旬の赤いフルーツと味わうパン・ペルデュのグラタン

最近、よくニュースでも話題になるのは、"リサイクル"。服や子供のおもちゃなどをクリーニングしてからリメイクしたり、家具や自転車を修理してモノを捨てずに次の人に渡して活用してもらおう、という動きが盛んになってきました。

身の回りのものだけではなくフードロスを減らしていく試みも多く、パリ11区には売れ残ったパンを集めて翌日に手頃な値段で販売するBoulangerie Demainという店が出現。

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天然酵母を使って、じっくりと発酵させたものだけを扱っているのですが、職人たちによって真面目に昔ながらの方法で焼かれたパンは、時間が経っても味わい深いものです。

240624_taselikeparis_DSC_0879.JPG店の壁にはコンセプト、協賛しているブーランジェリーのマークと"あなたは、毎晩何トンのパンやお菓子が捨てられているか知っていますか?"という問いかけから始まるメッセージが。

多くのブーランジェリーでは、売れ残ったパンは破棄される運命ですが、カナル・サンマルタンにある某店のオーナーは絶対に捨てない主義。残ったものは、翌日細かく切ってから、牛乳、卵、砂糖を混ぜて、薄切りしたりんご、シナモンと干しブドウを入れてオーブンへ。焼き上がったものを石畳のようなブロック状に切り分けてから、仕上げに粉砂糖をたっぷり振って作った定番商品が人気です。

フランス人の友人にそんな話をしていると、「そういえば、うちのおばあちゃんは、もったいないからと言って絶対にパンを捨てなかった、いつもパン・ペルデュやスープの具にしていたなあ。」と。
さすが、フランスのおばあちゃん! モノの始末がお上手です。

パン・ペルデュpain perdu(perdu=失われたという意味)とは、硬くなってしまったパンを卵と牛乳に浸してから焼いたもの。

余ったパンがあったので、おばあちゃん達を見習ってパン・ペルデュを。普段はフライパンで焼くのですが、今日はおもてなし用にグラタン皿に入れてオーブンで焼いてみました。表面は香ばしくカリッと、真ん中はモチモチ、底はフルフルとしたプリン風の3つの食感が味わえます。

そして、今が旬で、マルシェや八百屋の店先を華やかに彩っているフランボワーズやベリー類など赤いフルーツをたっぷりとのせて。

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赤いフルーツとパン・ペルデュのグラタン Pain perdu gratiné aux fruits rouges

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<材料>4~6人分(22cm×16cmのグラタン皿1個分)
食パン 6枚(耳を取ったもの)
牛乳又は豆乳 400ml
卵 3個
きび砂糖 大さじ4
バニラエッセンス 数滴
バター 小さじ1

<作り方>
①グラタン皿にバターを塗る。パンを4等分の角型に切ってから皿に並べる。
②オーブンを予熱180°Cに温めておく。ボールに卵と砂糖を入れて、泡だて器でよく混ぜる。そこに牛乳を少しずつ加えて混ぜ、最後にバニラエッセンスを加えてから、グラタン皿にそそいで、10分ほど置いてパンに卵液を吸わせる。
③グラタン皿を一回り大きなバットの中にいれて、2cmくらいの高さになるまでバットの端の方から熱湯を注ぐ。静かにオーブンの中にいれて、30~40分ほど湯煎で焼く。途中で表面に焦げ目がついてきたら、アルミホイルをかぶせて、好みの焼き色になるように調節する。
④焼いている間に、フルーツを洗い、生クリームを軽く泡立てておく。
⑤焼き上がったら取り分けて、クリームとフルーツをのせて砕いたピスタチオを散らす。 

【仕上げ】
赤いフルーツ  好みのものを適量
ピスタチオ 少々(ビンの底で押して砕いておく)
生クリーム 100ml に砂糖小さじ1

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パリはバラの季節。5区にあるジャルダン・デ・プラントの中にあるバラ園には、花の香りを愉しむ人達が絶えません。

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毎年、丹精込めてお世話されているバラ達が見事。美しいものが癒しをもたらせてくれます。 

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親子の行進が微笑ましい、この春に生まれた鴨の子供たちは、お母さんと一緒に泳ぎの練習中。

目にも効能のある赤いフルーツとフランス人がよく言う"plaisir pour les yeux"(目に楽しい、喜び)を味わって、元気になってきました。

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo

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