時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、ハリー・ウィンストンのジュエリーの話をお届けします。
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HARRY WINSTON
Sparks

ダイヤモンドとカラーストーンが煌めきをふりまくペンダント「スパークス」。左から、(タンザナイト×ブルーサファイア×スペサタイトガーネット×イエローダイヤモンド×ダイヤモンド×PT×YG)参考商品、(ルベライトトルマリン×ピンクサファイア×スペサタイトガーネット×イエローダイヤモンド×ダイヤモンド×PT×YG)参考商品、(スペサタイトガーネット×アクアマリン×ルビー×ピンクサファイア×サファイア×ダイヤモンド×PT×YG)参考商品/以上ハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)
弾ける花火のような色と輝きで、運命的な出会いの瞬間をキャプチャー。
当たり前と思っていたことが当たり前でなくなり、確かだと思っていたことが揺らぎ始め、劇的に変化している私たちの日常生活。ジュエリーは不要不急の豪奢品などと言われているけれど、ハリー・ウィンストンのペンダント「スパークス」を眺めていると、ジュエリーは決して不要ではないと思えてくる。
今年、ハリー・ウィンストンがテーマにしているのは、愛。「愛は多くの人にとってさまざまな意味を持つものでしょう。それはとてもパーソナルであり、多様なものです。お互いへの愛、家族への愛、自分自身への愛、仲間への愛、コミュニティへの愛。ハリー・ウィンストンは常に愛することを慈しんできました」と語るのは、ハリー・ウィンストン社CEOのナイラ・ハイエック。最新コレクション「ウィンストン・ウィズ・ラブ」では、愛という想いのもとに紡がれる特別な情景を描いているという。たとえば情熱的に燃え上がる愛や、永遠を誓う愛、人生をともに歩む愛など、生きていくうえで体験するさまざまな幸福の時がモチーフになっているのだ。
コレクションのうちのひとつ「スパークス」は、愛の始まりを表したデザイン。出会った時の気持ちの高まりを、弾ける花火のような愛の炎で表現している。ペンダントのセンターに輝くのは、上質なタンザナイト、真紅のルベライトトルマリン、濃いオレンジ色のスペサタイトガーネット。その周囲には色とりどりのジェムストーンがちりばめられて、運命的な出会いの瞬間に生まれるエモーションを華やかに描き出している。
ジュエリーは時に言葉より饒舌で、うまく言い表せない気持ちを的確に物語ってくれるもの。この「スパークス」も、ふたりが初めて出会った時のドラマティックな予感や、心臓の鼓動の高鳴りをとてもうまく形にしている。90年近くにわたって愛の贈り物を創り続けているトップジュエラーならではの表現力だ。
「昨年から続く予測のつかない不安定な状況のいまこそ、必要なのは愛であり、あらゆる側面から愛を見直す時です。あなたにとっての愛とは、私たちにとっての愛とは、何を意味するでしょうか」と問いかける、ナイラ・ハイエック。
愛とは──温かく優しく、まぶしいほどの光にあふれているもの。日常のいたるところに潜んでいる小さな愛のかけらを見つけ出して──。このペンダントはそうささやきかけているかのようだ。

創業は1932年。選び抜かれたダイヤモンドだけを扱うニューヨークの名門ジュエラー。
*「フィガロジャポン」2021年12月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko