時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、グラフのジュエリーの話をお届けします。
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GRAFF
BUTTERFLY
レースを思わせるオープンワークの羽を煌めかせたコレクション。復活、愛、美、自由、成功のシンボルともされるバタフライモチーフは、どこまでもフェミニンにデコルテを飾ってくれる。ペンダント「ザ バタフライ シルエット」(WG×ダイヤモンド)¥451,000/グラフ(グラフダイヤモンズジャパン)
輝くバタフライをお守りにして、永遠のフェミニニティを手に入れる。
屈指のダイヤモンドジュエラー、グラフの可憐なペンダント「ザ バタフライ シルエット」。蝶のシルエットをオープンワークで描き出し、そこに上質なダイヤモンドがキラリと輝く。軽やかで繊細なこのペンダントは、肌身離さず着けていたくなるお守りのようなジュエリー。バタフライモチーフに秘められた意味を知れば、ますますこのペンダントが愛しくなるはず。幼虫からサナギになり、やがて空へ羽ばたく蝶は、生まれ変わりや復活のシンボル。愛らしく姿を変える様子から、美のシンボルと信じられていたのだそう。
また、ギリシャ神話に登場するプシュケという名の娘は、愛の神クピド(キューピッド)の恋人とされている。恋に落ちたふたりは、さまざまな苦難を乗り越えて結婚。プシュケは背中に蝶の羽が生えた姿になり、蝶は愛のシンボルとされるようになった。こんなファンタジックな意味を秘めたバタフライモチーフのペンダントは、身に着ける人に幸福を運んできてくれると信じたい。
この「ザ バタフライ シルエット」コレクションを生み出したグラフは、ロンドンで1960年に誕生したダイヤモンドジュエラー。創業者のローレンス・グラフが一代にして国際的なハイジュエラーに育て上げたサクセスストーリーでも知られている。
15歳の若さでロンドンの宝飾工房で見習いを始めたローレンス・グラフは、22歳で自らのブランドを創業。数々の歴史的ダイヤモンドを扱い、人々に夢を運んできた。最高級の原石を優先的に手に入れるため、世界各地のダイヤモンド鉱山に独自のネットワークを張り巡らせているのもグラフの特徴。アフリカのレソト王国で貴重なダイヤモンド原石が産出した時などは、国王からダイレクトコールがかかってくるほどの密接さで結ばれているという。
そんな特別なジュエラーだから、このペンダントにあしらわれたダイヤモンドはとびきりの美しさ。さりげなく着けられるデザインだけれど、わずかな光も逃さず鮮やかに反射して、ピュアな艶めきで胸元を輝かせてくれる。まるで光そのもののように輝く蝶。シンプルだけれど存在感がある、グラフの「ザ バタフライ シルエット」のペンダントをそっと胸元に着けていたら、サナギが蝶になるように、いつか自分も天高く羽ばたけるはず。恋に落ちたプシュケのように、いつも愛を胸に抱いて生きてゆけるはず。
*「フィガロジャポン」2023年2月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko