オレロン島 4月のマルシェ「アペリティフで復活祭のお祝い!」
おうちでパリの味 2019.04.20
毎年春の誕生日に旅行に行くことにしているのですが、今年はフランス大西洋側、有名なIle de Ré (イルドレ)の下にあるIle d'Oléron(イルドレロン)オレロン島に行ってきました。
なぜそこに? と聞かれるのですが、一緒に仕事をしているフード・フォトグラファーのValérie Lhomme ヴァレリー・ロムさんがセカンドハウスを持っているので、しばし話を聞きながら、いつか行ってみたいと思っていたのです。
「私、地元住民より詳しいわよ」。というグルメなヴァレリーの情報を貰っていたのですが、そういうだけあっておいしいもの、きれいな場所と、盛りだくさんの島巡りになりました。
島の西側、古くからの伝統ある漁師町Cotinière コティ二エール。部屋も庭も広々としたコージーな家に滞在しました。
食材が豊かな場所でのヴァカンスは自炊が楽しいので、早速、島でいちばん大きなマルシェSt-Pierre d'Oléron (サンピエール・ドレオン) へ。
ヴァレリー御用達の魚屋は入り口横のRémy Migne (レミイ・ミーニュ)。土曜は長い行列ができていて凄い活気。
Pêche de la nuit de la Cotinière(コティ二エールで昨夜水揚げ)という札の付いたものから飛ぶように売れていきます。これは八角。
コティ二エールは、ラングスティンヌ(手長海老)がよく獲れることで有名だそうで、どの魚屋でも活きて飛び跳ねています。お値段もパリの半額なのでうれしい。
オレロン島は牡蠣の名産地なので、このマルシェにも6軒のスタンドがあるのですが、島のいたるところにオイスター・バーや24時間買える牡蠣の自動販売機まであるので、牡蠣好きには、たまらないですね。
さて、更にヴァレリー姐さんお薦めの食材はチーズ、鶏肉、ワインにビオ野菜……
是非試してみて! と教えてくれたのは、Jonchée(ジョンシェ)という名前の、ヤギの乳で作ったフレッシュチーズ。日持ちしないので週末しか作らないところが多く、探していたのですが最終日にようやく。すだれに包んで水切りされたふんわりチーズは、小袋に付けてくれたアーモンド水をかけて食す、初めての不思議な味わい。
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(上)マルシェの外にある地鶏屋さんの直売。胸肉を頼むと、オーナーがその場で捌いてくれました。(下)放し飼いにしている鶏にストレスをかけないように、好きなところで産ませているので、朝、広い敷地を探し回って集めて来たという卵はサイズも色もバラバラ……それでいいのだ~! 割ってみると弾力ある大きな真ん丸の黄身が出てきましたよ。
(上)地元農家のスタンドには、初物のアスパラが出ていてうれしい。(下)しゃきっとした肉厚ほうれん草は、早朝採ってきたもの。ニンニクと一緒にサッと炒めて、ここの名産の塩をぱらり、とっても美味しかった。
広場にはビオ農家の野菜やいちご。土曜はここを目当てに来る常連さんの長い行列が。
これも食べてみて! Bébé d'ail(べべ・ダイユ)ニンニクの赤ちゃんよ ! と薦められたのはAillet(アイレット)。庭のバーベキューで炭火焼きし、おいしいオイルと塩でいただきました。
この旅でいちばん気に入ってパリにたくさん持ち帰ったのは、Péchapié(ペシャピエ)という白ワイン。
島には家族経営の小さなワイナリーが多数。パリよりもはるかに暖かで太陽光が強い、ここならではのものですね。牡蠣や魚介他なんにでも合う、久々に美味しいワインとのめぐり逢い。島のカフェで人気のPineau( ピノー)やコニャックも名産品。
マルシェから戻って来て飲みながら、庭で食べるランチの支度。スープドポワソンに、ラングスティンを開いて、塩、ニンニク、オリーブ油を振りかけてからサッとオーブンで焼くだけ。ホロホロとした甘い身がワインに合うなあ。
さて、昼寝の後は島巡り。
「自転車を持って行かないなんて、絶対に後悔するわよ‼」と凄い迫力で言われ、は、はい。有無を言わせずパリから自転車を車に積んで来て正解でした。レンタルサイクルも多く、ここは、じいちゃんばあちゃんもサイクリングを楽しむ島。南には本土を望むこんな清々しいプロムナードがあって、「気持ちいい~」を連発。
ビオの畑、 Le jardin de la Josière (ル・ジャルダン・ド・ラ・ジョジエー)を訪ねてみました。4月から稼働する野菜やジャムなどの販売所がよさそうです。
ここは名所のひとつ、左にオレロン島のシンボル古い要塞のFort Boyard(フォー・ボワイヤー)が見える。
Le Château d'Oléron(シャトー・ドレオン)地区の牡蠣小屋で、直売とバーが並ぶ一角。ヴァレリーのお薦めは、L'Atelier(ラトリエ)ですが、私のお薦めは本土から島に入る橋の手前にある
La Maison Gillardeau (ラ・メゾン・ジラルド)ここのブティックでイートインできます。星付きシェフ達のお墨付き。
夕方、家のある西海岸に戻ってきて夕焼けまでの散歩を楽しむ。ひたすらのどかです。
さて、島からパリに戻って楽しんだのは、お土産のワイン、野菜、新鮮卵もいっぱい。
何を作ろうか? と考えていたのですが、もうじきPâques(パック)キリストの復活祭なので卵を使ったラピュタパンを作ってみました。
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■『アボカドとうずらのトースト』
Pain de mie d'avocat et œufs de cailles
―材料 6枚分
食パン(小さめの食パン又はバゲットを切ったもの) 6枚
ウズラ卵 6個
アボカド(小さめ) 2個
塩・コショウ 少々
バジル 少々
オリーヴ油 適量
―作り方
1.パンにオリーブ油を塗る。
2.アボカドの薄切りを丸く載せて、真ん中に卵を落とす。
3.塩・コショウをかけてオーブントースターで10分くらい焼く。仕上げにバジルの葉を散らす。
これに発泡酒を開けて、乾杯!
マレに日本の食パン屋さんができてから、パリのブーランジェリーでも食パンを見かけるようになりました。
美味しいパンが食べれること、それだけで幸せです。
島の人達は実直で優しい、手つかずの野生が残る数々の場所……とにかく楽しい旅でした。
MERCI Valérie !!
この夏のヴァカンスに向けて、オレロン島の素敵なインスタ、観光案内(英語あり)
もご覧くださいませ。
■MARCHÉ COUVERT DE ST PIERRE D'OLÉRON 屋根付マルシェ・サンピエール・ドレオン
Place de l'Europe17310, ST PIERRE D OLERON France
営)火曜~日曜 8時~13時
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業 適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理 教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。2016年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
Instagram : @haradasachiyo
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo