カルティエ、パンキッシュな釘を身に着けることの意味。

いいモノ語り 2020.12.24

時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、カルティエのジュエリーの話をお届けします。

file : 017 
CARTIER
Juste un Clou

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ブレスレット「ジュスト アン クル」上から:(WG)¥880,000、(YG)¥368,500、(PG)¥368,500/以上カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)

ただの一本の釘、というのがフランス語「ジュスト アン クル」の意味。その名のとおり、よく見るとディテールは結構リアルな釘の形。このオリジナルモデルをカルティエのためにデザインしたのは、アルド・チプロ。あのアイコニックな「ラブ」ブレスレットをデザインしたことでも知られるニューヨークのジュエリーデザイナーだ。

彼が「ジュスト アン クル」を手がけたのは1971年のこと。当時アメリカでは、ベトナム戦争が泥沼化する中、フラワーチルドレンが花を掲げて平和を叫んでいた。そんな反骨精神と開放的な空気が、釘をジュエリーにというアイデアを生んだのだろう。

またこの時代、コンセプチュアルアートと呼ばれる芸術運動も世の中を揺り動かしていた。オノ・ヨーコがジョン・レノンとのベッド・インを、アートパフォーマンスとして行ったのもそのひとつ。日常の何げないものが、アートの力によって特別な存在に生まれ変わること。カルティエは、まさにそれをジュエリーでやってみせたのだ。

ありふれた一本の釘が、センシュアルなブレスレットに変貌するという魔法。何げないものに思えていても、自分自身がそれに意味を与えさえすれば、たちまちプレシャスなきらめきを放ち始めると、このジュエリーは教えてくれている。「ジュスト アン クル」は、日常を自ら非日常に変えることの大切さを、思い起こさせてくれるのだ。

*「フィガロジャポン」2019年2月号より抜粋

●問い合わせ先:
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-301-757(フリーダイヤル)
www.cartier.jp

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photo : SHINMEI (SEPT), stylisme : YUUKA MARUYAMA (MAKIURA OFFICE), text : KEIKO HOMMA

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