早春のイベント、マルディグラのお菓子を味わう。
おうちでパリの味 2025.02.23
今年のMardi grasマルディグラは3月4日。
この毎年恒例のイベントの由来は、キリスト教を起源とする祝祭の期間で、1月6日のエピファニー(公現祭: 東方三博士がベツレヘムを訪れて「神の子」として現れたキリストを祝福した日で、ガレット・デ・ロワを食べる伝統があります)の後から、パックPâques(復活祭 :イースター)までの節食が始まる前に催される盛大なカーニバル(謝肉祭: 南仏ニースやヴェニスのカーニバルが有名)の間に大いに食べて飲んで過ごすお祭りから始まりました。3月4日は、その最終日で、Mardi (マルディ=火曜日) Gras(グラ=肥えた)というだけあって、ドーナツやワッフルなど、こってりとした甘いものを食べる習慣があります。
元々は肉を食べてはいけないという掟の代わりに、魚や野菜に衣を付けて揚げていた名残が、カロリーたっぷりの揚げ菓子になっていったようです。
古代ローマ時代から食べられている揚げ菓子ですが、中世の頃には、今でいうストリートフードのように、揚げ物屋が街中で売り歩いていたとか。ドーナツのようなBeignetsベニエや南仏ではBugnesビューニュと呼ばれるものなど、フランスの地方ごとに様々なレシピや名前がたくさんあります。
今日ご紹介するMerveillesメルヴェイユは、ボルドーから南西部辺りのスペシャリテで、フランス人なら誰もが知っていて、子供から大人まで皆が大好きなお菓子。マルディグラの時期、パティスリーや一般の家庭でも作り続けられているトラディショナルなものです。
ボルドー生まれの友人が、『子供の頃、マルディグラの時におばあちゃんの家で食べたのを思い出すよ。グランマルニエが効いていて美味しかったなあ。もう、一口食べただけでお祭り気分だったよ!』と懐かしそうな様子。
---fadeinpager---
メルベイユ Merveilles
材料 16個分
【ボールA】
薄力粉 160g
ベーキングパウダー 6g
【ボールB】
卵 1個
砂糖 50g
牛乳 大さじ1
ラム酒(又は好みのリキュール) 小さじ1
おろしたレモンの皮 1/ 2 個分
溶かしバター 20g
打ち粉用薄力粉 適量
揚げ油 適量
粉砂糖 適量
①【ボールA】の粉をあわせて振るっておく。
②【ボールB】の材料を泡だて器でよく混ぜて、Aの中心から注いでゴムべラを使って混ぜていく。
生地がまとまったら、手のひらくらいの大きさ(長方形、厚みは1,5㎝ほど)に伸ばして、ラップに包んで冷蔵庫で1時間ほど休ませる。
③まな板にたっぷりと打ち粉をして半分に切った生地(まな板の大きさに合わせて適当に)を5ミリくらいの厚さに伸ばす。ナイフで縦方向5㎝くらいの帯状に切り分けてから、斜めに切って菱形に。中心に2㎝くらいの切り目を入れる。
④小さめ深めのフライパンに油を2㎝ほど注いで、中火で温める。菜箸を油の中に入れて、箸の周りに小さな泡が出てきたら適温(大体170℃)。生地を入れて両面がきつね色になるように返しながら揚げて、油を切ったら、粉砂糖を振る。
Merveilleメルヴェイユというのは、"素晴らしい"という意味ですが、なんとも縁起の良い響きではありませんか?こんなお菓子をほお張ったら、なんだか春から凄く良いことがやって来そうでワクワクしてきました!

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo