティエのカフェボウルを抱えて「ザ・ガレージ」へ。

で!出合ってしまったのが、このブーツなワケ。「試着してみませんか?」とさらっ〜と誘導され、あ〜れ〜と言う間に、簡単に恋に落ちちゃったんですよ、これが。もう! 

華奢な足首のくびれに目がクギ付け!

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『op57』サイドゴアブーツ ¥71,500
サイズは3(22.5~23.5cm)、4(23.5〜24.5cm)、5(24.5cm〜25.5cm)、6(25.5~26.5cm/2021年発売予定)

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マッケイ製法仕上げ、素材はヴィンテージ感のあるヤギ革を使用。店頭で試履してからの受注注文のみで、納期までは2ヶ月ほど。仕上がりを待つのも楽しみ。

「1800年後期から1900年前期のヴィンテージシューズに見られるあの足首のくびれやウィズ、細いシャフトに目がないんです」と店主で靴修理職人の柴谷雅一さん。20年来の友人である木型職人、菊地利明さんと試作を繰り返し2020夏ファーストモデルのサイドゴアブーツを完成させたそう。ブランド名は『GREUSAICHE(グレーサイッチ)』。ゲール語で靴修理・靴屋という意味で、モデル名の『op57』は、渋谷氏が好きなショパンの曲名にちなんだものなんだって。なんてロマンティックなのォ。納期まで2ヶ月ほどかかると言われましたが、初回受注分に限りループがヴィンテージコットン使用になるとのことで、ハイ!迷わずオーダーしました。真横から見たときの足首のくびれからキューバンヒールまでの美しいS字がたまらんのです。みなさん、ご存知の通り、足のフォルムにぴったりそう靴などというのは、なかなか出会えるものではございません。くだんのディオールブーツ以来、ここまでフィットする靴には出会えなかった。このブーツも一生のお付き合いとなりそうです。

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英国ムードが漂うエントランス。店内には職人の粋を集めたシューズや靴のお手入れ製品のほか、作家ものの陶器が並び、ゆったりとしたあたたかな時間が流れる。

フリーエディター菊地愛 @ai.kikuchi.edwards

ザ・ガレージ
東京都目黒区中目黒3-1-4 山の手コーポ102
tel:03-6303-4886
営)12時〜19時
休)水、木、不定休あり
http://greusaiche.com
www.garage-repair.co.uk

 

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