フランスの行事シャンドラーを想いながら作るクレープ。
おうちでパリの味 2024.01.31
カトリックの国フランスには、古来から1年を通して様々な行事があるのですが、それに伴う美味しいお菓子を味わうのが毎年の楽しみのひとつです。
まずは、新年1月6日のÉpiphanie(エピファニー)公現祭と呼ばれるこの日、フランスでは14世紀からガレット・デ・ロワを食べる習慣があるのですが、ノエルの後から1月下旬までお菓子屋さんやパン屋さんの店頭に華やかに並びます。これは、日本でもすでに知られていますね。
そして2月2日のChandeleur(シャンドラー)は聖燭祭(ろうそく祝別の日)とも呼ばれているキリスト教の祝日で(ノエルのキリストの誕生から40日後の聖母マリアのお清めの日)クレープを食べながら幸せと繁栄をお祈りする日とされています。
なぜクレープを食べるのかというと、黄金色の丸いクレープは太陽をあらわすもの。昔の農民たちが寒くて長く辛い冬を乗り越え春の太陽を待ちわびる気持ちから、春の到来を祝うお祭りだったようです。
フランスの家庭には、たいがいクレープ専用の平たいフライパンがあり、普段から子供達のおやつや週末の朝食、ブランチにもよく作るのですが、この日も時間があれば、家族や友人達と集まって楽しみます。
こんなフランスの行事を思い浮かべながら作って、ゆったりと味わってみてはいかがでしょうか。
今日ご紹介するレシピは、ラム酒を効かせたシンプルなもの。コンフィチュール、ハチミツ、生クリームやフルーツ、チョコレートなど、クレープのバリエーションはたくさんありますが、私が一番好きなのは、このバターとお砂糖少し振りかけたもの。
〖材料〗 直径24cmのフライパンで6枚分
【クレープ生地】
《ボールA》
卵 1個
砂糖 大さじ2
ラム酒 大さじ2
牛乳 250ml
《ボールB》
薄力粉 120g
溶かしバター 20g
フライパンに塗る植物油 適量
【仕上げ】
砂糖 適量
バター 適量
コンフィチュールやハチミツなど好みのものを。
〖作り方〗
①《ボールA》の材料⇒卵、砂糖、ラム酒、牛乳1/3 を入れて泡だて器でよく混ぜる。《ボール B》の材料⇒薄力粉を振るい入れる。粉の中央にくぼみを作ってAを少しずつ流し入れ中央からゆっくり混ぜあわせていく。粉気がなくなるまで全体が混ざったら、残りの牛乳を少しずつ加えて混ぜる。(こうするとダマができません)最後に溶かしバターを入れて混ぜる。(牛乳が冷たすぎるとバターがダマになるので、予め冷蔵庫から出して室温にしておく)
②テフロン加工のフライパンに、折り畳んだキッチンペーパーを使って薄く油を引き、中火で温めてから、お玉1杯くらいの生地を流し入れフライパンを回しながら手早く広げる。生地の表面が乾いて端がめくれてきたら、裏返して1分ほど焼く。
③ 食べる直前にクレープを弱火で温め直しバターを塗って砂糖を少々を振りかける。
シャンドラーの次は Mardi grasマルディ・グラという謝肉祭に食べる揚げ菓子があるのですが、またの機会にご紹介したいと思います。
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo