ジェシー(SixTONES)、ユーモラスで紳士的な存在感。

フィガロオム 2024.04.19

真剣かと思ったらふざけていて、ふざけているのかと思ったら真剣。予想の数倍上を余裕で超えてくる捉えどころのなさは、逆にそのキャパシティの広さの証明なのかもしれない。誰にも真似することのできない時代のアイコン、ジェシーが見せる変幻自在の魅力とは?

ジェシー(SixTONES)

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ロンドン発のスケートブランド、パレスとジュンヤ ワタナベ マンのダブルネームジャケットを羽織って。挑戦を恐れない、少年のようにまっすぐなジェシーの眼差しには、パワフルでやんちゃな精神が宿っている。ジャケット¥165,000、パンツ¥85,800/ともにジュンヤ ワタナベ マン(コム デ ギャルソン)

毎日後悔と反省ばかり。友だちが多くてよかったなと思うのは、そんな時。

「普段と違う髪型をしたり衣装を着させてもらうことで、発見があったり、新しい自分を引き出したりしてもらえるから、ファッションシューティングは楽しいですね。俺、こういうの好きなんです」カメラを向けられると一瞬で表情がガラリと一変し、つい先ほどまでスタッフとカジュアルに会話を交わしていた人物とは思えないほど引き締まった空気が漂う。普段はインパクトのあるファッションを好み、同じアイテムの色違いやデザイン違いを多く所有しているという。

「ついつい買ってしまいがちなのは、ペンダント。ラバー素材のものをいくつも持っていて、ジャラッと重ねてつけるのが好きですね。酔っぱらうと人にあげちゃう癖があるので、いつも何個もつけるようにしています(笑)」

ジェシーといえば、歌にダンスに芝居にバラエティ、そして時にモデルと、さまざまな表現に挑戦し、マルチポテンシャライトとも言うべき異彩を放っている。「ジャンルに縛られずに活動している人ほど、見ていてギャップがあっておもしろいなと感じるので、自分自身もまだひとつのことに絞る必要はないんじゃないかなって思っています。人それぞれ求めるものは違うので、それをいちいち気にしていても仕方がない。ちょっとしたことでいろいろと言う人もいるかもしれませんが、時代も変化していますし、自分が楽しんで仕事ができたらそれでいいと思うんです。いまも、さまざまな表現やお仕事をやらせていただいていますが、満足できるものがまだ見つかってないからこそおもしろいし、探求できる楽しみがあるんでしょうね」

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適当にやっている現場を見ると、萎えちゃいます。

多面性のある表現こそがジェシーの魅力ではあるが、一方でどれが素の彼に近いのだろうか。インタビュー中に「結婚」というワードが出たので、「結婚を考えたりするのか?」と問うと、「もちろんですよ。だって俺、生まれた瞬間に結婚のことを考えて『オギャア』って泣きましたから」と、真面目な話をしていたはずが、急にふざけた話にすり替わり、終始煙に巻かれているような気分にさせられる。そんなジェシーに、つかみどころがない不思議な人を演じているのか、そうでないのかがわからないと言ったら、返ってきたのはこんな返事だった。「普通ですよ。俺は本当に普通」

誰とでも親しくなる驚異のコミュニケーションスキルを誇ることは周知の事実。「緊張のあまり、連絡先を交換しましょうと言えなかったのは志村けんさんくらいかもしれません。俺から声をかけられないのを察知した志村さんのほうから、『ジェシー、連絡先交換してないよな?』って話しかけてくださったんです」

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そんなふうにぐいぐいと切り込んでいきながらも、自身の性格はシャイでビビリだと言い切る。「いまも昔も変わらず根は本当にシャイです。ただ、ふざけてもいいというのを学んだし、周りもわかってくれているから楽になりましたけど、ここにいたるまでは大変でした」前に出られるようになったきっかけは、生放送の仕事だった。「最初は全然しゃべれなくて、でもしゃべらないと映らないので、フロアディレクターに『ジェシー、しゃべって』『ジェシー、しゃべって』ってカンペをガンガン出されて。そこから、1回でもいいからふざけようと思い始めて、ふざけるようになったんです」ただし彼の言う"ふざける"はいつでも真剣で全力投球だ。うまく立ち振る舞えたと思うことのほうが少なく、反省は尽きない。

「あの時こう言えばよかったとか、もっとおもしろいことが言えたのにと、毎日後悔と反省ばかりです。友だちが多くてよかったなと思うのは、そんな時。表現方法に合わせて、『あ、これはあの人に聞いてみよう』とか、アドバイスがもらえたり、またいろんな人に会ったり、それが次の仕事にも繋がっていくんです。好きなのは、いいものを作ろうとする一生懸命な現場。挨拶なんかもそうですけど、適当にやっている現場を見ると萎えちゃいますね。え? いちばんしっくりくるのは何かって? 多分いちばん自分らしいのは、俺のインスタじゃないですかね。何のしがらみもないので、とにかく自由に自分の好き勝手やっているので。時にはスタジオを借りて撮影したりもしていて、本当に自分発信。撮影の合間のご飯を用意したりするのも、とにかく楽しいんです。たとえば仕事がまったくなくなったとしても、インスタがあれば、そこから自分自身を届けられる。それくらいわかりやすい俺がいます」

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SixTONESの結成記念日にシングルリリースができるのは奇跡なんです。

SixTONESの存在を、何があっても受け止めてくれる居心地のいい"実家"と呼び、グループの存在なくしては自分の活動はあり得ないと言う。そんなSixTONESの結成日である5月1日に、12枚目となるシングル「音色」をリリースする。

「先輩のグループの誰かがドラマや映画の主演をしたら、そのグループの楽曲が主題歌として使われるというのをこれまでずっと見てきて、その状況にものすごく憧れていたんですけど、それがいま俺たちのグループにも増えてきた。今回のシングルも(京本)大我が主演するドラマの主題歌ですし、昔だったらあり得ないこの状況がものすごくうれしいんです。あと、シングルはたいてい水曜日に発売されるんですけど、5月1日が水曜日にぶつかる確率ってものすごくレアなんです。そう考えると、今回のシングルは本当に奇跡ですよ」

9年前、先の見えない芸能生活に終止符を打とうとしていたメンバーたちに、自ら「もう一度やろうぜ」と声をかけたことから、SixTONESは誕生した。当時はデビューするまでをひとつのミッションと考えてがむしゃらに頑張っていただけに、いまのような未来は想像さえつかなかったという。

「自信なんかもちろんなくて、みんな不安な日々を過ごしていたけど、もしデビューできなかったとしても、大好きなライブだけはやっていこうぜ!という感じでした。それが、いまではドームツアーをやらせてもらってるんですから。それに、テレビで観ていた人たちと一緒にレギュラー番組をやらせてもらったり、番組終わりにご飯に行かせてもらったりするーーー。この状況全部が夢ですよ。そういう意味では、自分、すげぇと思います」

*「フィガロジャポン」2024年6月号より抜粋。

2024年4月19日発売のフィガロジャポン6月号では、こちらの記事に未掲載のジェシーの撮り下ろしポートレートを多数掲載! ぜひチェックして。

Jesse

1996年6月11日生まれ、東京都出身。2015年に結成されたSixTONESのメンバー。20年にCDデビュー。歌手、俳優として活動し、ドラマ「新空港占拠」のスピンオフ『新空港占拠前Run,Mouse, Run!』(Huluオリジナル)では主演を務める。エルメスの23年春夏メンズコレクションのランウェイにモデルとして登場。5月1日には12thシングル「音色」がリリースされる。

●問い合わせ先:
コム デ ギャルソン tel: 03-3486-7611

photography: Masaya Tanaka(Tron Management) styling: Mana Yamamoto hair: Asashi(Ota Office) makeup: Arina Nishi text: Rieko Shibazaki

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