本日も清水買い。パリで決めた自分を褒めたい、カルヴェンのコート。
編集部員のWish List! 2025.01.05
清水の舞台から飛び降りるタイミングが人生で多すぎる私。「清水買い」と心の中で唱えれば、どんな買い物も決断していいと思っている節があります。そんな私が、2024年の購入品の中で、自分の決断をいちばん褒めてあげたいもの、それはカルヴェンのコート。
パリで1890€で購入。
2024年11月、出張で7年ぶりのパリへ。もし、時間があったら立ち寄りたいと思っていたカルヴェンのショップ。クリエイティブ・ディレクターにルイーズ・トロッターが就任してから、静かに、けれど確かな熱が広がっていたブランド。日本ではなかなか手にとってアイテムを見る機会がなく、私もコレクションの画像を見返しては、ECサイトでカートに入れ、数日悩んでを繰り返していました。
パリで初雪が降った日、念願のショップへ。当然ですが、画面の中で見ていたアイテムが、ここにも!あそこにも!状態で、心も足取りも軽く。なんとか心を落ち着け、物理的に足も地につけて、お店を丁寧に3周してからいくつかのアイテムを試着しました。普段は、ECサイトで服を買うことも多いのですが、まず思ったのは「カルヴェンの服、ECで買わなくて良かった!」。上質な素材、丁寧な縫製、袖を通せば服がまるで生きているかのように豊かなフォルムを描く。この感動を味わってから、迎えるアイテムを吟味する時間は幸せでしかありません。
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ショップのディスプレイで使われているインテリアからセレクトされている本まで、温かな洗練が宿る空間。
ルイーズ・トロッターがブランドの美学を引き継ぎ手がけるアイテムは、一見、潔いほどにシンプル。けれど、「人が着ることを前提とする」という服の持つ当たり前の価値が、美意識としてしっかりとアイテムに反映されているんだと思いました。今回購入したコートも、ラックにかかっているものを見ていた時は、私にはちょっとオーバーサイズすぎるかもと思っていたのですが、袖を通して、スタッフの方のアドバイスを取り入れて着てみると「あれ? 今日私これ着てきた?」みたいな、長年の愛用品だったかのようなフィット感がありました。即決でした。私ってすぐに清水の舞台から飛び降りることができるんだと、自分の強心臓に驚きました(笑)。
お気に入りのルックをコレクションから。コートはもちろん、ジャケットもシャツもパンツもどのアイテムも仕立ての良さが光る。photography: Spotlight
日本に帰ってきてから、ルイーズ・トロッターがこの1月にカルヴェンを去り、ボッテガ・ヴェネタの新クリエイティブ・ディレクターに就任するというニュースが発表されました。本当に、あの時パリで決断した自分を褒めてあげたい! このカルヴェンのコートと、2025年も駆け抜けたいと思います。
ファッションを中心に担当するエディター。2023年12月よりフィガロジャポン編集部。15年間続けたクラシックバレエを大人になってからマイペースすぎるペースで再開中。昔から好きなのは、フレンチトーストとオーディション番組、皮膚科。
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