ノルマンディーの郷土料理を、パリの自宅で。

誰にでも懐かしい味、思い出の味があるはず。食べると心もお腹も満たされて、ホッとするもの。
最近は、いわゆるガストロノミーよりも、郷土食やおふくろの味というものに惹かれる。

私が北海道に帰省する時に母にリクエストするのは、“具だくさんの炊き込みご飯”。乾燥ホタテ貝柱、北寄貝、鶏肉、細切り昆布、ゴボウ、揚げ、コンニャクなど、地元の食材をたっぷりと入れたもの。貝や肉、昆布の旨みを吸ってふっくらと炊きあがったご飯がなんともおいしい! これさえあれば大満足。子どもの頃から食べてきた味に、幸福感がぐっと湧いてきて全身がゆるんでいく。

ノルマンディー出身の友人に、そんな話をしていると、彼女の家では料理をするのはもっぱら父親の役目。子どもの頃から、お父さん手作りのお菓子や夕飯、週末のランチやディナーには、ノルマンディーの家庭料理が並んでいたという。
じゃあどんなものを? というと、りんごを入れた焼き菓子、酪農が盛んなので、バターや生クリームをふんだんに使ったもの、海の幸も豊かで……そういえば、舌平目やホタテ貝の“ノルマンディー風”というのが有名だった。
他にはクレープや名物のカマンベールチーズ、りんごから造るシードル、ポモーやカルバドス……フランス人に、この手の話を聞き始めると、お国自慢が止まらない。さすがは農業国、とにかく田舎は豊かで、その地域ごとの名物が素晴らしい。

さて、今日ご紹介するのは、友人から教えてもらったレシピで、お父さんが昔からよく作ってくれるというシードルを使った簡単な煮込み料理。パリも春めいてきたとはいえ、冷え込む日々にはこんな熱々を食べてエネルギーを蓄えたい。

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鶏とりんごのノルマンディー風煮込み 
Poulet au cidre et aux pommes

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<2人分>
鶏足 2本(又は鶏モモ肉2枚)
小麦粉 適量
リンゴ 1個(小リンゴなら2個)
玉ネギ 1個
ニンジン 1本
ベーコン 50g
シードル(辛口) 200㏄
植物オイル(ノルマンディーではバター) 大さじ3
塩  小さじ1
コショウ 少々
ローズマリー(又はハーブ) 少々

<作り方>
1.玉ネギをみじん切り、ニンジンを短冊切り、リンゴを8等分のくし切りに。ベーコンは細切れに。
2.鶏肉の皮にフォークかナイフを数十カ所刺して穴をあけてから、2等分して塩コショウし、5分ほど置いてなじませた後、全体に軽く小麦粉を振る。
3.オイル大さじ2を入れて熱した鍋かフライパン(中~強火の間)に鶏の皮の方から入れて、両面に焼き色を付けたら一旦取り出す。鍋の油を捨ててキッチンペーパーで軽く拭いてから、新たにオイル大さじ1を入れて玉ネギを炒め、透明になったら、ベーコン、ニンジンを入れて軽く炒める。鶏肉を加えてシードルを注ぎ、強火にしてアクが浮いてきたらすくい、蓋をしてから中~弱火にして20分ほど煮る。
4.リンゴを加えてから更に5分ほど煮て、リンゴに火が通ったらでき上がり。味見をして足りなければ塩を足す。あれば、ローズマリーかハーブをのせる。

ノルマンディーでは名産のバターを使い、生クリームを入れる家庭も多いそうですが、今日は私好みに軽く。パンを添えて、ソースまで味わってください。

これは、秋にノルマンディーのりんご園を訪ねた時の様子。

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10品種くらいあるなかから、味見をして好みのものを選ぶのが楽しい。酸味のあるもの、ピュレに向くもの、赤色のきれいなもの、見ているだけでお菓子や料理のインスピレーションが湧いてくる。

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木の高いところになっているのがおいしそうなので、梯子を借りて果敢に。

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お菓子用に小さなものもたくさん収穫。

秋晴れのノルマンディーで太陽を浴びながら、愉快にりんご畑を歩き回ったことを思い出します。
今夜あたり、お土産に買ってきた古いカルバドスを開けてみようか。

Sachiyo Harada/料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。16年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。近著に『LE B.A.-BA DE LA CUISINE “Ramen”』(Edition Marabout Hachette社 刊)がある。
Instagram : @haradasachiyo
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