『ロミオとジュリエット』公演間近! 柄本弾が語る見どころは?

インタビュー 2022.04.22

東京バレエ団が、4月29日からジョン・クランコ振付『ロミオとジュリエット』を上演する。2014年に上演したノイマイヤー版に続く2つ目のバージョンとなる今回の公演で、初日にロミオ役を務めるプリンシパルの柄本弾にインタビュー。作品の見どころや、バレエに対する思いを聞いた。

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photo: Ayano Tomozawa

柄本弾|Dan Tsukamoto
京都府出身。5歳よりバレエを始め、2008年に東京バレエ団に入団し、13年にプリンシパル昇格。以来、トップダンサーとしてさまざまな役を演じる。現在、振付家モーリス・ベジャールの作品『ボレロ』を踊ることを許されている、ただひとりの日本人男性ダンサー。

― 柄本さんはノイマイヤー版『ロミオとジュリエット』でもロミオ役を演じていますが、今回のクランコ版は踊ってみていかがですか?

振付は全然違うのですが、2つの版を踊ってみて感じたことは、ノイマイヤー版の方が、ロミオの若さや子どもっぽい無邪気さを強調している、ということです。今回踊るクランコの方が少し“大人”なロミオだなと。

前回は初めてのロミオ役で、この作品に触れたことがなかったので、指導者の先生方に言われるまま、ゲストでいらしたハンブルク・バレエ団のおふたりのリハーサルを観て勉強しながら、という余裕のない状況でした。その時から僕自身も経験を重ねたことで、テクニックも内面の変化もありました。

今回パートナーを組むのは、初めてロミオを踊った時と同じく香菜(沖香菜子)なので、お互いになんとなく理想とする『ロミオとジュリエット』像が見えていて、目指すところが感覚的に共有できていると感じます。まだ完成していませんが、リハーサルの中で少しずつ探っているところです。そういう意味では、前回よりも少し進んだところからのスタートだと思います。

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ジュリエット役の沖香菜子と。photo: Yumiko Inoue

― クランコ版の『ロミオとジュリエット』は舞台美術や衣装も見どころとのことですが、柄本さんのお気に入りのシーンや衣装はありますか?

残念ながらまだ舞台美術は観ていないんです(笑)。踊りとしては、クランコ版には見どころがたくさんあります。舞踏会……僕たちは「ボールルーム」って呼んでいるんですが、そのエントランスの場面で男性3名(ロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオ)によって踊られるパ・ド・トロワ。おちゃらけつつ、難しいテクニックも満載なので、皆さんにはぜひ観ていただきたい場面です。

それから僕(ロミオ)は出ていませんが、第2幕のカーニバルの場面。すごく華やかで、みんなとても楽しそうに踊っています。そしてやはりジュリエットのパ・ド・ドゥですね。全部で3つあるんですけど、どれも非常に見ごたえがあります。

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リハーサルの様子。photos: Shoko Matsuhashi

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― 柄本さんといえば彫刻のような美しい身体も魅力。身体づくり、食生活などで気をつけていることは?

コロナ禍になってからは以前より食事に気をつけるようになりました。僕たちダンサーは一日中踊っていることもあって、朝、昼はあまり食べる時間がなく、昼におにぎりを食べるくらいなんです。どうしても夕食がメインになるので、そこで野菜、肉、魚を中心にバランスの良い、栄養のある食事を摂るように気をつけています。自炊も極力するように心がけてはいるんですが、仕事が忙しい時はなかなか難しいですね(苦笑)。

― 今後、踊ってみたいと思う役は?

『オネーギン』!! これは2010年の東京バレエ団初演の時に初めて触れた作品で、それまで僕自身はこのバレエのことをあまり知りませんでした。その時は群舞として出演していたのですが、初日、自分の出番がない時に舞台袖から観ていて、主役の高岸直樹さん、吉岡美佳さんの演技に感動して泣いてしまいました。映画やドラマを観て泣いたことはありましたが、バレエを観て感動で涙がこぼれたという経験は初めて。これだけ感情移入できた作品はすごいなと。強い刺激を受けたからこそ、いつか踊りたいと強く願うようになりました。

僕がオネーギン役を踊れる日が来るのかわからないけれど、今回『オネーギン』と同じくクランコが振り付けた『ロミオとジュリエット』を踊れることは、とても意味があることだと思っています。

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photo: Yumiko Inoue

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― ダンサーとして、オンとオフの切り替えで意識していることはありますか?

あまり意識していないですね……僕自身はどちらかというとおちゃらけキャラなので、基本的に何事も楽しむことがいちばん大事なのかなと思います。それは踊っている時も同じです。僕が楽しくないと、観ている方だって楽しくないと思うんです。皆さんに楽しんでいただきつつ、僕自身も踊ることを楽しむ、ということは常に心がけています。普段は家にいる時間が短いので、オフの日があれば家で「楽しくダラダラ」したいです(笑)。

― 踊っている時の姿と、メディアなどでお話されている様子のギャップに驚きますが、ダンサーとしての活動以外で挑戦してみたいことは?

最近はメディアに出演する機会を多くいただいていますが、僕がそうした活動をするのは常に「バレエをもっとたくさんの人に観てほしい」という想いが前提にあるからです。バレエ以外の場で僕のことを知って、バレエを観にきてくださる方が増えてくれればいいなと。順番はなんでもいいんですけど、「この人が出ているなら観てみようかな」と、誰かが客席に足を運んでくださるきっかけになることができたら、僕はそれで十分です。

東京バレエ団〈初演〉 ロミオとジュリエット全3幕
振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

●日程
2022年4月29日(金・祝)16:00
ジュリエット:沖 香菜子
ロミオ:柄本 弾

4月30日(土)14:00
ジュリエット:足立真里亜
ロミオ:秋元康臣

5月1日(日)14:00
ジュリエット:秋山 瑛
ロミオ:池本祥真

指揮: ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

上演時間:約2時間45分(休憩含む)
会場:東京文化会館

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