体型、年齢、舞台......バレエの美意識を革新するバレリーナに注目。

インタビュー 2021.09.14

パンデミックで見つめ直した、バレエと生き方。

ローレン・ラヴェット|バレリーナ、振付師、プロデューサー

3月にニューヨーク・シティ・バレエ団の退団を公表したプリンシパル、ローレン・ラヴェット。7月には、バレエ公演の意義をダンサーと観客に問うイベント『WHY IT MATTERS』をプロデュース。カクテルレセプションやディナーも交えた新しいバレエの楽しみ方を、一夜限りのポップアップイベントで提案した。

「プロデュースは初めてだった。自分も含め14人のダンサーが、『なぜ観客を前に踊るのか』を考えて表現することで、現在のパンデミックからの快復を一緒に祈るイベントにしたかった」

ローレンは、企画から制作、振り付け、踊りまで担当。自分のビジョンを形にすることを心から楽しんでいるという。

「パンデミックで舞台がなくなった時、自分がなぜ踊るのかさえわからなくなった。アーティストとしての価値も見失いかけたし、別れも経験した。自分は何をすべきか、人間としてどう成長したいのかを悩んだ結果、振付師やプロデューサーとして、またダンサーとしてもレベルアップするために退団することを決めたの」

ローレンにとって、ダンスは自分の核にある喜び、振り付けはダンサーの魅力を引き出していくプロセス。プリンシパルの経験を生かして振り付けやプロデュースをすることは、やりがいがあると語る。そんな彼女は、すでにいくつものプロジェクトを抱えている。 

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退団前の公演として、ニューヨーク・シティ・バレエ団『ローレン・ラヴェット フェアウェル公演』で、「オーパス19/ザ・ドリーマー」と同バレエ団共同創始者でアメリカバレエの父といわれるバランシンの代表作「セレナーデ」を演じる。11年間ファンを魅了したプリンシパルの退団を惜しむ声は、いまも絶えない。『ローレン・ラヴェット フェアウェル公演』は10月9日にニューヨークにて開催予定。

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また、バレエで美しいとされる体型やボディイメージについても沈黙を破る。

「もう42キログラムでは踊らない。それは私ではないから」とニューヨークタイムズ紙のインタビューに答え、バレリーナの体型や心身の健康が再考されるべきだと発信。ローレン自身も体型や年齢についてさまざまな葛藤を超えてきただけに、タブーとされてきたトピックスに向き合うことは勇気ある挑戦だろう。

「バレリーナにも、美を個性的なものと捉える新しい波が訪れている。これからのバレエは、鍛えられた身体による超越した技だけでなく、人間性の真実や感情を伝えて人を繋ぐ芸術になっていく」

何かに悩んだ時、立ち止まるのではなく踊るように向き合ってみよう。バレエの舞台を観ることで、そんな風に視野を広げて、バレリーナと心を通わせてほしいと言う。

「どこで何をするかではなく、自分らしい人生をどう生きるかにこだわると決めた。未知なことに挑み、旅をして知見を蓄える。いかに地球に貢献できるかを考えることが、これからの私の生き方」

ビールを飲んだり、ドーナツ店を訪れたり、インスタグラムでは、すっきりとしたショートヘアのリアルな彼女が垣間見える。

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ローレン・ラヴェット|LAUREN LOVETTE
11歳でバレエを始め、2010年にニューヨーク・シティ・バレエ団入団。2015年以降、プリンシパルとして踊る傍ら、振付師としても活躍。10月の退団後は、独立してさまざまな活動を始める予定だ。

*「フィガロジャポン」2021年10月号より抜粋

text: Chinami Inaishi photography: Nicholas Mackay

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