東京 代官山ALスタジオの料理教室『黒豆とショコラのパンナコッタ、グラン・マルニエ風味』

少し前のことになりますが、12月に東京代官山・ALスタジオで開催した料理教室の様子をお伝えしたいと思います。

この日のテーマは『パリ・スタイルで"ノエルと新年のおもてなし"』。いまフランスのシェフたちに人気の"日本の食材"を使った料理を作りました。また、今回も野菜は、北海道の父が家庭菜園で作る有機無農薬のものを使いました。

harada140218main01.jpgジャガイモのヴルーテ&海老のビスク photo:MINORI AKIMOTO

上に添えてある海老は、鹿児島産の活きた車海老。バタバタと跳ね上がる海老と格闘中の"度胸良し"のお姉さんたちからも、期待どおり「きゃ~!」の歓声が。その頭と殻を香味野菜と一緒に煮詰めて作ったビスクを上に注いでいただきました。

harada140218main02.jpg鮭のパルマンチエ、イクラ添え

"パルマンチエ"とは、普通は牛挽き肉で作るフランス人の大好きなお惣菜。ここでは、北海道石狩の鮭といくら、そして、ジャガイモ・北姫を使いました。イクラの横にはトリュフオイルを少しかけて。

harada140218main03.jpg白子のフリット、シェ・ブルノーのスパイスとゆず

北海道の助宗ダラの白子のフライに、パリのエピスリーBrunoの不思議な魅力のマダガスカル産の黒胡椒を。

harada140218main04.jpgシガレット photo:MINORI AKIMOTO

シガレットと名付けたのは、メイクイーンを薄くスライスして、薫製の香りの効いた生ハムを巻いてさっと揚げたもの。

harada140218main05.jpgノエルのサラダ

これは、父の畑で自慢のヤーコン(アンデスの野菜)、オレンジ果汁を煮詰めたドレッシングを添えて。

harada140218main06.jpg鶏とユリ根のファルシー、山椒風味

たっぷりの本みりんと塩に漬けておいた宮崎の日向鶏に、北海道千歳で栽培されているユリ根、生ハム、イタリアのドライトマト、南仏のオリーヴを詰めたもの。ユリ根のホクホクとした栗のような甘さの秘密は、秋の収穫後から最適の温度で保存され、寒中のこの時期にぐっと糖度が増してくるからだそうです。茹でたてのアツアツを皆さんとつまんでみてビックリのおいしさでした。山椒は、いまだかつて味わったことのない"衝撃の香りとピリピリ"。紀州「かね一」のもの。

harada140218main07.jpg金柑のコンフィーと熟成本みりんのグラニテ

harada140218main08.jpg

鶏のファルシーと金柑のグラニテに使った「3年熟成本みりん」は、パリの三ツ星レストラン"アストランス"のパスカル・バルボ愛用のもの。"飲めるみりん"ということで、パリの友人から紹介されたのが出合いです。岐阜の白扇酒造さんからご提供いただきました。

harada140218main09.jpgショコラのパンナコッタと黒豆のシロップ、グラン・マルニエ風味

これも、父が春から肥やしをやり丹精込めた黒豆。手間暇かけて作る苦労がわかると、ひと粒ひと粒がありがたくおいしく感じます。

harada140218main10.jpg

これらの調味料を見ながら片手に携帯電話「いまオーダーしました~」と微笑む方が!! 素晴らしい~すごい行動力、好きです、こういう人! また、グラン・マルニエも、ド~ンとご提供いただきました。

harada140218main11.jpgphoto:YUKO OHIGASHI

皆さん、手際良くどんどん作業をこなしています。さすが日本人!! 女性ばかりですが、パリで教えている時は、最近の料理ブームもあって生徒さんは日によって6~7割くらいが男性。日本男子にも料理好きが増えることを期待しています。

harada140218main12.jpgphoto:MINORI AKIMOTO

harada140218main13.jpg

この日は、昼・夜のクラスともドリームチーム。来てくださった方々は、やる気満々! 好奇心旺盛で食いしん坊。「やっぱり、日本の女はすごい!」。後で知ったのですが、なかには有名なブロガーさんや料理やお菓子のプロの方たちもお出でで......いまさら冷や汗でしたが、皆さんの温かい笑顔と素敵なオーラに囲まれて、心地良く料理ができました。
また、前回も来てくださった方々、遠く奈良から駆けつけてくださった方、こんな再会もとびきりうれしいものでした。
そして、仲良く協力し合って料理を仕上げたことで意気投合、その後も交流されている方々がいるのも良かった! こんな"おいしい輪"が広がっていくのも楽しいものです。

参加してくださった方々、食材の協力をしてくださった方々、そして、オーガナイズしてくださったALスタジオのスタッフの皆さんに感謝します。

さて、この度の教室で作ったデザートをご紹介します。

■『黒豆とショコラのパンナコッタ、グラン・マルニエ風味』

harada140218main14.jpg

材料4人分
●パンナコッタ
チョコレート(カカオ70%くらいのビターなもの) 100g
牛乳 250cc
生クリーム 100cc
砂糖(きび糖、てんさい糖など、精製されていないもの) 20g ※好みで加減
板ゼラチン 4.5g(1.5gの板3枚)
●黒豆とシロップ ※作りやすい分量
黒豆 300g
砂糖(精製されていないもの、あれば黒糖と半々) 200~250g
醤油 大さじ1
水 1ℓ
グラン・マルニエ 大さじ4
●スポイトのシロップ
グラン・マルニエ 大さじ3
砂糖 大さじ3
水 大さじ3
スポイト

<パンナコッタ>
1. ゼラチンを冷たい水に浸して柔らかくしておく。
2. 鍋に牛乳、チョコレート、砂糖を入れて弱火にかける(沸騰させない)。チョコと砂糖が溶けたら水気を切ったゼラチンを加えて混ぜる。
3. 火から下して、生クリームを少しずつ注ぎながら良く混ぜる。
4. 容器に注ぎ、室温で冷ましてから冷蔵庫に入れて冷やす。
<スポイトのシロップ>
すべての材料を合わせて混ぜてからスポイトに入れ、冷蔵庫で冷やしておく。
<黒豆とシロップ>
1. 黒豆をさっと洗い、鍋に砂糖、醤油、水を入れてひと煮立ちさせたら火から下ろして、ひと晩置く。
2. 紙(クッキングペーパー)の落し蓋をして中火にかけて、煮立ったら弱火にして軟らかくなるまで煮る。途中、豆が茹で汁から出ないように水を足す。味を見て甘さが足りなければ砂糖を。好みの軟らかさになったら火を止めてから、すぐにグラン・マルニエを加えて冷ます。
仕上げは、固まったパンナコッタの上に黒豆とシロップを入れて、スポイトを挿す。あれば、金箔を飾る。

グラン・マルニエの元シェフに使い方を伝授していただいたのですが、「グラン・マルニエを入れるタイミングは熱いうちに」とのこと。熱を加えても香りは飛ばず、むしろツンとしたエタノール臭が抜けていい香りが定着する効果があるそうで......。なるほど、ちょっとしたコツですが深いですね。もちろん、そのままアルコールを活かすのもおいしいもの。

黒豆というと、お正月しか食べないという方も多いかと思いますが、以前、左肩を痛めて整体・中医に行ったところ、"毎朝、黒豆とあずきをひと握りずつと水を鍋に入れて煮て、その煮汁をお茶代わりに飲む"というのを勧められました。漢方の食養生で、疲れを取る効果があるそう。それ以来、黒豆に黒糖を入れて、まとめて煮てから小瓶に分け、煮汁もたっぷり入れて冷凍。疲れた時に少しずついただきます。甘い煮汁を熱い豆乳に入れて飲めば体も温まり、じ~んとお豆の力をもらって元気になります。まだまだ寒い日々が続きますが、こういうもので栄養をつけましょう。ぜひお試しを!!

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest
和菓子
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.